どうも。オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。今回もドイツ南部・シュトゥットガルト近郊からお届けします。
【ドイツ・シュトゥットガルトとその周辺旅vol.3】「小舟に乗って洞窟探検」のはずが…
さて私の中で今回の「シュトゥットガルトとその周辺旅」のメインイベントと考えていたのが「洞窟探検」です!
とはいえ最初、「洞窟に入るんです」と聞いたときの反応は「ふ~ん」と薄め。だって日本は美しい鍾乳洞も含めて洞窟がたくさんある「空洞化大国」…いや、「洞窟大国」ですからね。汗
「BE-PAL」で日本の経済構造批判をしてどうする、私?
でもなんとなんと「小舟に乗って洞窟探検」という話ではないですか! 日本に住んでいたとき一般公開されている洞窟にあちこち行きましたが、その中で小舟に乗った経験はありません(ニュージーランドでは一度「ワイトモ洞窟」という場所で乗って「土ボタル」を見ました。また行きたいな)。
というわけで意気揚々と向かったのは「ヴィゼナー洞窟(Wimsener Hohle)」です! ガイドさんによると年間6000人訪れる…というか6000人しか訪れない知られざる名所。
しかも21のトレイルもあってまさに「BE-PAL」で紹介するのにおあつらえ向きと考えていました。ちなみに「ユネスコジオパーク」にも認定されています!
だけど…着いてみたらこの通り。
洞窟内の水位も上がっているため、天井が低い入口でそもそも頭がつかえる状態。ということで小舟による洞窟ツアーは中止になっていました。
じつはこの旅を始める前に南ドイツ地方では土砂降りで河川も増水していて、ミュンヘンからシュトゥットガルトへの長距離鉄道も運休になるほどだったのです。
本来的にはこんな感じで乗船できるらしいです。写真を見ただけで「♪これ絶対おもしろいやつ~」と歌いたくなりますよね?
ちなみに小舟のツアーは70メートル、所要時間10分ほどとのこと。そしてこの洞窟、その先も延々と続くのですが、別の入口からは「洞窟スキューバダイビング」もできるのだとか。
垂直の洞窟に水が溜まっているところがあってそこに水深はなんと60メートルだそうです。私はライセンスは持っていないですが、スキューバダイビングをする人にとっては夢の冒険ルートの一つと言えるのではないでしょうか! といくらあおったところで入れなければ意味がない。
この「小舟ルート」も体験できなければ記事にはなりません。というわけでスゴスゴと帰りましたとさ。おしまい。…いや、話はこれでは終わらないのです!
「世界最古の美術品」が発見された洞窟へ
翌日、我々海外メディアツアー一行は別の洞窟に向かいました。「ホーレフェルス(Hohle Fels)」という場所で、4万1000年前くらいにマンモスの象牙から作られた「ホーレフェルスのビーナス」という人形などが見つかった場所です。これは「世界最古の美術品」と言われているとのこと。
ちなみにこのあたりは「シュヴァーベンジュラにある洞窟群と氷河期の芸術」という世界遺産の一つです。もう一つついでに書くとドイツはユネスコ世界遺産が2024年6月現在52ヵ所もある「世界遺産王国」なのです(日本は25ヵ所)。
さっそく入ってみましょう。空間はかなり広いです。
ここでは「ホーレフェルスのビーナス」以外の様々な美術品や、マンモス、ホラアナグマ(約2万4000年前に絶滅した巨大なクマ)の骨などが発見されたとのこと。
そしていよいよ地下55メートルの世界へ
この「ホーレフェルス」という洞窟が様々な発見のある考古学的にも貴重な場所であることは確かです。ただアウトドアやアドベンチャーという観点からすると、「BE-PAL」で紹介するにはちょっと物足りない部分もなきにしもあらず。
というわけで3日目に向かったのが「ライヒンガーティーフェンホーレ(Laichinger Tiefenhohle)」という名の洞窟です。「Laichinger」というのは「ライヒンゲン(という街)の」、「tiefen」はドイツ語で「深さ」、「hohle」は「洞窟」という意味。ってことは「深い洞窟」?
そう、じつはここ、「垂直方向に下がっていく洞窟」なのです。洞窟って普通は(多少の登り下りはあるにしても)「水平移動」じゃないですか。でもここは急な階段をほぼ垂直に下がっていく珍しい洞窟なのです!
最初に入る部屋はちょっとした博物館になっていて、洞窟のなりたちなどがわかります。
こうした洞窟はこのあたりに無数にあるとのことですが、一般公開しているのは13ヵ所。そして垂直方向に進む洞窟はここだけだそうです。1930年代に開業。年間3万人ほどが訪れるとのこと。なかなか盛況です。
ちなみに洞窟の多くは11月からイースターくらいまで公開停止になるのだとか。コウモリが穴で冬眠するからだそうです。
さてここでガイドさんからクイズが出ました。「洞窟で壁画がたくさん見つかる理由はわかりますか?」。正解は風が吹かず、湿度や温度が同じで劣化しづらいからとのこと。
そんな説明を聞いたあと階段を下がります。
そしていよいよ洞窟へ!
そのあとドアを開けて、また階段。
最初のほうは明るく、階段の傾斜もそれほど大きくないのですが…。
なんと55メートル下まで降りるそうです。
高度をどんどん下げながら、頭の中でループ中の曲は中森明菜の「DESIRE」。いや、落ちているわけじゃないし、降りているだけで。まっさかさまでもないし。
足元は滑りやすいので、ちゃんと手すりを持っていきます。
いやいや、本当に貴重な体験、いや探検気分を味わえました!
さて別ルートで地上に戻ります。で、気づいたのですが55メートル降りてきたということは55メートル登るということ。そして55メートルはマンションの17階くらい!
と書くとかなりきつそうに感じますが、登山だとしたら低山もいいところ。笑
床もかなり水っぽいところが多いです。特に階段では滑らないように注意して進みます。
こういう洞窟などでは基本的に「触るっちゃダメ!」というところが多いと思うのですが、ガイドさんは「どうぞ触ってみてください」と言ってくれます。
最後のほうの壁面がぼつぼつになっているところがありました。
でも私には皮膚病に見えました。あと「集合体恐怖症」のみなさん、載せてごめんなさい!
さてここで2泊したホテルもサクッと紹介しましょうかね。「Bio-Hotel und Restaurant Rose」です。
本当に様々な洞窟を体験しました(1つは体験できなかったけど。涙)。ドイツがこんなに「洞窟王国」だとは知りませんでした。無知でお恥ずかしい限りです。穴があったら入りたいです。…おあとがよろしいようで。笑
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ドイツ観光局