渓流釣りを始めたばかりの初心者に意識してほしい「ここに魚は居る」というスポットと、ルアーを使用した場合の攻め方のコツを解説します。
魚を探して渓流を釣り歩く
渓流釣りの一番の醍醐味は、美しい景観のなかを“釣り歩く”ことです。1か所で粘っていても釣果はなかなか期待できません。
次々にポイントを変え、歩いて魚を探すことが大事です。
堰堤下
堰堤とは一旦水の流れをせき止めるためのもので、水を一旦ためて砂を沈下させることで下流への流下を防いだり、農業用水の汲み上げに活用されたりしています。
その堰堤の下は滝壺のようになっており、渓流魚が身を潜める絶好のスポットです。
多くの堰堤には魚の通り道である「魚道」が整備されていますが、魚は堰堤下で移動の足を少なからず止めざるを得ません。
堰堤下は渓流魚がほぼ居る、といっても過言ではないため、必ず魚が食いついてくると心構えをして釣りを始めましょう。
堰堤では、リールを巻くだけで泳いでくれる「ディープシンキングミノー」や、金属製のルアー「スプーン」を使用すると良いでしょう。
トロ場
トロ場とは川の傾斜が少なく、流れが穏やかなっている箇所を指します。
渓流のような常に流れのある環境で暮らしている魚にとって、このような流れが緩やかな場所は快適に過ごせるスポットで、渓流魚のたまり場となります。
トロ場をしばらく観察していると、水面を流れる虫を渓流魚が捕食する「ライズ」を見つけることもよくあります。
初めからトロ場の奥までキャスト(ルアーを投げること)してしまうと、トロ場に潜む渓流魚すべてにルアーの存在を知らせて警戒心を抱かせてしまいます。
手前から少しずつキャストする範囲を広げ、じっくり広く探るのがコツです。
また、トロ場は流れが穏やかで水面に波立ちがないので魚がルアーを追跡してくる「チェイス」を目撃しやすく、興奮を覚えること間違いなしです。
シェード
釣り人のあいだでシェードというと、木などの影が水面にできている箇所を指します。
とくに日中の日差しが強い日などは、影の中は人間だけでなく魚にとっても過ごしやすい環境といえます。
また木の影は流れの穏やかな川岸近くによくできるため、小規模なトロ場になっていることが多く、そのような箇所は渓流魚の格好の隠れ場といえます。
ピンポイントを狙う必要があるため、キャストは少し難しいかもしれませんが、練習と思って挑戦してみましょう。
なかなか狙った場所にキャストできずにすったもんだしているうちに、突然魚が食いついてくるような痛快さがあるのも渓流の魅力です。
白泡の中
一見「こんなところに魚が居るの?」と驚くのが、激しい流れの落ち込みによる真っ白な泡の中です。
実は、このような激しい環境の中にも渓流魚は潜んでいます。
溶存酸素量(水中に溶け込んでいる酸素の量)は水温と関係があり、水温が上昇すると溶存酸素量は減少します。
とくに暑い季節は気温に合わせて水温も上昇するため溶存酸素量が減少し、魚にとって息苦しいと感じることも多いです。
そこで渓流魚は溶存酸素量の多い場所を求め、空気中の酸素がより溶け込む白泡の中にも潜むようになるのです。
また、水中から釣り人の姿が見えづらく渓流魚の警戒心が薄れるのでルアーへの反応も良く、居れば釣れる、というスポットとなります。
白泡の中は複雑な流れにルアーが翻弄され、思い通りに泳ぎません。
上流側に立ち竿先を細かく動かして、白泡の中に沈めたルアーを小刻みに跳ねさせるようにすると良いでしょう。
渓流釣りを末永く楽しむために
ほぼ全ての渓流釣りが可能な河川には、漁業権が設定されています。
遊漁券の収益は河川整備や放流事業など、渓流釣りを楽しむために欠かせないものになっています。
必ず遊漁券を購入してから釣りを楽しみましょう。
また、河川に生息する魚は個体数が限られています。
必要以上に魚は持ち帰らずリリースすることが、渓流釣りというレジャーを末永く楽しむ上で必要です。