絶えない炎に注目!パリ五輪の聖火トーチにはSOTOが誇るバーナー技術が投入されていた
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    2024.07.26

    絶えない炎に注目!パリ五輪の聖火トーチにはSOTOが誇るバーナー技術が投入されていた

    絶えない炎に注目!パリ五輪の聖火トーチにはSOTOが誇るバーナー技術が投入されていた
    平等、水、平和をテーマにデザインされた光り輝くパリ2024オリンピックのトーチ。その華やかな輝きを、日本の職人の魂が支えているって、知ってました?

    オリンピックのはじまりを知らせる、聖火リレートーチの裏側に潜入

    スポーツの祭典・パリ2024オリンピックの開催が迫ってきた。“開催期間中は寝不足が続くんだよ”という人もいれば、“あんまり興味がないんだよね”という人もいるはず。でも、オリンピックの象徴ともいえる聖火を運ぶトーチの心臓部を、日本の、しかもビーパル読者になじみ深いあのメーカーが作っているとなったら、俄然興味が湧いてくるのでは?
     
    そもそも聖火リレーは1936年のベルリンオリンピックからはじまった。当初のトーチは鋼鉄で作られた高さ28㎝の支持部にマグネシウムチューブを備え、可燃性のペーストを燃やすデザイン。燃焼時間は最短10分だったとか。消えたときに備え、予備の聖火はランタンに保存され、自動車で運ばれていた。それから39本の聖火リレートーチが誕生したが、開催国により、真鍮だったり銀だったり、木製だったりと意匠はさまざま。

    燃料も液化ガス、固形燃料、なかにはオリーブオイルなど、じつにバラエティーに富んでいる。ちなみに1964年の東京オリンピック、1972年の札幌とも、インダストリアルデザインの巨匠、柳宗理氏がデザイン。珍しいところでは、1984年のサラエボではなんとミズノが、2002年のソルトレークシティは、なるほど、と頷けるコールマンが携わっている。

    千差万別のトーチデザイン 

    ギリシャ・オリンピア市と姉妹都市である愛知県稲沢市には、過去の聖火リレートーチが展示されており、オリンピア市の聖火採火式などにも参加している。

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    左から 2021年東京2020 オリンピック/パラリンピック ・2016年 リオデジャネイロ オリンピック ・2012年 ロンドン オリンピック ・2008年 北京 オリンピック ・2004年 アテネ オリンピック ・1998年 長野 オリンピック ・1996年 アトランタ オリンピック

    日本の技術が輝くパリオリンピック

    そして、40本目となる聖火リレートーチに携わったのが、2020年の東京オリンピックでも燃焼部を担当した、新富士バーナー。自国開催で自国メーカーはわかるが、なぜパリで!?

    「じつは’22年の夏にいきなりパリ組織委員会からメールが来まして。トーチはデザインと燃焼機構に別れ、パートごとにコンペが行なわれるんですが、その燃焼機構のコンペに参加しませんかと。で、正式な受注連絡は’23年の1月。東京オリンピックのときは3年〜3年半の猶予があったんですが、今回は開発から製造まで約1年。間に合うかどうかドキドキでした」
     
    とは、開発チームの山本洋平さん。そこからは怒涛の日々がはじまった。トーチのデザインが決まったのは2月、3月から燃焼部とボンベの開発を開始。

    「見てわかるように、かなり独特なデザインなんです。上部がすぼんでいるので、空気の取り入れが難しい。しかもパリ大会のデザイナー曰く、ランナーが止まったときは炎を上向きに、走っているときは、炎が旗のようになびくようにしたいと」
     
    炎の色や長さ、幅に至るまで、細かいリクエストがあった。とはいえ、聖火を絶やさないための技術には自信あり! それが新富士バーナー擁するアウトドアブランド、SOTOが培ってきた長年のノウハウだ。我々にもなじみ深い、“マイクロレギュレーター”と“触媒燃焼”である。

    「さまざまな環境下で、炎の形状、勢いを一定に保つといえば、マイクロレギュレーターです。50㎜/hの豪雨にも、時速60㎞の突風にも耐えられます」
     
    そして、ランタンに使われているプラチナを使った触媒燃焼を搭載することで、雨や風によってプラチナが低温になっても、燃料と空気が供給される限り、炎を灯し続けることができる。

    「聖火の赤い炎とプラチナの下で燃焼する1500度Cの青い炎、プラチナの表面で燃焼する触媒燃焼、これら3つの燃焼が同時に行なわれていることが本燃焼機構の特徴です。SOTOのバーナーとランタンがあったからこその発想といえます」
     
    東京のときから屋上に目隠し用の衝立を作り、その中をトーチ片手に走り回った。1/100㎜単位の微妙なニュアンスを伝えるため、2、3か月に1回はフランスまで足を運んだ。

    「YouTubeで聖火リレーの1日のハイライトが流れています。ハラハラドキドキしながら、土砂降りの中を走るランナーを見るんですが、しっかり燃えているのを見てひと安心」
     
    ランナーが炎をなびかせて走る姿、見たくなりましたよね?

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    開発担当
    山本洋平さん

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    僕たちが開発しました!

    「1.5㎏のトーチは、3分持って走っただけで疲れました」じつは高所恐怖症で、屋上での試験にはかなり勇気が必要だった。

    デザインに合わせて
    燃焼機構を試行錯誤

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    通常は中央の穴から炎が噴出し、走っているときは縦長のスリットから炎が出る構造。

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    これまで炎が出る部分が広いデザインが多かったが、今回は上下・左右対称型で燃焼機構もこの位置に組み込まれる。

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    トーチのフロント部分に彫られた立体的なロゴマークは、空気の取り入れ口としても機能している。

    フランス大会トーチの心臓部を担当!

    燃焼部(中)

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    プラチナを使ったランタン譲りの触媒燃焼

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    ランタンのマントルの代わりに使われる、プラチナの触媒燃焼。丈夫でホヤも必要ない。

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    燃焼部の奥にプラチナメッシュの触媒燃焼があり、赤い炎が絶えないように燻り続ける。

    一定の火力を保つ
    マイクロレギュレーターを搭載

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    一般的なニードルバブルの断面

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    レギュレーターの断面

    SOTO独自の機構で、2008年に誕生。気温や燃焼時間にかかわらず、一定の炎を出す。

    ガスボンベ(左)

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    燃焼部の下に取り付けるガスボンベも開発。トーチのお尻から素早く着脱できる。

    世界に名を轟かせる「SOTO」とは

    1978年設立の新富士バーナーが、ポケットサイズのバーナー「ポケトーチ」の開発を機に立ち上げた。次々に話題作を開発し続けている。

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    完成品の燃焼テスト。トーチからバーナーまで全数チェック。

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    ガス漏れがないか、水没させて検査。聖火リレートーチも同じように作られた。

    東京五輪のトーチ!

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    1万3000本製造されたが、パリのトーチは2000本と、エコを意識。

    ※構成/大石裕美 撮影/小倉雄一郎 協力/稲沢市

    (BE-PAL 2024年8月号より)

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