タイ国内には、ユネスコの世界遺産に登録されている場所が全部で5カ所ありますが、それらの中でも世界文化遺産として双璧をなすのが、「スコータイとその周辺の古代都市群」と「古都アユタヤー」です。
タイ北部の街スコータイは、13世紀頃のスコータイ王朝の都のあった場所で、その遺跡は長い間、深いジャングルの中に人知れず埋もれていました。その後発見された遺跡は、ユネスコと日本の支援を受けたタイ芸術局によって修復され、スコータイ歴史公園として整備されました。縦横が約2キロ弱の四角い城壁の内外には、大小合わせて約300もの遺跡が点在していると言われています。
スコータイ歴史公園の城壁内の中央付近にある王室寺院、マット・マハータート。中心にスコータイ特有の様式で造られた巨大な仏塔群があるほか、敷地内には無数の塔や仏像、お堂の跡などが残されています。
ワット・シー・サワーイは、当初はヒンドゥー教の神殿として建てられたものが後に仏教寺院にされたという、ちょっと変わり種の遺跡。プラーンと呼ばれる3基のクメール様式の仏塔が、印象的な佇まいを見せています。
ワット・トラパン・ングンという遺跡の境内では、スコータイ独特の様式で造られた「遊行仏」が見られます。片手を上げながら片足を軽く踏み出しているように見えるその姿は、とてもたおやかで、思わず見とれてしまいます。
スコータイでもっとも象徴的な寺院、ワット・シー・チュム。厚みが3メートルもある壁に囲まれた本堂の内部に、巨大な仏像が収められています。スコータイ王朝の最盛期を築いたラームカムヘーン大王の碑文には、この仏像が「恐れない者」という意味の「アチャナ仏」と呼ばれていたと記録されています。