富士山の山小屋は「お助け小屋」といわれた時代があるほど、登山者にとって、なくてはならない存在。テント泊は禁止されているので、誰もが山小屋で1泊して体を休め、余裕を持って行動するのがセオリーです。
注意したいのは、とにかく込み合うこと。予約が必要なうえに、それでも寝床として確保できるスペースは肩幅程度しかないということは珍しくありません。清潔に保たれてはいますが、布団も共用です。そんなことを嫌って、日帰り登山を強行する人もいますが、休みを取らずに急激に標高を上げて登っていくことは、高山病になる最大の原因。たとえゆっくりと眠れなくても、長時間山小屋で休憩すると体が高所に慣れてきて、歩きやすくなります。
夕食はカレーライスが定番。ただし量はそれほど多くはないので、おなかいっぱいになりたい人や男性の仲間がいる人は、自分でもパンなどの食料を用意したほうがよいでしょう。朝食にはオニギリなども用意してくれます。また、輸送費用がかかるため少々高額ですが、携帯酸素やビールも販売しており、必要ならば購入も可能です。
トイレも山小屋に併設されていますが、とくに朝は混雑するので、タイミングを考えなければならないのが女性にはつらいところ。最近は環境を考えて、バイオトイレになっています。
富士山の気象は過酷。体調が悪くなったときにも頼れる山小屋は、本当にありがたい存在なのです。
小屋での睡眠は場所を決められたうえで、広間での雑魚寝状態が普通。隣には見知らぬ人がおり、気になって眠りにくいことも多いようです。昨年改築された写真の「東洋館」のような小部屋は珍しく、貴重な存在です。