街の人も外国人もみんなボーダレス!「つながる・たのしむ・ひろがる」インバウンドの新おもてなし
左:chabudai 共同代表
西村拓也さん
大手通信会社に勤務ののち、2016年に独立。’18年にゲストハウスchabudaiを開業し共同代表に。「小江戸といえば、佐原と栃木も。福岡の柳川も風情があります」
中:スウェーデンのアウトドアガール
ヤンニ・オルソンさん
女優、タレント、モデル、レポーター、コラムニストの顔を持つトリリンガル。今回はじめて訪れた川越にすっかり魅了され、「今度は自転車で来てみます!」
右:本誌編集長
沢木拓也
大学時代はワンゲル部。全国各地を遠征し、そのほとんどがキャンプ泊だった。セカンドハウスを購入して田舎暮らしを満喫中!
インバウンドが求める日本とは?
昨年、川越市を訪れた観光客数は、前年比約3割増の719万1000人。このうち外国人客は61万5000人で、過去最多。小江戸と呼ばれるように、歴史ある建造物や江戸時代から続く城下町の風情が魅力であるのに加え、都心から電車1本で来られるアクセスの良さが人気の理由のようだ。
そんな川越で、古い商家をリノベーションしたゲストハウス「chabudai」をオープンした西村拓也さんと、日本在住13年のヤンニ・オルソンさん、本誌編集長沢木が、インバウンドが求める日本像について話しあった。
ゲストハウスが持つ役割とは
沢木 そもそも川越にゲストハウスを作ろうと思ったきっかけはなんですか?
西村 ’16 年に川越市主催の「まちづくりキャンプ」に参加しました。街全体のリノベーションを図る企画で、川越の魅力を再発見。同時に仲間もでき、’18 年11月に開業にこぎつけました。
沢木 最初からゲストハウスとカフェが混ざったような場所作りを考えて?
西村 観光客だけではなくて、街の人にとっても、新しい出会いの場であったり、外の人と触れ合う入り口になるような場所を作りたかったんです。
沢木 もともと、ご自身がそういう場所が好きだった?
西村 旅が好きで、外国は30~40か国、国内は全国各地に行きました。
沢木 そんなときはいつもゲストハウスに?
西村 そうですね。だから自分の理想像があったのかも。
ヤンニ 私もゲストハウスが好きです。いちばん印象に残っているのは、八丈島のおばあさんの民宿。みんなと楽しめる、人と出会えるような場所がいい。
西村 そうそう。それなんです。
ヤンニ でも、昔は日本語が話せないと、こういう場所は不安でなかなか泊まれなかったね。その点いまは、SNSとかで調べると色々情報が出てくるので、勇気を出して泊まれる!
西村 たしかに、成田空港でレンタカーを借りて、1日目にうちに来る観光客の方、いますよ。
沢木 ホントに!?
ヤンニ みんないま、そういう旅がしたいんですよ。他の観光客が行ってない場所、本当のつながりができる場所に行きたい。
沢木 川越も、昼は観光客で賑わってるけど、夕方になればサッと波が引いて、地元の人たちの中に入り込めそう。
西村 そうですね。朝晩は街並みが静かでいいですよ。そういえば、うちに泊まって、ここから京都に日帰りで行く、なんて人もいましたよ(笑)。
沢木 車なら高速も近いし、ここに泊まって旅に出るっていうのはありですね。
これからの街づくりに期待すること
西村 もともとインバウンドに特化したような作り方はしてなかったんです。日本人の方が楽しんでくれるような街、家、住まいを作った上で、海外の方も楽しんでもらえたらと。
沢木 それが逆に功を奏したんですね。
ヤンニ 日本は古いものをすぐ壊しちゃうのがもったいない。
西村 ビルに建て替えるんじゃなくて、街の雰囲気やあるものをうまくリノベーションして街を活性化すれば、海外の人も楽しめるはずですよね。
沢木 この循環を作っていくのがこれからの課題ですね
ヤンニ 観光もしたいけど、いまは何か体験したい人も多い。
沢木 あ、じゃあここの障子の張り替えとかいいんじゃない。
ヤンニ リアルで面白いかも(笑)。意外に喜ばれそう。
西村 海外の力を借りて、昔の街にスポットを当てる、そんな開発ならウェルカムですね!
年別平均滞在日数の推移
訪⽇外客数の推移
対談の舞台となった場所はこちら!
古き良き日本を感じる宿"ちゃぶだい"
土間はカフェラウンジとして開放され、昼はカフェ、夜はバーラウンジに。土間脇の路地を抜けると中庭に出られる。
chabudai
住所:埼玉県川越市三久保1-14
電話:049(214)1617
チェックイン 16:30
チェックアウト 10:00
男女混合ドミトリー ¥4,000〜、
個室1人 ¥7,000〜
HP: https://chabudai-kawagoe.com/
※構成/大石裕美 撮影/三浦孝明 出典/日本政府観光局(JNTO)
(BE-PAL 2024年10月号より)