九州の魅力を発信する"CYCLING ISLAND 九州"とは
国際レースとサイクルツーリズム
両輪で地域を活性化!
2020年、九州・沖縄・山口の9県と経済界が協力し、サイクリングを通じた地域活性化を目的とする「ツール・ド・九州」を開催することが決定。プロ選手が参加する国際サイクルロードレースと自転車で各県を巡る旅行者を誘致する「ディスカバー九州(現サイクリングアイランド九州)」が両輪で始動した。
「広域連携でオリジナルのサイクルルートを作り、周遊型の旅行商品を展開しています。国内外問わず継続的な誘客の促進を図ることが目的です」
とは、昨年度事務局を務めた、九州観光機構の山本哲朗さん。国内に向けては、ビギナーから中級者をターゲットにした、日帰りで気軽に走れる46コース。海外市場へは、3~10日間かけて周る10コースを用意した。
「台湾・香港・タイ・イギリス・フランスから専門家を招き、仮ルートを走ってもらって。その意見を聞いてブラッシュアップしたりもしました」
ところが、イギリス人の専門家から予想外のことをいわれた。
「サイクリング旅行の目的地として九州の認知度を聞いたところ、“Nobody knows”だと。そもそも九州のことを知らないよ、日本の中のひとつの島でしょ、っていわれたんです。ショックでしたね」
とはいえ、コースに関しては「起伏があるのが楽しい」「自然と日本の伝統的な建物や田舎を訪れることができる」など、前向きな意見が多かった。なかには、「山と温泉と観光などあれこれ詰め込まずに桜、火山、島などテーマを絞ったほうがいい」「車の移動は少なくしてほしい」という意見から、大幅に変更したコースも。
今年度もサイクリスト目線でのニーズを重視し、「九州、沖縄、山口のサイクリングコースに加え、自転車を部屋に持ち込める宿やレンタル施設などサイクリング旅行に必要な情報も集約、発信していく予定です」
と今年度担当の平川博紀さん。
「九州は、1時間もあれば山へも海へも行けるコンパクトアイランド。自転車人気の相乗効果で、アウトドア全般の人気が上がってきています」
これからは地元との“共創”が大切。理解を深めてもらい、地域を巻き込んだ継続的な街づくりに挑戦し続けている。
阿蘇地域がサイクリストの聖地と呼ばれるワケ
“九州を知らなくても阿蘇は走ってみたい”と、サイクリストに人気の熊本県阿蘇地域。そこでプラットホーム的役割を果たすのが、道の駅阿蘇だ。
「サイクルツーリズムという言葉がないころから、やまなみハイウェイをはじめ、阿蘇地域はサイクリストに人気のライドコースでした。道の駅には観光案内所があるので、“どんなルートがあるの”“どこで自転車が借りられるの”といった問い合わせがよくきていました」
とは、駅長の下城卓也さん。そんなとき活躍したのが、留学生のアルバイト店員だ。
「地域の交流イベントで観光客に母国語で説明してもらったり、阿蘇の魅力をブログで発信してもらったりしています」
もともと自転車好きだった下城さんは、阿蘇サイクルツーリズム学校「コギダス」協議会のメンバーでもある。地域と来訪者が一体となって、サイクルツーリズムを育んでいる。
「旅行者のほとんどは車に自転車を積んで来るんですが、阿蘇市内にはコインパーキングが少ない。そこで、道の駅の駐車場とは別の場所にサイクリスト専用の無料駐車場を設置。駐車許可証を発行することにしました」
温泉入浴券やソフトクリームの割引券などの特典をつけたところ、徐々にサイクリストのマナーも向上し、地域の人たちも協力してくれるように。
「今後はサイクリングアイランド九州とも連携し、予約なしでガイドを頼める体制を整えていきたい。サイクルルートを案内してくれるガイドがいれば、海外の人にもっと日本のサイクリングが身近になります」
「コギダス」が開発した「牧野ライド」。通常は入れない阿蘇の草原を、ガイドと一緒にライドできる。
道の駅主催の「阿蘇満喫ライド」では、阿蘇の観光地のひとつ、
❶標高約1,100mに位置する草千里や、❷阿蘇中岳の火口などもサイクリングで見学できる。ダイナミックな白い噴煙を間近で見ることができてエキサイティング!
阿蘇サイクリングやイベントも開催!
道の駅 阿蘇
ASO田園空間博物館
住所:熊本県阿蘇市黒川1440-1
電話:0967(35)5088
営業時間:9:00〜18:00(季節変動あり)
休日:年中無休
HP:https://www.aso-denku.jp
おすすめのサイクリングコースの紹介や、ガイド付きのサイクリングツアーを開催。サイクリスト専用更衣室も。HPは英語版もあり。
※協力/サイクリングアイランド九州実行委員会 https://cyclingisland-kyushu.com/ja/
※構成/大石裕美
(BE-PAL 2024年10月号より)