日本の「同じ釜の飯を食う」「鍋をつつく仲」のように、一緒にブラーイをすることで仲が深まるものとも考えられているようで、毎週末にブラーイをする人も珍しくないとか。日本から遠く離れた南アフリカですが、意外にも日本にある身近な材料でブラーイを楽しめちゃいますよ!
そもそもブラーイとは?
そもそもブラーイ(braai)とは、アフリカーンス語で“焼肉”を意味するブラーイフレイス(braaivleis)の短縮形。
その語源は、オランダ語で“ロースト”を意味するブラーデン(braden)で、南アフリカに入植してきたオランダ人が持ち込んだのが始まりとされています。しかし当時から原住民族の間でも肉などを火で焼いて食べる習慣があったことから、徐々に民族を超えて浸透していきました。
家族や友人と仲間内で楽しむ“いつもの”ブラーイ、職場の歓送迎会や交流会として金曜日の午後に計画されるブラーイ、観光客向けにマーケットやレストランで提供されるブラーイ。
南アフリカのスーパーマーケットやアウトドア用品店にはブラーイの材料や道具が常に並び、ブラーイのメニューやトレンド、最新ギアを紹介する雑誌や書籍もたくさん発売されています。
南アフリカでUberに乗ったとき、ズールー人(黒人)の運転手さんに私がブラーイ未体験だと話すと、「いったい週末に何をしているんだ!?」「ベジタリアンなのか!?」と驚かれ、「僕は先週もブラーイしたし、今週も来週もするよ」と教えてくれました。アフリカーナー(白人)の友人には「そんな人いるの!?」と憐れまれ、自宅でのブラーイに呼んでくれました。
公用語が12もある多民族国家の南アフリカにおいて、ブラーイは民族を超えて親しまれている文化のひとつ。毎年9月24日は南アフリカの文化や伝統を再確認する祝日「ヘリテイジデー(文化遺産の日)」ですが、近年はメディアキャンペーンの影響も受けて「ナショナル・ブラーイデー(ブラーイの日)」としても定着しています。
ブラーイには、火加減や肉の焼き加減を細かく管理する「ブラーイマスター」と呼ばれる人もいて、なんだか日本の「鍋奉行」のようです。
ブラーイの定番メニュー
ブラーイのメニューは自由ですが、【肉+ブルボス+付け合わせ+パン】が基本のようです。
まずは肉。牛肉、豚肉、羊肉、鶏肉と、宗教や好みによって様々で、下味をつけておいた塊肉を焼くのが定番です。スーパーマーケットにはブラーイ用のシーズニングや、既に味付けされた肉もたくさんの種類が並びます。ダチョウ肉や鴨肉、場所によってはシマウマやスプリングボックの肉を使うこともあります。
続いてブルボス(boerewors)。ブルボスとは南アフリカのソーセージのことで、スパイスが効いてヘビがとぐろを巻いたような見た目が特徴です。10cm前後の短いタイプもあります。
付け合わせには、サラダや焼き野菜、ポイキー(potjie)と呼ばれるダッチオーブンのような小鍋で煮込んだ料理など、野菜を使ったメニューが多いです。
そしてパン。ブラーイでは、肉が焼けるまでの間に空腹を満たしたり、焼けた肉と付け合わせの野菜を挟んで食べたりするパンが必須です。そのまま食べる場合はガーリックバゲット、何かを挟む場合は食パンやロールパンが定番です。
ブラーイ体験レシピ①ブラーイソース
ナショナル・ブラーイデーを提起したヤン・ブラーイ(Jan Braai)氏のブラーイソースを参考に、日本で作りやすくアレンジしたレシピをご紹介します。分量はざっくり計量で問題ありません。
【ブラーイソースの材料】
・水…大さじ3
・砂糖…大さじ3
・トマトペースト…大さじ1
・バルサミコ酢…大さじ1
・ウスターソース…大さじ1
・片栗粉…小さじ1
・醤油…小さじ1
・塩…小さじ1/2
・おろしにんにく…小さじ1/2
・レモン汁…小さじ1/2
【ブラーイソースの作り方】
1. すべての材料を鍋に入れ、とろみがつくまで煮込む
2. 冷めたら、肉などのマリネに使う
ブラーイ体験レシピ②ブラーイパン
続いて、アフリカーナーの友人から私が教えてもらったブラーイパン(Braaibroodjie)。ポイントは、食パンの外側にバターを塗ること。そうすることで焼くとカリカリ度が増します。南アフリカのホットサンドは、ブラーイパンに限らずバターを外側に塗って焼くことが多いです。焦げやすいので弱火で焼きましょう。
【ブラーイパンの材料】
玉ねぎ・トマト・チーズ・バター・食パン・塩コショウ
【ブラーイパンの作り方】
1. トマトを輪切りに、玉ねぎを粗みじん切りに、チーズを薄切りにする
2. 食パンの外側にバターを塗る
3. 食パンの上にトマト、玉ねぎ、チーズを好きなだけのせて塩コショウをかけ、もう一枚の食パンで挟む
4. 火加減に注意しながらチーズが溶けるまで焼く
ブラーイ体験レシピ③煮込み料理(チャカラカ)
チャカラカ(chakalaka)は、ヨハネスブルグのタウンシップ(旧黒人居住区)から生まれた、温かくても冷たくてもOKな付け合わせです。お好みでコリアンダーやバジル、ガラムマサラやクミンなど、いろいろなハーブやスパイスを加えてアレンジができます。
【チャカラカの材料】
にんにく・トマトペースト・カレー粉・砂糖・玉ねぎ・好みの野菜(にんじん、キャベツ、セロリ、パプリカ、コーンなど)・トマト(またはトマト缶)・ベイクドビーンズ缶・塩コショウ
【チャカラカの作り方】
1. 油をひいた鍋に、細かく切ったにんにくと玉ねぎ、トマトペースト、カレー粉、砂糖を入れ、玉ねぎが透明になるまで炒める
2. 残りの刻み野菜を入れて軽く炒めたら、刻んだトマトを加えて火が通るまで煮込む(必要なら水を足す)
3. ベイクドビーンズ缶を入れて温めたら、塩コショウで味を整える
日本でも秋キャンプなどに、ぜひ南アフリカのブラーイメニューを試してみてくださいね!