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燻製の基本をおさらい
そもそも燻製とは、木材などを燃やした時に出る煙を、ベーコンやチーズなどの食材にかけて風味をつける調理方法。もともとは、燻煙により殺菌成分を食材に浸透させるとともに、水分を飛ばすことで食材を長期保存するための加工技術だ。
現在では腐食を防ぐ目的よりも、燻煙の香りを楽しむ目的で行なわれることがほとんど。 一口に燻製といっても、調理する温度によって3種類に分かれる。各種類の特徴を解説するので、まずは燻製にはどのような方法があるのか押さえよう。
熱燻
熱燻は80~140度C程度の高温で食材を燻す方法。10分~1時間程度と、他の方法よりも短時間で調理できるのが特徴だ。
手軽にできることから、キャンプやBBQで行なうケースが多い。熱燻は食材の水分を残したまま調理できるので、ジューシーな仕上がりになるが長期保存には向いていない。
温燻
温燻は30~80度Cで数時間から1日程度かけて燻す、一般的な燻製の方法。熱燻に比べて水分を抜くことができるため、5日間程度は保存できるのが特徴だ。
冷燻
冷燻では15~30度Cの低温で長時間かけて燻す。外気に合わせて温度調整をする必要があるため、上級者向けの方法だ。
水分がしっかり抜けるため、スモークサーモンなどを作るのに向いている。長期保存が可能なのも特徴の一つ。
▼参考記事
達人が伝授!4つの簡単な燻製方法を紹介
教えてくれたのは、スモーキーフレーバー代表・服部 弘さん。
絶品アウトドアスモークに挑戦!
「そもそも燻製は保存のためのものですが、いまは香りを纏わせるおつまみ燻製が流行っています。庭やキャンプで気軽に挑戦するなら、最初は道具も手軽なおつまみ燻製がおすすめです」
服部さんが用意してくれたのは、ダンボールからバケツ燻製器まで全5種類。
「燻製は温度帯によって3種類に分類できます」
80度C以上の高温で食材に火を通しながら燻すのを熱燻、30~80度Cの煙でじっくり燻すのを温燻、30度C以下で食材に火を入れたくないのが冷燻だ。
「初めてならスモークウッドとダンボールを使った手軽な温燻や、あまり温度の上がらない固形燃料を使うのもいいでしょう」
食材も下準備不要で即燻製できるものが向いている。
「慣れたら、ハムやベーコンのように、塩漬け、乾燥、燻製と段階を踏むものに挑戦してみてください。でき上がったものは保存性も高められますよ」
スモークウッドを使ったダンボール燻製
スモークウッドは火を点けたら熱源不要で放っておけるのが大きな魅力。ダンボール燻製器は紙でも2~3回は繰り返し使える。
登山でも楽しめるメスティン燻製
鍋を傷めないよう、短時間で仕上げるメスティン燻製。中火で煙を立たせたら、弱火にして燻すのがコツ。
100均アイテムと固形燃料のお手軽燻製
100均のボウル、網、取っ手で作るお手軽燻製器。ステンレスが薄いので、熱源は火力の弱い固形燃料を組み合わせる。
おうちキャンプにおすすめ!お鍋燻製
家の鍋を使って熱燻にチャレンジ。30分ほどの短時間燻製に最適。ボウルを利用して円形のフタを作れば、中が結露しても安心。
▼参考記事
キャンプでも自宅でも!お手軽なシェラカップ燻製
難しく思われがちな燻製だが、実は10分もあればできてしまうお手軽な方法がある。「シェラカップ燻製」で、用意するものは以下の通りだ。
- シェラカップ(直火OKなもの。茶色い色が付くことがある。)
- シェラカップ用の蓋(アルミホイルで代用が可能。)
- シェラカップ用の網
- アルミホイル
- スモークチップ
- コンロやシングルバーナー
- 燻製にしたい食品
1度にできる量が少ないので、小さな食材が適している。キャンディーチーズやベーコン、ウィンナーやうずらの卵がオススメだ。風味をつけるためにも、なるべく水分はふき取っておこう。
1.シェラカップと蓋に、それぞれアルミホイルをかぶせる
必須ではないが、食品やスモークチップが焦げ付いて取れなくなる事があるため、シェラカップ本体と蓋にはアルミホイルをかぶせた方が無難。かぶせるときはアルミホイルを軽く丸めてしわをつけ、広げてから使うと、破れにくくなる。
2.適当な量のスモークチップを入れ、網をかぶせる
続いて、スモークチップをシェラカップに入れ、シェラカップ用の網を中に入れる。
3.食品を入れ、蓋をして火にかける
火は弱めの中火から始め、チップの香りや煙を確認できたら弱火にしよう。
4.3~5分たったら火を止め、そのまま5分ほど置いておく
使用する熱源により火力が異なるので、はじめは様子を見ながらおこなう。慣れると、自分好みの硬さや色付き具合になるタイミングが分かってくる。
なお、火を止めたときに色が薄いと感じても、しばらく置くことで色濃くなってくる。
自分好みの硬さや色に仕上がったら、できあがり。チーズなどもともと柔らかいものは、できあがるとさらに柔らかくなる。取り出してお皿の上に置いておくと、冷めてちょうどよい硬さになる。
▼参考記事
簡易キットで簡単チャレンジ!「SOTO 燻家(スモークハウス)」
SOTO(ソト) 燻家(スモークハウス)
SOTO「燻家(スモークハウス)」はシンプルな構造で、ダンボール製の箱を使用して燻製を作ることができるアイテム。さらに価格もリーズナブル。「玄人のキャンパーさんが作るもの」「手がかかって大変そう」というような印象があり諦めかけていた燻製だが、これなら初の燻製でも安心してチャレンジできそうだと感じ、購入&使用してみた。
燻家(スモークハウス)の使い心地をレビュー
セット内容は以下の通り。
- スモーカー本体
- スモークウッドミニ
- 金網
- アルミ皿
- 金棒2本
- フック4個
燻製に必要な道具は全て揃っており、スモークウッドやアルミ皿などの消耗品も1回分入っている。
燻製の要となるスモークウッドに火をつけていく。
スモークウッドをアルミ皿に乗せ、段ボールの底へ入れる。その上の空間に金棒を通し、食材を乗せた金網を設置して、準備完了だ。
燻製開始後、試しに30分で一度様子をみてみた。チーズには色がつき始めてきたものの、まだ水分がかなり残っている様子。あと1時間ほどじっくり燻製することに。
この時は1時間半経ったところで、食材を取り出した。燻製した食材を食べてみたところ、どの食材も香ばしく、ほど良く水分が飛んでいて、非常に美味しく食べることができた。
簡易的なキットだったので、どのような仕上がり具合になるのか多少の不安があったが、本格的な燻製が楽しめるアイテムだ。
また、付属のスモークウッドは約1.5時間で燃焼が終了する。食材によっては付属のスモークウッドでは足りなくなる場合もあるため、予備のスモークウッドを購入しておくといいだろう。
▼参考記事
自宅でも簡単に燻製ができる「SOTO キッチン香房」
SOTO(ソト) キッチン香房
家でも燻製を食べたいけれど、自分で行うのはちょっと難しそう。準備も片付けも大変そうなイメージがあった。しかし専用の鍋があれば自宅でも簡単に燻製が楽しめる。
使い方は鍋の底にチップを敷いて、その上に網を乗せるだけ。
網の上に、このままでもおいしそうな食材を並べていく。
ちなみに、アルミホイルを敷いてキッチン香房を使用するのはオススメできない。メーカーに問い合わせたところ、食材から出る汁などが鍋底とアルミホイルに焦げ付く恐れがあるため、推奨しないとのことだ。
鍋を火にかける。この時、必ず弱火にすること。火力が強いコンロだと、強火にすると場合によってはチップに火がつくこともある。弱火でじっくりといぶしていこう。火は弱火だが、換気扇は一番強く回している。この後チップからモクモクと煙が出てくるので、換気扇は必ず回しておこう。
しばらく火にかけていると桜チップの燃える匂いがしてくる。鍋は非常に熱くなっているので、やけどしないように注意。フタをしたら、5分ほど待つ。
鍋は煙が外へ逃げていく構造になっているため、フタを閉めても少し隙間が開いている。食材に苦味をつきにくくするために、そのようなつくりになっているという。5分後、食材を取り出す。
▼参考記事
ステンレス製で手入れも簡単「コールマン コンパクトスモーカー」
Coleman(コールマン) コンパクトスモーカー
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ソロキャンにもぴったりなコンパクト仕様「ユニフレーム インスタントスモーカー」
UNIFLAME(ユニフレーム) インスタントスモーカー
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手軽にチャレンジできる道具一式セット「キャプテンスタッグ 燻製ビギナーセット」
CAPTAIN STAG(キャプテンスタッグ) 燻製 ビギナーセット
▼参考記事
熱燻タイプの簡単スモークキット「マルカ かんいスモーくん」
マルカ かんいスモーくん
別に準備をする必要があるのは熱源と食材のみ。お好みで、芳ばしさの増すスモークパウダーも用意すると、味わいに深みが増す仕上がりになる。
3.5KWのカセットコンロを使用し、弱火から中火くらいで熱した。スモークチップが熱されて煙が立つまで10分程度かかる。その時間を含めて40分程度で完成。
熱燻は100度Cの高温で一気に燻煙処理する方法なので、短時間で仕上がる。脱水され、ほどよく歯ごたえが出た。サクラチップの風味とスモークパウダーの芳ばしさが鼻を抜けていき、燻製の醍醐味を味わうことができる。
強風のなかで燻煙すると、アルミ製のふたが風にあおられて飛んでしまう可能性があるため注意しよう。
▼参考記事