ガルフピッゲン山頂へのルートはふたつ。ガイドなしで登れる往復約10時間のコースに挑戦
「Galdhøpiggen(ガルフピッゲン)」はノルウェーの西部に位置するヨトゥンヘイム国立公園内にあります。ノルウェーだけではなく、北欧一高い山で、その標高は2,469mです。頂上を目指すルートは主にふたつあります。
ひとつ目は標高1,850mに位置する「Juvasshytta(ユーヴァスヒュッタ)」小屋から出発するルートです。往復約6時間、総距離約11kmで標高差も約700mと、ガルフピッゲンを目指す最短のルートです。途中、危険な氷河渡りをするため、ガイドツアーの利用が必須になります。
ふたつ目は、「Spiterstulen(シュピターシュトゥレン)」小屋からのルートで、往復約10時間、総距離約15km、標高差約1,500mというロングコースで、体力は使いますが難しい技術は必要ありません。こちらは氷河を通らないのでガイドなしでも登れます。そこで今回は、ガイドなしで登れるシュピターシュトゥレンからのコースで頂上を目指しました。
登山口まではハラハラドキドキのドライブコース
出発点となるシュピターシュトゥレンの山小屋までは、ヨトゥンヘイム国立公園の拠点となる「Lom(ロム)」の町から車で50分ほど。山小屋へたどり着くまでの最後の15kmは通行料150kr(約1,900円)が必要です。そこは舗装されていない砂利道で、車一台がやっと通れるほど狭いため、「対面車がきたらどうしよう」とヒヤヒヤしました。
さらに道中には、いくつかの木製の橋を渡る箇所もあります。大型バスも通る道なので大丈夫とは分かっていながらも、3.5トンもある大型キャンピングカーの私たちは「重さでこの橋崩れるんじゃないの?」とスリルを味わいながらのドライブとなりました。
スタート地点のシュピターシュトゥレン小屋のベースキャンプは最高にリッチ
登山口にあるシュピターシュトゥレン小屋は、最大220名が宿泊できるロッジで、ゆったりくつろげる客室のほか、豪華なレストランを併設し、登山者のベーススポットとなっています。水場、野外トイレもあるテント場ではキャンプも可能です。
広い駐車スペースもあり、道路通行料はこちらにある自動精算機に車のナンバープレートを入力して支払います。シュピターシュトゥレン小屋の営業期間は、冬季、夏季で分かれており、それ以外の期間は道路が通行止めになるので注意しましょう。
- 2024年の営業期間:3月15日~5月5日(冬期)、5月31日~9月29日(夏期)
ノルウェーの最高峰を目指してスタート
今回は登り下りとも同じコースを利用する往復約15㎞の長距離コースなので、朝8時から登りまじめました。
シュピターシュトゥレン小屋前にある川の橋を渡ってスタート。序盤は森のなかを歩き、徐々に標高を上げていくと、やがて森林限界を超え周囲の山々が見えてきます。幸運なことに晴天にも恵まれ、遠くまで景色が見渡せ、風もそこまで強くなかったので気持ちよく登れました。
1時間半ほど登ると、そこから先はゴツゴツした岩場コースになります。ゆるい岩場もあるので踏み外さないようにトレッキングポールでバランスを取り、一歩ずつ慎重に進みます。その先は、ずっと急斜面の岩場が続くため体力を消耗します。
氷河の「クレバス」には要注意
さらに進むと右側には広大な氷河が広がっています。よーく見ると別ルートのユーヴァスヒュッタ小屋から登ってくる人たちの行列が見えました。こちらのコースは「クレバス」と呼ばれる深い割れ目がある氷河の上を通るので、全員が1本のロープに繋がった状態で氷河を渡らなくてはいけません。深さ10m前後もあるので落ちたら大変なことになります。
登りはじめてから3時間ほど経つと、周囲は雪に覆われ頂上も見えてきます。しかしこの先、ふたつのピークを越えなければなりません。急斜面の雪道なのでアイゼンを装着し、安全に配慮して登ります。アイゼンを付けずに登っている人も多く見かけましたが、足を滑らせている方を何度か見かけたので、用心も兼ねてアイゼン、もしくはチェーンスパイクを使用することをすすめます。
360度パノラマ絶景のガルフピッゲンの頂上へ到着!
ラストの急登はゼェゼェと息を切らしながらもなんとか登り、ようやく5時間ほどかけてノルウェーの最高峰のガルフピッゲンへ到着しました。頂上は見渡す限り雄大な氷河に囲まれていて、見たこともない神秘的な光景が広がっていました。しかも8月中旬のサマーシーズンにもかかわらず、これほどの雪が残っているとは、ほんとうにすごい!
ここの山頂は普段、強風で数分しか滞在できないらしいですが、この日は、風もなく太陽がポカポカ暖かいほど気持ち良かったので、頂上でゆったりとランチをして景色を堪能しました。
山頂には、なんと夏場のみ開いているカフェと小さな売店があり、温かい飲み物やケーキを味わえます。
帰りは登りと同じルートで下ります。長い道のりなので岩場に気をつけ、休憩を取りながらゆっくり4時間ほどかけて下山しました。
今回登ったシュピターシュトゥレン小屋からのコースは距離は長いものの難易度は高くありません。氷河の上も通らないので体力に自信がある方なら登れると思います。10歳ぐらいの子どもや70歳ぐらいの老人、ワンちゃんまで元気よく登っていました。
北欧最高峰の景色はやっぱり格別だった
まさか私たちが北欧一高い山へ登る日が来るなんて夢にも思っていなかったので、達成感と感動でいっぱいのトレッキングになりました。このような貴重な体験ができるのもキャンピングカーでヨーロッパを周遊しているからこそ。これからも一日一日を大切にしながら、キャンピングカーに乗って世界の絶景や美しい山を探す旅を続けていきますのでお楽しみに!