立山黒部アルペンルートの最高地点、室堂平
標高2450mの森林限界へ
標高3015mの立山は富山県の最高峰であり、日本海に面する道府県の中でも最高峰の高山です。そのレベルの高山に登ろうと思うとそれなりの登山経験が必要ですが、標高2450mの室堂平までは上級者でなくてもアクセスできます。
高木が生育できない森林限界の世界を味わえる、室堂平へのアクセスや魅力を紹介します。
立山の歴史
かつて、立山は「神々が宿る山」とされ、富士山や白山と並ぶ「日本三霊山」として山岳信仰の対象とされていました。人々は山に立ち入ることを慎み、江戸時代までは女人禁制の地とされていたりと、宗教色の強い山でした。
そんな立山も、今では誰もがアクセスできる山として変貌を遂げています。
富山駅から室堂平までのアクセス
さまざまな乗り物を体験できることも室堂平までの登山の魅力の一つ。室堂平までの道中では、鉄道、ケーブルカー、バスを乗り継いで向かいます。
今回の記事では、富山駅からのアクセスを紹介します。
富山駅から富山地方鉄道で立山駅へ
まずは、富山駅から富山地方鉄道で立山駅へと向かいます。富山地方鉄道は長年経営の苦しい状況が続いており、2024年3月に発表された昨年度の決算では5期連続の赤字となりました。コロナ禍が終わりを迎え、現在は外国人観光客も再び増加しているため、今後黒字に転じるといいですね。
立山駅からケーブルカーで美女平へ
立山駅からはケーブルカーに乗り替えて美女平を目指します。立山駅と美女平の区間1.3km、標高差およそ500mを7分かけて力強く登っていきます。車窓からは、低山帯の森林から山地帯の森林へと変化する光景を楽しめます。
美女平から立山高原バスで室堂平へ
美女平からは立山高原バスに乗り換え、目的地の室堂平を目指します。
室堂平に到着!楽しみ方を紹介
森林限界の世界を散策
さまざまな乗り物を乗り継ぎ、目的地の室堂平に到着!スムーズに乗り継げた場合、富山駅からの所要時間は片道2時間程度です。標高2500mの室堂平は夏でも平均気温が15℃前後と肌寒く、急な天候の変化に備え、薄手のレインウェアを持参しておくと安心です。
森林限界では高木が生育しないため、遠くの山々まで見渡しながらの散策は最高です。
室堂平のシンボルであるミクリガ池は、約1万年前にできたとされる火山湖です。春山の残雪期には完全に氷結しており、標高の高さから夏山のシーズンでも結氷が見られることも。秋山の時期には立山三山の紅葉を水面に映し、その絶景を見るために観光客が最も増える時期です。
珍しい動植物を観察
室堂平では地上では見られない珍しい動植物も観察でき、特別天然記念物にも指定されるライチョウはその筆頭です。令和3年6月、富山雷鳥研究会が現地調査で視認したライチョウの成鳥の生息数は205羽(オス163羽、メス42羽)でした。
立山は中部山岳の中で最も生息数が多いとされており、霊山であるこの地では昔から「神の使い」として大切にされてきました。
立山の山頂や剱岳を目指す(登山上級者向け)
ちなみに、室堂平からは立山の山頂や剱岳を目指すこともできます。立山の山頂であれば往復3時間半程度の行程で、時間によっては日帰りでも十分アクセス可能です。ただし、剱岳は滑落者も多く出る登山上級者向けの山であるため、十分な経験と装備を有したうえで登りましょう。
憧れの森林限界の世界へ
到着までそれなりの時間を要するものの、登山上級者でない方でもアクセスできる立山の室堂平を紹介しました。まだまだ暑さの厳しいこの時期、涼しさと森林限界の絶景を求めて足を運んでみてはいかがでしょうか。