その中から今回ご紹介するのは、「ザ・ビー(The B)」という愛称で地元の人たちに親しまれるトレイル。7月に訪れたときは、まだ山頂に雪が残っていましたが…さて乾燥地帯のユタ州でも紅葉を楽しむことはできるのでしょうか?
グレートソルト湖を眺めながらオフロードアドベンチャー!
トレイルへは丘の図形「B」が目印
ワサッチ山脈(ロッキー山脈の西の端)の麓に位置するバウンティフル市の住宅街を突き抜けた先に、トレイルのステージングエリアがあります。
「ザ・ビー」は、ユタ州の州都であるソルトレイク市からステージングエリアまで30分ほどで行けるので、天気が良い日は日帰りでオフローディングを楽しむ若者から、家族連れ、そして私たちのように50代以上のカップルであふれる人気の場所です。
このトレイルの名前の由来にもなっている「B」は、街の名前のバウンティフル(Bountiful)の頭文字。これはアメリカ西部でよく見られる丘の図形で、「ヒルサイド・レター」または「マウンテンサイド・レター」とも呼ばれます。
オフローディングの相棒はポラリス社のRZR
実はこちら、我が家にやってきたRZRの3台目!そして3台全てがメカニックの旦那さんが惚れこんだポラリス社製です。2人の子供たちが成人し、家族4人でオフローディングに行く機会がなくなったので(ちょっと寂しい…)、4シートから夫婦用の2シートに買い替えました。
ここでオフロード車をトレーラーから降ろしながら、ライダーたちは出発前の持ち物や服装、マシンの安全点検をします。山の天気は変わりやすいうえ、標高が高いザ・ビーでは日中でも強風で寒いときがあるので、季節に関係なく厚手のジャケットは必須です!
緑の葉がほんのり色づく紅葉の始まりを楽しむ
ザ・ビーでのオフローディングは、裸山を走っていたかと思うと、いきなり緑豊かな木々の風景が広がったり、晴天だと思ったらいきなり雨が降ったり。山の中は不思議がいっぱいです!
ちなみにこの場所は、途中までなら普通乗用車で行くことが可能です。以前沖縄から両親が遊びに来たときに連れて行ったことが。慣れない高さでこれ以上行ってほしくないと両親に言われて、途中で引き返しました(笑)。たまにミニバンでドンドン上がって行く人を見ると、怖いもの知らずだな、とも感じますが…。
ここでオフローディングの豆知識をひとつ!前方からやってくるライダーとすれ違うとき、相手がピースサインをしても、決してピースサインで返さないでくださいね。
実はこれ!挨拶代わりのピースではなくて、自分の後ろに後何人のライダーがいるかの人数を、すれ違う相手に教えてくれているのです!オフロードトレイルは、道幅が狭い場所や崖のそば、カーブなどが多く、とくにスピードが出ている場合は安全面に注意を払う必要があります。
そのためグループでオフローディングを楽しんでいる場合、常に自分の後ろから何台ついてくるかを把握して、すれ違う相手に指でサインを出す、「ライダー同士の暗黙のマナー」があるのです。
ということで、ピースサインは自分の後ろに二人のライダーがいるというサイン!ちなみに、私たち夫婦はグループで行動することは少ないので、すれ違うときのサインはグーチョキパーの「グーで0」を意味します!
フレンドリーに挨拶しようと「パー」で手を振ると、自分の後ろに5人のライダーがいることを意味するので注意してくださいね(笑)。
「広大なアスペンの森はひとつの大きな生き物」ともいわれる、クローン繁殖を行うクエーキングアスペンの森を通り抜けて、この日の目的地「フランシス・ピーク」へとRZRを走らせます。
クエーキングアスペンの森の中にいると、葉が風に揺れる音が聞こえ、まるで自然がささやいているような感覚を味わえるので、ユタ州の多くのアウトドア愛好者にとって癒しのスポットなのです。
余談ですが、ユタ州には世界最大のクローン群「パンド」と呼ばれるクエーキングアスペンの森があるんですよ!
目指すは標高2900メートルのフランシス・ピーク
山の中には数多くのトレイルが枝分かれしていて、一日中飽きずに遊べる「ザ・ビー」ですが、この日の目的地は山頂のフランシス・ピーク。
オフローディングでは、泥の水たまりによく遭遇するので、濡れても大丈夫なときは深さをある程度分かったうえで突っ込むのも楽しみのひとつ。ただ場所によっては牛の放牧地帯になっていて、泥水が牛や野生動物のうんち水になっていることも…突っ込むときは自己責任で!
泥まみれの愉快なラリーさんご夫婦と仲間たち
実はこの日はオフローディングの後に、夫婦でそのままレストランでお夕飯をすると決めていたので、泥で遊ぶのを禁止していたのですが…最後の最後にやってしまいました。
山から下りる途中の広場で出会った、長いおひげが泥で固まった、優しい笑顔のラリーおじさん。彼の「泥水に突っ込め―!」という元気はつらつの誘いに、コロっと乗ってしまった筆者の旦那さん。私は急いでスマホとバックパックを抱えて、RZRから飛び降り撮影係に!
秋のオフローディング大冒険は、笑顔あふれる出会いと泥遊びで終えたのでした!
2001年渡米、沖縄県出身。ユタ州ウチナー民間大使。アメリカでスーパーの棚入れ係やウェイトレス、保育士などの様々な職種を経験した後、アメリカ国防総省空軍省の仕事に就く。政府職員として17年間務めた後、パンデミックをきっかけに「いつ死んでも後悔しない人生」を強く意識するようになり2023年辞職。夫婦でRVキャンプやオフローディング、ロードトリップを楽しむのが最高の癒しじかん。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員