そんなアイテムを、アップサイクル素材で展開しているのが「SG BASE」です。手に取ると、その肌触りのよさに驚き、いつものキャンプがワンラックアップした気分になりそうです。
クルマの内装製造時に生まれる端材を活用する「SG BASE」とは
「SG BASE」は、クルマの内外装部品を製造する「しげる工業」が手がけ、2023年のTOKYO OUTDOOR SHOWでデビューしたアウトドア用品ブランドです。
今年6月に開催されたTOKYO OUTDOOR SHOWにも出店していて、筆者は、初めてSG BASEのアイテムに触れる機会となりました。しげる工業では、スバルなどのクルマの内外装部品の企画、開発、製造などを行なっています。
スバルといえば、アウトドア好きに人気が高い自動車メーカー。アウトドア用品との親和性を感じていたところ、端材廃棄物削減という課題解決に取り組む中、社員のアイデアによってSG BASEが誕生することになりました。
今まで、やむを得ず廃棄されていた端材は、クルマ用の素材として開発されたものであることから、質感はもちろん、耐久性にも優れた高級素材です。端材とはいえ、廃棄するには惜しい。しかも、クルマの内装で使用するには、ある程度のサイズが必要なため、どうしても端材が出るそう。
例えば、シートカバー。一部がつぎはぎになっていたら、納車されたときに、ちょっぴり残念な気持ちになりますよね。だから、端材は使えない。そんな端材が活用されているのが、SG BASEです。
ただ、もとの素材は、クルマ用として開発されたもの。しかも、数名の社員のみで運営するブランドとあって、商品ができ上がるまでには、さまざまな苦労があったようです。
「工場から廃棄される前の端材を回収し、商品として形にするまでには多くの技術、専門知識が必要です。それを、数名の社員がとにかくアイデアを出し合い、社内の縫製部署や設計者の力を借りながら形にしています。」(しげる工業株式会社 経営戦略本部 ベンチャービジネス企画部 SG BASE課 大川友希さん)
材料となる端材回収から、商品開発、販促物制作、そして販売と、すべて社員のみでチャレンジして、現在の形になっています。SG BASEで使用されている端材はブランノーブという素材で、分厚くて丈夫なことから縫製には高い技術が必要です。クルマの内装とは違った作業になるため、新たな技術が要求されたのだろうと想像できました。
手触りと最高の縫製技術で仕上げられるアップサイクルシリーズ
クルマの内装材として優れた耐久性、機能性をもつブランノーブは、肌触りのよいスウェード調の高級人工皮革です。
「一番のこだわりポイントは、商品の品質の高さです。最高の素材を自動車内外装メーカーとして培った高い縫製技術で仕上げています。」(大川さん)
こだわりのアイテムをご紹介します。
実際に缶クージーを持ってみると、ここまでするのかと驚くほど柔らかく、手になじむ感覚がありました。缶クージーではありますが、写真のようにちょっとこだわりのボトルを入れてみたくなる高級感のある佇まい。いつもよりおいしく感じられそう。
手で触れただけでも存在感があるということは、座ってみるとどうなんだろう、チェアカバーを付けた椅子に座ってみました。アウトドア用のチェアは、ポリエステルなど濡れてもすぐに拭くことができる素材のものを利用していますが、ブランノーブを使用したカバーをつけると、フィット感がなんともいえません。心地よい肌触りでありながら、難燃性、撥水機能があるというのはうれしいポイントです。アウトドアだけでなく、デイリーにも利用したくなる心地よさ。
また、リバーシブルになっていて、裏地には、炎神というこちらも難燃、撥水機能が備わった素材が使用されています。
OD缶もドレスアップしたくなります。見た目だけでなく、携帯するときにキズが付きにくくなるなどのメリットもあるため活用したいアイテムのひとつ。難燃素材なので、安心して使えます。
ブランノーブ使用のビッグサイズトートなら、ギアを入れて持ち運ぶときも安心です。内側には、ポケットが多数あり、小物類を仕分けして入れられるようになっています。ブランノーブの肌触りは、高級ブランドのバッグに使用されるアルカンターラに似ていたので、デイリー使いにもよさそうです。
高品質のアップサイクルアイテムで地域を盛り上げたい
ほかにもクルマのシートカバーやカトラリーケースなども展開しているSG BASEは、アップサイクルの取り組みに賛同してくれる人たちと活動の輪を広げていくことを考えているといいます。
「高品質なアップサイクル品を作り続け、地元の群馬県・太田市や自動車産業を盛り上げていきたいです。」(大川さん)
廃棄を減らすだけでなく、地域貢献の重要性も感じて立ち上げたSG BASE。アウトドアを楽しむみなさんに、どのように製品を活用してもらいたいか伺ったところ、
「元は自動車内装材ですが、アウトドアの使用にとても優れています。耐摩耗性、防汚性に優れ、難燃、撥水の機能も備わっているため、アウトドアでのタフな条件下でガンガン使っていただけます。ぜひ、長年の相棒としてそばに置いていただきたいです。」(大川さん)
クルマにはタフな素材が使用されているのだと、改めて感じることができたSG BASE。クルマでキャンプに出かけるなら、クルマ由来のアイテムを相棒にするのもいいですね。
SG BASE
https://www.sgbase.jp/