【ロングトレイル旅】ビバルマントラックを歩く「僕の中ではトレイルは終わっていた」
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    2018.04.10

    【ロングトレイル旅】ビバルマントラックを歩く「僕の中ではトレイルは終わっていた」

    アパラチアントレイル最終章 ビバルマントラックの旅 vol.024

    デンマークに着いて、僕はゼロデイを予定通り取ることにしました。町中で偶然におじさんと会い、トレイルヘッド(トレイルの入口)まで、どう行くか訪ねました。彼はFacebookで知り合った人に20ドルで乗せてもらう予定になっていたのに、その人と連絡が取れないと話していました。
    そこに便乗したい気持ちはありましたが、誘ってくれないので何か事情もあるのかな? と感じていました。

    デンマークから、次のトレイルヘッドまでは、ボートで行くのが一番近いのですが、200ドル近くします。他の手段はタクシーになるのですがトレイルヘッドまでは約80ドルです。
    どう考えても高すぎます。僕に残されたのは手段はヒッチハイクしかありません。泊まっているホステルのオーナーによると、途中まではヒッチハイクで行けるが、その先は車の通りがないそう。つまり道路を歩くしかないのです。

    ホステルのオーナーはヒッチハイクで行くのが一番いいのではないか? と言いますが…。簡単にできたら苦労はしませんよね…。

    しかし、なぜこんな風にルートを作ったのだろうか? このままデンマークで終わるのが最適だと感じます。

    ラストのこの区間で使わない道具は、アルバーニのホステルに送ることにしました。そのついでにOPショップでデニムとフリースを購入。(※OPショップとは、リサイクルショップなのですが、日本のリサイクルショップとは違います。Oppotunity Shopの略で、商品は買い取るのではなく寄付として受け取ったものを販売し、その収益は寄付されます。お店の運営もボランティアで運営されており、デンマークのOPショップは教会がやっていました)。

    18機あるウィンドタービンは、アルバーニの電力の75%をになっているとかいないとか?

    工事作業用のフリースほぼ新品が8ドル。GAPJAPANのスリムデニム(ダメージ無し)が5ドルという安さです。

    僕は、トレイルが終わると服を買って、トレイルで着ていた服を着ないようにしています。僕の中でのトレイルの終わりと、社会生活に慣れるための儀式として服を買うことにしているからです。そして、この儀式は1年で唯一アウトドア以外の服を買う機会なので、楽しみでもあります。しかし、予算は100ドルまで、と自分で上限は決めています。

    つまり、デンマークでこの買い物を始めたということは、僕の中でトレイルが終わったことを意味します。寒さが続いていたので、フリースをバックパックに詰め、デニムは郵送しました。
    ゼロデイは1日中買い物を楽しみ、次の日僕は相変わらず5時に起きて、6時に出発しました。ヒッチハイクは早朝の土曜日なので簡単にいくとは思っていませんでした。
    しかし、10分もしないで休日出勤する人の車に乗せてもらえることに。彼はアルバーニへ通勤するらしく、このままアルバーニまで乗せていこうか? と言っていたのですが、途中で降ろしてもらい、僕はトレイルへ続く舗装路を歩き始めました。

    しかしその後、トレイルヘッドまで僕の歩く方向へ進んだ車は1台もありませんでした。

    舗装路を歩いて汗だくになりながら、ようやくトレイルヘッドへ。そして水を補給するために一番最初のシェルターに入ると、あのおじさんがいたのでした。

    コーストエリアは、トレイルコースから外れるシェルターが多いのです。

    おじさんは、昨日の夜に乗せてきてもらって、テントで寝て、朝露でびしょびしょになってしまったので、このシェルターでテントを乾かしていたそうです。僕は、水を汲むと、今日はもうひとつ先のシェルターに行きたいから先に進むことを告げると、彼はこのままこのシェルターに泊まるかもいしれないと言っていました。

    時計を見ると、午前11時、僕は手を振って先へ進みました。

    この日、おじさんは30kmを歩き、僕に追いついてきました。このトレイルで一番長い距離を歩いたそうです。僕は、このまま同じペースで歩きたかったので最後、僕らは別々に歩くことにしました。

    おじさんが2ヶ月歩いて初めて夏だった日の夕方。

    一人で最後のシェルターに泊まり、同じように朝5時に出発します。今日で終わることが信じられないまま、ただ歩き続けました。インド洋に別れを告げて、丘を越えショール湾に入っていきます。湾の向かい側には町が見えます。そこがきっとアルバーニだろうと思いました。
    湾沿いに歩き、古びた街並みを見ながら歩き、再び湾沿いに歩く。しかし、マークは途中で途切れたのでした。

    最後の夜、カエル大発生でした。テントを張って良かった。

    町中で道に迷い、近くにいる人に聞くと、「ビバルマントラックのゴールは知らないな。インフォメーションセンターが近いからそこで聞いたら?」と言われ、それもそうだと思い、インフォメーションセンターを目指して歩くとインフォメーションセンターの入り口の手前にビバルマントラックのサウスターミナルがあったのです。

    午前11時20分。サウスターミナルで空を見上げて大声で笑っている僕がいました。

    ビバルマントラックサウスターミナル。

    この30分後、予報通りアルバーニは大雨になります。

    最後の最後まで雨と寒さに見舞われた僕のトレイルは、こうして終わりを告げたのでした。

    Carpobrotus Virescensだろうな、きっと

    つづく

     プロフィール

     

     

     

    【Profile】斉藤正史 

    山形県在住
    LONG TRAIL HIKER
    NPO法人山形ロングトレイル理事
    トレイルカルチャー普及のため国内外のトレイルを歩き、山形にトレイルを作る活動を行う。

    ブログ http://longtrailhikermasa.blog.fc2.com/
    山形ロングトレイル https://www.facebook.com/yamagatalongtrail

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