ちんちろちんちろちんちろりん
こんな歌詞で始まる文部省唱歌『蟲のこゑ(虫のこえ)』。その歌詞は、上手に初秋の鳴く虫の声を織り込んでいる(初出の歌詞では「きりぎりす」が登場するが、これは現在の歌詞ではコオロギに置き換わっている)。
歌詞に登場する虫たちは今も健在だ。郊外の草原に行けばその声を聞くことができる。理想的な環境は、里山に接した河川敷。運が良ければ5種をコンプリートできるかも?
今月の里山トライ
絶賛演奏中!
スズムシ
東北以南の雑木林の林床に生息。特徴的な澄んだ声で見つけやすいが、いざ捕まえるとなると草に潜ってしまいむずかしい。
マツムシ
全国の河川敷に生息。よく響く涼しげな音が秋らしい。放虫されるのか、一度は姿を消した首都圏にも再進出中。
クツワムシ
「ガシャガシャ」とも表現される大きな鳴き声は馬にくわえさせるくつわの音に由来。環境破壊に弱く減少傾向。
ハヤシノウマオイ
本州、四国、九州に分布。林縁の草で鳴き声を響かせる。姿がよく似るハタケノウマオイとは鳴き声で判別できる。
エンマコオロギ
全国に分布。鳴き声は「コロコロ、リー」と表現されることも。美声だが肉食性が強いので飼育時は共食いに注意。
※構成/藤原祥弘 撮影/矢島慎一
(BE-PAL 2024年10月号より)