同シリーズにコヨーテを扱った作品があります。タイトルは『賢くなったコヨーテの話』(原題: The Story of the Coyote that Learned How)。 コヨーテの子どもが人間に飼われたことから、様々な苦難と経験を経て、知恵をつけて成長し、やがて野生で逞しく生きていくストーリーです。
シートンがこの話を書いたのは1900年代初めのことですが、現在でもコヨーテの特徴を巧みに描写しているように感じる部分が、私の考えでは2つあります。ひとつは、コヨーテが野生動物でありながら、人間社会との距離が近いこと。もうひとつは、コヨーテがとても賢く、学習能力と適応性に富んだ動物であることです。
そうした特徴のせいでしょうか、コヨーテは北米大陸のほぼ全域に生息し、森林、平原、砂漠のどこででも生きていけるらしいですし、さらには市街地でもその歩く姿を目にすることは珍しくありません。
私も何回かコヨーテを目撃したことがあります。狼よりは小さく、キツネよりは大きいかなと思えるサイズで、あまり恐そうには見えません。基本的には人間を避けるようで(例外もあるらしいですが)、私がカメラを向ける間もなく走り去ってしまうことがほとんどです。そのせいで、出会っている回数の割にはシャッターチャンスには恵まれていません。
そんなコヨーテの生態とおつきあいの仕方について、クイズ形式で紹介します。
ということで、コヨーテにまつわるクイズ4問を出題!
【第1問】コヨーテがもっとも活動的になる時間帯は?
a) 朝
b) 昼
c) 夜
d) 特になし
コヨーテはとても活動的な動物です。いつかは眠るのでしょうが、少なくとも私が見かけたときはいつも動いています。歩くか、走るかのどちらかです。ライオンのようにダラダラと寝転んだりはしていません。
そのコヨーテがもっとも活発に動くのは1日のうちのどの時間帯でしょうか?
正解は「c)夜」です。といっても、完全な夜行性ではなく、薄暗い早朝や夕暮れ時にかけても活動的になるようです。
だから、同じ場所に住んでいても、コヨーテによく出食わす人とそうでない人がいます。主に生活時間の違いによるものだと思われます。私のように朝っぱらから走り回るランナーとコヨーテは互いに活動する時間帯が合うのです。
【第2問】コヨーテの平均寿命は??
a) 2〜3年
b) 5〜6年
c) 10年以上
d) 20年以上
ドッグ・イヤーという言葉があります。中型犬は生後1年で人間の15歳に相当するまで成長し、その後も犬の1年は人間の7年とほぼ同じの速さで流れるのだそうです。
コヨーテもイヌ科に分類される動物ですが、彼らはどれくらい長く生きるのでしょうか?
正解は「b)5~6年」です。案外、短命なようです。もっとも、それは自然の中で生きるコヨーテについての話で、動物園などで飼育されるコヨーテはその倍以上の長さを生きることもあるということです。
ちなみに、コヨーテにとって最大の天敵は「人間」です。ワナや狩りのターゲットになることや、車に轢かれる事故が多いせいです。
【第3問】コヨーテの群れは何頭くらい?
a) 1頭
b) 2〜3頭
c) 3〜4頭
d) 5頭以上
コヨーテの仲間であるオオカミは基本的には群れて行動しますが、なかには「一匹狼」とか「はぐれ狼」とかのように、孤独を好む変わり者(?)もいるみたいです。コヨーテについても似たような事情があるかもしれません。それでも、平均的にはコヨーテはどれくらいの集団を形成するのでしょうか?
正解は「c)3~4頭」です。集団というより、家族単位のようです。オスもメスも狩りをしますが、単独行動をすることも多いらしいです。むしろ、私は同時に2頭以上のコヨーテに出くわしたことがありません。上の画像はその限りではありませんが。
【第4問】コヨーテにばったり出くわしたときに人間はどうするべきか?
a) 急いで逃げる
b) 追いかける
c) ゆっくりと後ずさりをする
d) 背伸びをして大声で威嚇する
コヨーテは主に小さな動物をエサにします。自然の中であれば、ネズミやウサギなどがコヨーテに食べられ、コヨーテはピューマやオオワシといった大型動物に食べられます。ところが、市街地に出没するコヨーテはもっと簡単な獲物、つまり人間に飼われているペットを狙うことがあります。
私がこれまでに見たなかでもっとも衝撃的なシーンは、コヨーテが子猫を咥えて住宅地を走り去っていったものです。ときどき、「うちの猫が迷子になりました。見つけた方はご連絡ください」みたいな貼り紙を町で見ますが、どうやらコヨーテに連れ去られるケースもあるようです。
ごくごく稀ですが、人間がコヨーテに襲われることもあります。ニュースになるくらい珍しいことですが、可能性はゼロではありません。そんなときに私たちはどうすればいいのでしょうか?
正解は「d)背伸びをして大声で威嚇する」です。注意版に記された、コヨーテが向かってきたときの対応策をより詳細に訳すと次のようになります。
- 逃げるな。背を向けるな。
- 体を大きく見せて、大声を上げろ。
- 腕を振り回し、物を投げつけろ。
- コヨーテを睨んだまま、ゆっくり後ろ向きに離れろ。
コヨーテと戦えとまでは言っていませんが、「なめられたらアカン」くらいのニュアンスは感じられないでしょうか。昭和の中学生がよくやっていた「ガン」の飛ばし合いを思い出します。つまりはそれくらいの気迫があれば、コヨーテは恐れるに足りないようです。
絶対にやってはいけないことがひとつあります。それはコヨーテとお友達になろうとエサをあげることです。元々は野生の動物です。好きで人間社会に近づいているわけではありません。できるだけ野生のままにしておくことが、彼らに対する思いやりではないでしょうか。