桐朋中学校・高等学校「生物部」のライフワークとは?川がフィールドの昆虫班&魚類班に密着 | 自然観察・昆虫 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

自然観察・昆虫

2024.08.22

桐朋中学校・高等学校「生物部」のライフワークとは?川がフィールドの昆虫班&魚類班に密着

桐朋中学校・高等学校「生物部」のライフワークとは?川がフィールドの昆虫班&魚類班に密着
東京都西部、国立市に位置する桐朋中学校・高等学校は中高一貫の男子校。創立(1940年)以来守り育ててきた「みや林」という約4,000㎡の雑木林に囲まれた自然豊かな学校だ。
 
その中で、ひときわ人気を誇るのが、部員数70名を誇る生物部。今回は生物部の中でも川をフィールドとしている、昆虫班&魚類班の活動にお邪魔した。
 

少年よ、大志を抱け!定点観測場所でガサガサ三昧

image

右から、カブトムシ推しの中3・サンサン、クワガタ推しの高1・内藤くん、ミヤマクワガタ推しの中3・宮本くん、クモ推しの顧問・宮下彰久先生、クワガタ推しの中1 ・野口くん、カマキリ推しの中1 ・浅野くん。「体験に勝るものなし!」(先生)

夏休み真っ只中、集まったのは中高合わせて5人の部員。

「定点観測はいつも少数精鋭。毎週末行なっているので、行ける人が手を挙げて行く形です」
 
とは、顧問の宮下彰久先生。

「普段は高校生が中学生を引率してくれるから、僕はほとんど行かないんですけどね」
 
と、朗らかに笑う。必ず先輩が連れていき、川のここは入ってOK、ここはダメ、と自分たちの経験から教えている。今日は、今年で15年目となったハグロトンボの生態調査だ。

「最初はくにたち郷土文化館が主催で行なっていた市民参加型の調査隊に参加したんですが、3年目から生物部昆虫班が引き継ぐことになり、2009年以来継続しています」

「あ、いたいた!」
 
ハグロトンボを見つけては網を振り、個体をチェック。

「あ、ちょっと傷めちゃった」
 
と、1匹捕まえた宮下先生。

「マリオ(宮下先生のあだ名)がノックアウトした!」

「大丈夫かな?」
 
フランクな関係が窺える。

「オニヤンマ捕まえたよ〜」
 
調査を終えた途端、自由に駆け回る生徒たち。どうやら、調査と捕まえたい昆虫は違うよう。
 
その後は魚類班と合流し、定点観測場所でガサガサ三昧。

「今は水をコップ一杯取って調べれば、その中にあるDNAでどんな魚がいるかわかっちゃう。だから大学生ほど、水に入らなくなるのかもしれません。でも、中高生の間に実際にフィールドワークすることで、暑い、冷たい、痛い、いろんな感覚を味わえる。生き物を好き、という気持ちに体験が混ざることが大切で、それでこそ生き物を楽しいと思えるんです」
 
最近は危ないという理由で、外に出る生物部が減ってきているという。自然は体験してなんぼ。少年よ、大志を抱け!

15年継続中!

昆虫班のライフワーク!用水路でハグロトンボの生態調査

image

現役部員は70名ほど。宮下先生とLINEでつながっている部員は総勢85名(卒業後も残っている大学生もいるため)。昆虫班、クモ班、鳥類班、魚類班、両生爬虫類班に分かれて活動中。

伝統その一
「捕虫網の使い方」

image

写真の網は 内藤くんの自作!

虫が網に入った瞬間、開口部を垂直に立てる。

image

開口部を下向きに
180度回転させ、網を折り返す。

image

さらに網を90度回転させ、昆虫を捕獲する。

今日は全部で15匹確認!

image

image

捕まえたハグロトンボの黒い後翅裏面に白い油性ペンで捕獲番号をマークし、雌雄や成熟度を記録して逃がす。都市化される水域での実態調査。

網を片手に里山風景が残るフィールドへ

image

「あ、魚影が見えた!」「えーー、どこだろ?」「お、こっちにいるぞ」

6月〜10月の毎週日曜日に昆虫網を振り回す姿は、ご近所さんの風物詩でもある。「15年で周囲の環境はガラッと変わりました」(宮下先生)。

image

ハグロトンボは羽化後成熟するまで、林の樹木に止まって過ごす。そのため、用水路に沿って広がる近隣の林のなかも調査。

image

追い払わないよう、全員でゆっくり下流から上流へと歩き、約800mの調査域を調べる。捕獲担当と記録係に分かれて作業を分担。

たまにちょっと脱線

image

シオカラトンボ

image オニヤンマ

魚好き集まれ!

魚類班の調査はガサガサを駆使した定点観測

image

魚類班は淡水班と海水班に分かれる。基本は身近な生き物観察だが、長期休みともなると、沖縄や北海道まで遠征するグループも。夏合宿では、4日間飽きることなくガサガサ三昧!

伝統その二
「ガサガサ漁法」

image

上部が平らなタモ網を川下に差し込む。片側は草むらに密着させて、逃げる隙間を作らない。

image

川上から水中をバシャバシャと揺らして、網の中に魚を追い込む。その際、網は動かさないこと。

image

何が捕れたかな?

本日の収穫!

image

タカハヤとカワムツをゲット! ほかにアブラハヤやコイの姿も。

image

ヌマエビと、最近少し減ってきたというホトケドジョウ。

image

右から、オイカワ推しの中3・宮本くん、「オイカワどこだ…」。 ホトケドジョウ推しの中3・陸くん 「コンクリート熱っ」、カジカ推しの中3・サンサン 「あそこにいそう!」

興味に合わせ、班を掛け持つ生徒も多い。中3ともなると、涼しくなっても調査に加われるよう、ウェダーを導入する生徒も。

※構成/大石裕美 撮影/山本 智

(BE-PAL 2024年9月号より)

NEW ARTICLES

『 自然観察・昆虫 』新着編集部記事

ドクター阿部イチオシ!知的好奇心をくすぐる雑草博士御用達の図鑑を紹介!

2026.01.31

今年はオオマシコの当たり年!賑やかな冬鳥シーズンこそ赤い鳥に会いに行きたい!

2026.01.31

注目の人物部門「僕には鳥の言葉がわかる」著者 鈴木俊貴さんが受賞!【第5回 BE-PALアウトドアアワード 2025】

2026.01.05

真冬でも元気な雑草を解説!春の七草を探す新春散歩に出かけよう

2026.01.04

意外と近所で暮らしてる! ムササビ観察ナイトハイク

2025.12.25

雑草を使ってクリスマス&お正月用飾りを作ろう! 冬のビーチコーミング遊びのススメ

2025.12.22

個性的すぎる花の世界! オンシジュームを観察してみよう

2025.12.20

野鳥好きのタレント磯野貴理子さんが高性能カメラで激写!

2025.12.15

浜辺を駆ける白いミユビシギと並走!冬の砂浜でフォトジェニックなシーンを狙おう

2025.12.15