ラオスの旅5
ラオスの古都ルアンパバーンの街の中心近くには、プーシーと呼ばれる高低差150メートルほどの小高い丘があります。麓から数百段の階段を登った先にある丘の頂上には、夕刻になると大勢の観光客が集まってきます。
夕刻にプーシーの丘に集まる人々のお目当ては、これ。メコン川の向こうにゆっくりと沈んでいく夕日です。柔らかな暮色の光が、空と川面を照らしていました。
丘の上からは、ルアンパバーンの街をぐるりと一望することができます。この写真で見えている川は、ナム・カーン川。街にはビルなどの近代的な高層建築がほとんど見当たらないことがわかります。街全体が世界文化遺産に指定されているのも頷けますね。
プーシーの丘から街に降りてくると、シーサワンウォン通りのあたりは、どんどん人が集まってきて、にぎやかな雰囲気に。これから、ルアンパバーン名物のナイトマーケットが始まるのです。
ナイトマーケットでは、ラオスならではの伝統織物をはじめ、チープで個性的な服や雑貨など、品揃えが本当に豊富。露店を出しているのは大半が少数民族のモン族の人々だそうですが、通りがかってもグイグイ声をかけてくるわけでもなく、のんびりぶらぶら、気楽に見て回ることができます。
ぺたんとしゃがみこんで品物を物色するお客さんに、のんびりとしたテンションで説明しているお店の人の様子。見ていて何だか、いいなあ、と思いました。
シーサワンウォン通りの東の端近くの路地には、夜になると飲食店の屋台がずらりとオープン。豪快に煙を立てながら焼いた肉や魚を食べさせてくれます。調理済みの惣菜を好きに選んで注文し、近くのテーブルで食べることもできるので、食事を安く済ませたい旅行者にはうってつけのスポットです。
毎晩、同じ場所で二胡を弾いているおじいさん。ナイトマーケットのにぎわいの中で、物悲しい音色が、暮れていく空に吸い込まれるように聴こえていました。
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◎文/写真=山本高樹 Takaki Yamamoto
著述家・編集者・写真家。インド北部のラダック地方の取材がライフワーク。著書『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』(雷鳥社)『ラダック ザンスカール スピティ 北インドのリトル・チベット[増補改訂版]』ほか多数。
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