スタート地点はゲルハウゼン(Gerhausen)という小さな町。乗り継ぎ具合にもよりますが、シュトゥットガルトから列車で1時間15分ほどの場所にあります。ここからまずはルーゼンシュロス(Rusenschloss)という名の「廃城」を目指し、さらにブラウボイレン(Blaubeuren)という名の古い町にある「青い泉」を目指すハイキングです。
見どころありすぎだっつ~のっ!【ドイツ・シュトゥットガルトとその周辺旅vol.2】
ガイドさんによるとハイキングコースの名は「石器時代トレイル」。なんだかワクワクする名称です。
すぐに新緑のハイキングコースに入ります。
はい、どちらでもないと思います(安倍晴明談←ウソです。念のため書いておきますが)。
するとこんな洞穴が見えてきました。石器時代の人たちが使った洞穴らしいとのこと。
…ってここ、絶対入るとこじゃね? とアウトドア&アドベンチャー好きなら思いますよね。けど見事に素通り。
「う~ん、入ってこようかな」という思いが頭をよぎりました。だけどさっきからあちこち撮影している関係でぶっちぎりの最後尾で、ときおりダッシュで追いついている状態。これ以上遅れをとるのもマズいので断念しましたよ。
このあたりが団体行動のつらいところ。そういえばガキンチョのころから団体行動、苦手だったな。団体行動どころかたった5人の家族での行動も苦手で、デパートでは「迷子のお知らせをいたします。柳沢有紀夫くんと名乗る……」と館内放送の常連だった私です。
それでも大人になって外国人ばかりの海外メディアツアーに参加しているんだから…全国の迷子くん、キミたちもだいじょうぶだよ。にんげんだもの。
そしていよいよ「荒城」の頂へ
そんなこんなで山道を登っていくと、歩き始めて20分強で廃城が出てきました。正式名称は「ルーゼンシュロス(Rusenschloss)」だそうです。
いや、「Ruined Castle」と英語で説明されたので「廃城」と直訳してしまいましたが、「荒城」という言葉のほうがいいですね。「兵どもが夢の跡」の雰囲気が漂って。
日本の城でいう「天守閣」のような見張り台に登る前に、ちょっとした広場がありました。参謀本部的なものが設置される場所なのでしょうか。
で、その広場自体の写真ですが…すみません、撮るのを忘れました。かくなる上は腹を切っておわび…はしません。
普通の山頂からだとそうでもないですが、山城の上からだと「領主」になった気分が味わえますね。それが「山城歩き」の魅力の一つです。
そのわりにはいつもしんがりだった私。いや、大将は最後尾でいいんですよね、確か。
来た階段を戻ります。
だけど「昔は鉄の手すりなんてなかったんだろうな」と要らんことを想像して一気にビビる私。今はあるから平気なはずなのに、このあたりが小心者。
まあ、「恐怖症」の類なんてそうですよね、みんな。スカイツリーみたいな高層タワーの床がたとえ透けていようが、特殊強化ガラスか何かなんだから絶対に落ちっこないのに怖く感じてしまうのが高所恐怖症。
でもこわくてもいいんだよ。にんげんだもの。
次に向かうのが、「天守閣」から見えた村「ブラウボイレン(Blaubeuren)」です。
ここでふと気になったことがありました。歩いているのは英語でいうと「Stone Age Trail」だと説明されました。つまり「石器時代トレイル」です。
ということは石器時代の人たちもこの道を通ったのでしょうか。だから「石器時代トレイル」なのでしょうか。4万5000年前の我々の祖先の生活に思いをはせながら、ガイドさんに訊いてみました。
「いや、どうですかね。石器時代から使われていたかはわからないです」。そりゃそうですね。「じゃあなんで石器時代トレイルって名前なんですか」「う~ん、特に意味がないっていうか…石器時代の洞窟がそばにあるから名付けただけだと思いますよ」。…なるほど。
そんなふうにして「スゴスゴ感」満載の気分のままゆるやかな坂をダラダラと下ります。まあ、のんびり下山でのダラダラ感、嫌いじゃないんですけどね。
そんな余計なことをして、5日後にギックリ腰になった私です。亡き父から口癖のように言われた言葉が「ほ~ら、言わんこっちゃない」涙
だけど目の前の木々が伸びすぎて見晴らしはほぼゼロ。設置した時点では低木だったんでしょうな。「山のベンチあるある」ですね。
そして「青き泉」の美しき村へ
頂上から歩くこと30分。我々はブラウボイレン(Blaubeuren)の村へとたどり着きました。この村が古くて、なんだかおとぎ話に出てくる感じでなかなか風情があります。
この村の外れにあるのが「ブラウトップフ(Blautopf)」。「青い泉」という意味ですが、まあここは格調高く「青き泉」と訳すべきでしょう。
「Blau」はドイツ語で「青」の意味なんですが、私が訪れたときは静岡県の寸又峡にある「夢の吊り橋」の水面の色とよく似ていたエメラルドグリーンでした。
天気や時間や光の反射具合などによってもっと青くなることもあるのでしょうね。そのあたりも魅力の一つ。
これだと青さがちょっと増しますね。カメラの設定によってもいろいろ変わります。青空だったらもっと良かったのですが。
とにかくこの水面の美しさがSNS映えするとかで、ひそかな人気を呼んでいるらしいです。あまり天気が良くないにもかかわらず、多くの観光客が訪れていました。
その後私たちはこの「青き泉」を離れて、このブラウボイレンの村の散策に。すると10分も経たないうちにご覧のような青空。
「石器時代トレイル」「荒城」「青き泉」と見どころがてんこ盛りのハイキングでした。それとドイツってなぜか「荒城」とか「青き泉」とか格調高いフレーズが似合う場所が多いです。
ドイツは「工業国」という先入観からアウトドアのイメージがあんまりなかったのですが、よくよく考えたら「ヘンゼルとグレーテル」などの「グリム童話」のふるさと。「魔物とか出そうな深い森」とかあっても不思議じゃないですよね。
先入観と正反対。だから旅はおもしろい。というわけで次回は「洞窟探検」をお送りしますよ~。
【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら!
ドイツ観光局