まさにジープブランドの象徴的存在ですが、今回、大幅な改良を施され、より進化しました。高い実用性と走破性にさらなる磨きをかけたラングラーは、アウトドアでどんな可能性を見せてくれるのでしょうか?
ラングラーってどんなクルマ?
今回の新型ラングラーは2018年に登場した4代目のマイナーチェンジモデルです。新たなラインアップは、エントリーグレードとして復活した「アンリミテッド・スポーツ」と、町中での使いやすさを考慮した「アンリミテッド・サハラ」、そして本格的なオフロード性能を存分に発揮できるように仕上げた「アンリミテッド・ルビコン」(以下、「ルビコン」)の3タイプがあります。ちなみにPHEV(プラグインハイブリッド)の「4xe」もありますが、今回のリフレッシュモデルは、全車ともエンジンは2Lの直列4気筒ガソリンターボで、副変速機を備えた8速トランスミッションが組み合わされ、地球上のあらゆる道を走り抜けるとも言われる4WDシステムは健在。
目立った改良点としては、新デザインのフロントマスクやホイール、最新のインフォテインメントシステムや新デザインのシート(上級モデル)など、装備を充実。その上で799万円のエントリーモデルを復活させ、「アンリミテッド・サハラ」を31万円値下げして839万円、「ルビコン」は16万円値下げして889万円を実現。ちょっぴりですがラングラーの敷居を下げてくれています。
ハードな道に対応する「ルビコン」は普段使いもイケる
カリフォルニア州レイクタホの西に位置する全長18kmの、世界一過酷と言われる山道「ルビコントレイル」。走破するには平均1日半は要するというこの難コースでは、ジープブランドの開発も行われているといいます。このコースにちなんで名付けられたのが、ジープの中で最強のオフロード走破性を誇る「ルビコン」です。道なき道を駆け抜ける実力はすでに折り紙付きですが、「なんでもできる」ことを目指したラングラーですから、「ルビコン」は普段使いでも活躍。街での買い出しから高速走行でのロングドライブ、そしてキャンプサイトなどでの使い勝手といった実用性も十分に考慮した仕上がりは必須です。
一方、大きなアウトドア道具などの積み下ろしでは90度まで開く横開きのゲートを開け放つことで、長物や大型の荷物を奥まで押し入れやすく、スペースを有効利用できます。この辺の使いやすさはラングラーならでは。荷室の横幅(タイヤハウス間)は100cm、間口部の高さは90cm確保されています。
荷室は5人乗車時でも奥行きは95cmあり、容量は898L。大人2人、子供2人の1泊分の荷物や外遊びのギアなら十分に積み込めます。またリアシートをたたんだ状態での床は完全なフラットではありませんが、奥行きは165cm、容量が2,050L(容量は北米仕様・SAE計測値)あります。前席を目一杯前へ移動すれば、車中泊にも十分対応できます。この実用的な荷室を実現できたのも、変わることのない唯一無二の箱形フォルムがあってこそ。
受け継がれたDNAといえば、縦長のグリルを7つ横に並べた「7スロットグリル」と呼ばれるワイルドな表情のフロントグリルも健在です。ただし、よく見ると「グリルサラウンド」と呼ばれる縁取りが施され、旧型よりも幾分表情が新しさを感じさせます。これは単なるお化粧直しではなく、エンジンの冷却性も改善する効果があります。それに加え、全車ともホイールのデザインを変更したことで、佇まいの鮮度は向上しています。キャンプサイトでの映えも抜群なのです。
街とフィールドで役立つ新機能
一方、インテリアでの注目点といえば、ラングラーとして初めて装備した12wayのパワーシート(「サハラ」にも装備)です。細かな設定が可能となり良好なフィット感も魅力です。外遊びで疲れたお父さんのドライブをサポートしてくれる、実にありがたい機能といえます。
また、最新のインフォテインメントシステムを搭載した12.3インチのタッチスクリーンを全車が装備しています。インフォテインメントとは、「情報取得」と「娯楽体験」が一体となったサービスやシステムなどのこと。「Apple CarPlay」や「Android Auto」といった、スマートフォンのミラーリングにも対応しているので、ドライブ中に重宝します。ナビゲーションシステムは高い信頼性と使いやすさに優れたアイシン製。5倍も高速化されたプロセッサーを採用したシステムということで、作動のレスポンスは大きく改善されています。ドライブ中のイライラ感は軽減され、安全運転に貢献することになります。
もうひとつ安全運転というかアウトドアフィールドで嬉しいのは、フロントガラスに高い耐傷性を誇る「ゴリラガラス」を採用している点。アウトドアフィールドでは小枝などが飛び出しているような細い道を走行することも多いので、安心感は高いです。また、高速走行時の飛び石による被害にも有効でしょう。
このように外観やインテリアのデザインや装備を充実させた新型ラングラーですが、走りの面でも性能アップを行いました。大幅改良ではありませんが、「ルビコン」のリアアクスル(後輪の駆動軸)を、トラックなどにも採用される、より堅牢なものに変更。オフロード性能や最大けん引能力を向上させています。
なお、「ルビコン」にはサイドステップが装備されていません。ロードクリアランスの高いクルマだけにサイドステップがあると乗り降りが楽になりますが、「ルビコン」はオフロード走行などで、岩などの障害物に引っかかったりすることを考慮して装備されていないのです。ちなみにエントリーモデルの「アンリミテッド・スポーツ」にはオプションでステップが用意されていますが、子供や女性、そしてお年寄りなどの乗り降りを考慮するなら、注意すべきポイントといえるでしょう。
普段使いでは燃費のいい「2H」で走ろう
さて、走りを支えるエンジンは、これまでどおり2リッターの直列4気筒ターボエンジン。最高出力は272PS(200kW)、最大トルクが400N・mと変わりません。レスポンスも良く気持ちよく回転が上昇し、市街地での扱いでもストレスを感じるシーンはありません。普段使いでは省燃費を優先させるために副変速機を「2H」にセットし、後輪駆動で走るのがおすすめです。
カタログ燃費は9.2km/ℓ(WLTCモード)で、輸入車では珍しいレギュラーガソリン仕様なのもうれしい点です。車両重量が2,110kgあるため、さすがにヒラリヒラリというわけにはいきませんが、交通の流れに遅れを取るようなこともなく、快適に走れます。
そしてひとたび河川のキャンプサイトなどのオフロードや深い轍の雪道に遭遇すれば、ラングラーの本領発揮です。ジープが長年培ってきた4WDシステムと、200mmというたっぷりとした最低地上高があれば、日本のオフロードで音を上げることはまずありません。この頼もしさというか、心強さがワイルドなラングラーのスタイルをよりいっそう際立たせてくれます。
【JEEP WRANGLER Unlimited Rubicon 2.0L】
- 全長×全幅×全高:4,870×1,930×1,855mm
- 最小回転半径:6.2m
- 最低地上高:200mm
- 車両重量:2,110kg
- トランスミッション:8速AT
- 駆動方式:4WD
- エンジン:直列4気筒DOHCターボエンジン 1,995cc
- モーター最高出力:200kW (272ps)/5,250rpm
- 最大トルク:400 kW/3,000 rpm
- 燃費:9.2km/l(WLTCモード)
- 車両本体価格:¥8,890,000~(税込み)
問い合わせ先:ジープ
TEL:0120-712–812