防寒着をはじめとする布物は圧縮袋に入れてギュッとまとめられるが、金属や樹脂で形作られたモノはパズルのように組み合わせなければならない。その組み合わせを考えるのは大変でもあるが、ピタッと決まると快感だ。パッキングの悩みは出発前のちょっとした楽しみと言える。そんな楽しみを提供してくれるアイテムをご紹介する。
グリップの中に小物が入る!?
パッキングするうえで困るのが長いグリップの持ち物。持ち手が長いほど使いやすいけれど、ほかのモノより長いとすこぶる収納しづらい。そこで技ありグリップをもつギアを集めてみた。
<歯磨きタブレットを収納できるサステナブルな歯ブラシ>
日本初のアウトドアオーラルケアブランド「ORAL MOUNTAIN」は、ヘッドとグリップを選んで好みの磨き心地とデザインを作れる歯ブラシを用意している。
分割できるのでコンパクトに持ち運べるのはもちろん、「GRIP TSUTSU」の中に歯磨きタブレット「TOOTH TAB」(1296円/50粒)を収納OK。
ブドウ味のタブレットは食品グレードのヒドロキシアパタイトを採用しているのでそのまま飲み込んでも問題なし。口をすすがなくても大丈夫だから「HYBRID BAMBOO」と「TOOTH TAB」をセットで用意すれば登山中でも口の中をケアできる。しかもこのタブレット、行動食としても利用できるのがおもしろい。
「TSUTSU」はアルマイト加工を施したアルミ製。軽く、中に収めた「TOOTH TAB」(最大5粒)を水分から守ってくれる。
「HEAD」は奥のほうまでしっかり届くコンパクトなスクエアヘッドでブラシ部分は花馬毛、ナイロン、ひまし樹脂の3種類から選べる。
本体に竹を混合材とする素材を採用しており、高生分解性をもつサステナブルなプロダクトでもある。
歯磨き用のコップがなくても、小さな三脚(写真はSOTO「HINOTO」用スタンド)を取り付けて立たせて乾燥できるのもユニーク。
より持ち運びやすさを考えるなら、グリップの長さも重量も半分ほどの「TSUTSU mini」(3630円)を選んでは。短くても「TOOTH TAB」を3粒収納できる。
ちなみにこちらは新製品の歯磨き粉「NATURAL TOOTH PASTE」(1980円)。天然由来成分でできていて、できるだけ自然環境に負担をかけずに虫歯予防を行える。容量60gなのでこちらも持ち運びやすく、キャンプなど下水道完備の場所では「NATURAL TOOTH PASTE」、山小屋や川旅では「TOOTH TAB」と使い分けするのが正解だ。
【問】ORAL MOUNTAIN
<予備ペグが入るハンマー、着火小物を収められるクサビ>
MIGRATRAILの春の新作は、小さいけれども打ち込みやすい重量をもたせたペグハンマー「Variant Hammer」と持ち手付き薪割りクサビ「Variant Kusabi」。
ハンマーは全長192mm、クサビは全長148mm。短く感じるが、どちらもグローブをはめた手でしっかり握れる長さに仕上げている。
ハンマーの後部にはペグ抜きを搭載するなど、ペグハンマーの定番機能は網羅済み。
ちなみに「Variant Kusabi」はハンマーよりもグリップが約45mm短いが、振り下ろすわけでもなく、クサビを安全に支えるだけなのでこれで十分。
特筆すべきはグリップの中が空洞であるということ。
「Variant Hammer」にはストレートタイプのエマージェンシーペグが4本収納済み。ペグを打っているときにガチャガチャと中で動く様子は感じられない。
「Variant Kusabi」のほうはグリップエンドがファイヤースターターとなっていて、少量の麻ひもなどを入れる隙間あり。
どちらも「予備ペグやライターを忘れてしまった」なんていうありがちなトラブルに対応できるのがいい
ナイフとカトラリーのグリップを共有
アウトドアの必需品を、別のマストアイテムのグリップとして使うアイデア小物がこちら。グリップを共有するのでわずかではあるが省スペース化に役立つ。
老舗ナイフブランド、オピネル「No.08」は多くのキャンパーが調理用ナイフとする名作だ。
調理後にはほぼ出番がないナイフを、食事でも使えるようにする専用アクセサリーが「ピクニックプラス アクセサリーズ」。
2000年以降に製造された「No.08」のロック機構「ビロブロック」を利用してスプーンやフォークを取り付け、調理後にカトラリーとして利用できるようにするという優れものだ。
取り付けは簡単だが、ぐらつくことなく安心して食事できる。
唯一残念なのは、スプーンとフォークを同時に使えないことだろうか。
スプーンとフォークは重ねてまとめておける。付属のキッチンクロスの中央にはグリーンのバンドが付いていて、片側に重ねたスプーンとフォーク、もう片側に「No.08」を差して持ち運べるというわけ。
ナイフとカトラリーを手のひらサイズにまとめられる。
収納ケースとなるキッチンクロスは「No.08」もいっしょに包んでも多少ゆとりがあるので分割タイプのお箸もいっしょに持ち運べる。
邪魔だと思われがちなグリップ部分も、長さを活かした“目から鱗”の機能を持たせることで、邪魔に思わなくなるから不思議。見た目だけでなく、ホントに使えるマルチツール化は大歓迎だ。