アルプスに生きた男の一生、マダガスカルの死生観…暑~い日は映画を観て世界を広げよう!3選
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    2024.07.13

    アルプスに生きた男の一生、マダガスカルの死生観…暑~い日は映画を観て世界を広げよう!3選

    アルプスに生きた男の一生、マダガスカルの死生観…暑~い日は映画を観て世界を広げよう!3選
    夏はソト遊びの季節だけれど、気温が高すぎる日は要注意。気分転換を兼ねて、涼しい劇場へ足を運んでみては?

    CINEMA 01

    アルプスに生きた男の小さな一生。シンプルでごく普通な愛と人生の寓話

    『ある一生』

    (配給:アット エンタテインメント)
    ●監督/ハンス・シュタインビッヒラー 
    ●脚本/ウルリッヒ・リマー 
    ●出演/シュテファン・ゴルスキー、アウグスト・ツィルナー、アンドレアス・ルスト、ユリア・フランツ・リヒター 
    ●7/12~新宿武蔵野館ほか全国順次公開
    ©2023 EPO Film Wien/ TOBIS Filmproduktion München

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    1900年ごろのアルプス。孤児のエッガーは、遠い親戚の農場に引き取られる。安価な労働力として扱われ、一家と同じテーブルにつくことさえ許されない。ミスをすれば折檻、老婆だけが彼に寄り添う。青年に成長し、時代は戦争へ。老婆の死を機に、エッガーは農場を飛び出す。日雇いとして働き、貯めたお金で人里離れた山小屋を借り、野菜や花を育て始める―。
     
    世界40か国以上で翻訳、160万部超の原作を元にしたドイツ=オーストリア映画。主人公には特別な才能や個性があるわけではない。虐げられた少年期、生きる道を模索する青年期、パートナーとなる女との出会い。口数の少ない男が、20世紀という時代に翻弄されながらも肉体を酷使して今日を生きる姿が綴られていく。時を止める運命の女との出会い、胸を突くいくつかの喪失。そこには特別なものは何もないようで、すべてが特別なもののよう。
     
    時代が激動であるがゆえに男の一生の普遍性が際立ち、愛とは、人生とは?という物思いが深まる。鑑賞後には、ある人生を傍らで体験したかのような、ただごとではない充実感が。

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    CINEMA 02

    カンヌ国際映画祭 批評家週間オープニング作品

    『クレオの夏休み』

    (配給:トランスフォーマー)
    ●監督・脚本/マリー・アマシュケリ 
    ●出演/ルイーズ・モーロワ=パンザニ、イルサ・モレノ・ゼーゴ 
    ●7/12~ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国公開
    ©2023 LILIES FILMS

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    父親とパリに暮らす6歳のクレオは、ナニー(乳母)のグロリアが大好き。いつもぴったりくっつくように懐くも、グロリアは家族の事情で故郷に帰る。バカンスの季節。クレオはアフリカの島国へ旅立つ―。
     
    光る海で泳ぎ、獲った魚を焼いて食べる。クレオはすべてに目をぱちくりしながらひと夏を過ごす。クレオの心象風景を表わす柔らかいアニメーション、彼女が見せる本物の笑顔や涙で少女の純な愛情や哀しみを体感。小さな成長に、こちらの心まで純化された気に。

    CINEMA 03

    日本人監督が現地の音楽と描くマダガスカルの死生観

    『ヴァタ~箱あるいは体~』

    (配給:FLYING IMAGE)
    ●監督・脚本・編集/亀井 岳 
    ●出演/フィ、ラドゥ、アルバン、オンジェニ、レマニンジ、サミー 
    ●8/3~渋谷ユーロスペースほか全国順次公開
    ©FLYING IMAGE

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    古来の風習に従い、出稼ぎ先で亡くなったニリナの骨を故郷に持ち帰ることになった4人の男。「思い出のマンドリンと行けば、ニリナもきっと喜ぶはず」、それぞれ楽器を手に、片道2~3日の旅に出る―。
     
    マダガスカルの音楽に魅せられた日本人監督が現地の人を起用。すかっと青い空と深い緑の中で全編ロケを敢行した。どこかぎこちないセリフ回しと、極度に洗練された音楽が不思議なバランスで共存。独特の死生観を描く、高度に素朴なロードムービー。

    ※構成/浅見祥子

    (BE-PAL 2024年8月号より)

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