「ランエボ」で培った4WD技術を投入
記者・櫻井&編集・沢木による試乗レポート。今回は、三菱/エクリプス クロス編です。
沢木 三菱のコンパクトSUV、エクリプス クロスが、ついに発売されましたね!
櫻井 うん。僕たちはひと足早く、北海道のクローズドコースで試乗してきたんだけど、楽しかったな~。
沢木 アイスバーンや坂道もある特設の雪上路は、本来モトクロス用のコース。きついカーブや起伏が多いのに、ガッツリ走れましたね。
櫻井 ツルツルの路面をオーバースピードで走らない限り、エクリプス クロスは確かな4WD制御でぐいぐい的確に曲がってくれた。
沢木 搭載されている4WDのシステムは、必要に応じて後輪に駆動力を配分するオンデマンド式なんですね。
櫻井 一見、フルタイム4WDのほうが優れていると思いがちだけど、常にオフロードを走る使い方でなければ、オンデマンド式でまったく問題なし。それに、エクリプス クロスでは左右のタイヤの駆動力配分と4輪のブレーキ制御を緻密に統合制御することで、滑りやすい路面で抜群の安定感を実現しているんだ。
沢木 それが車両運動統合制御システムの「S-AWC」というわけですね。
櫻井 そうそう。エクリプスクロスには、かつてラリーで一時代を築いたスポーツセダン、ランサーエボリューションシリーズの開発を担当した有名なエンジニアが関わっているんだ。
WRC(世界ラリー選手権)で圧倒的な速さを誇った「ランエボ」こと、ランサーエボリューション譲りの「S-AWC」を搭載。滑りやすい雪道のカーブでアクセルを一定開度にして操舵すると、後輪駆動車のように前輪を軸にして曲がっていく。
シフトレバー右のボタンで4WDモードを切り替える。その下の四角い部分がオーディオのタッチパッド。
沢木 SUVとしての基本性能も相当高いですね。
櫻井 最低地上高は175㎜と、SUVとしては平均的ながら、前後輪から先のボディーのはみだしが短いので、起伏の多い場所でも下をこすることは少ないよ。そのうえ、運転席からの視認性にも配慮しているから、クルマのちょっとした傾きや障害物の認識もしやすい。
沢木 ラゲッジも予想以上に広かったです。
櫻井 後席が前後に20㎝スライドし、リクライニング機能も付いているので、人と荷物の量に応じた調整ができるのがいいね。
沢木 RVの三菱らしい完成度で、オールドファンにはたまりませんね。
櫻井 ひとつ気になったのは、オーディオの各種操作をスマホ感覚でできるタッチパッド。開発陣は「慣れるとすごく便利」といってたけど、どうなんだろ。
沢木 僕は快適でしたよ。
櫻井 自分、古い時代の男なんで……(汗)。
タイヤハウス間のラゲッジ幅はちょうど1000㎜。後席の背もたれを角度調整することで、荷物が積みやすくなる。2人分のキャンプ道具なら十分収まる。
60:40分割可倒式の後席をたたむと、奥行きは1569㎜に。脚を曲げればなんとか休める。
三菱/
エクリプス クロス
¥2,666,000(2WD)/2,866,000(4WD)
http://www.mitsubishi-motors.co.jp/lineup/eclipse-cross/
◎構成/櫻井 香 ◎撮影/BE-PAL編集部、三菱自動車