シロツメクサはどんな雑草?
シロツメクサはマメ科に分類されていて、ほぼ全国で見ることができます。日本にやって来る植物の全てが雑草化するわけではないので、シロツメクサは日本の暑さや寒さに対する適応力が非常に高いといえます。
また、開花時期は4月から10月頃までと長いので、いつ見ても花が咲いているイメージがあります。
日本にはいつやって来た?
シロツメクサは江戸時代の末期に日本に来たと考えられており、国立環境研究所の「侵入生物データベース」によれば、1846年にオランダから渡来したとされています。
雑草が海外から持ち込まれた年代を正確に特定することは困難ですが、シロツメクサは、セイタカアワダチソウやオオキンケイギクよりも前に日本にやって来た外来種の先輩です。
名前の由来は?
シロツメクサを漢字で書くと「白詰草」となります。「白」は花の色を指し、「詰草」は、オランダから運ばれた荷物の緩衝材として詰められたことに由来します。
現代では発泡スチロールやダンボールが使われますが、当時はシロツメクサがクッション材として使用されていました。
オランダには、シロツメクサがたくさん生えていたから活用したのかもしれませんが、現代の視点で考えると、シロツメクサは地球にやさしい素材と言えます。
シロツメクサの活用方法
雑草というと、邪魔な存在と思われがちですが、シロツメクサは草丈が低いので花や野菜を覆ってしまうことはありません。芝のように横へ広がる性質を利用して、土の表面を覆うために活用されています。
その他にも、牧草としての利用や、花からハチミツが採取されています。
さらに、薬草として利用されることもあり、煎じて飲むと利尿・咳止めなどの効果があるとされています。
草花クラフトの材料にもなります。みなさんも小さいころに、シロツメクサの花と茎を編んで冠を作ったのではないでしょうか?
19世紀アメリカの思想家エマソン(H.D.ソローの先輩格の友人)は、「雑草とは、その美点がまだ発見されていない植物である」と言っていますが、この定義から考えると、シロツメクサを雑草としてしまうのは、少しかわいそうかもしれません。
シロツメクサは美味しい?
ハチミツが採取されているシロツメクサですが、その他にも葉や種子も食べることができます。ただ、種子があまりにも小さいので、食べるための量を集めるのはかなり大変です。
戦時中に発行されていた「写真週報」という雑誌には、食べられる夏の野草としてシロツメクサが掲載されていました。戦時中には、野菜の代用品となりました。食べ方は、おひたし、和え物、煮付けがあり、特に、油炒めがよいと書かれています。また、葉や花を乾燥させて粉末にする食べ方も紹介されています。
シロツメクサによく似ている雑草
見た目に特徴があることから、見分けやすいシロツメクサですが、デンジソウ(田字草)という雑草と葉が似ています。田字草の由来は、四枚の葉が放射状に広がる形を漢字の田の字に見立てたことによるものです。
ただ、デンジソウは水草なので、シロツメクサとは生育場所が異なります。また、デンジソウは水田の雑草でしたが、今では見かける機会が大幅に減少し、地域によっては絶滅危惧種となっています。
ムラサキツメクサ(アカツメクサ)を探してみよう
白い花を付けるのがシロツメクサですが、紫色の花を付けるムラサキツメクサという雑草があります。
ムラサキツメクサはアカツメクサとも呼ばれていますが、ここでは花の色に合わせてムラサキツメクサとします。もちろん、アカツメクサと呼んでも間違いではありません!
ムラサキツメクサの特徴
ムラサキツメクサは、シロツメクサと同じマメ科ですが、シロツメクサよりも葉が大きくて、茎が上に伸びているのが特徴です。シロツメクサと比べると、草丈が2倍以上です。
また、花の色がムラサキや薄ピンク色なので、シロツメクサと簡単に区別することができます。そして、ムラサキツメクサは、シロツメクサと同じく三枚葉が基本ですが、稀に四つ葉を付けるようです。
白い花のムラサキツメクサもある?
ちょっとややこしい話になりますが、ムラサキツメクサの中には、白い花を咲かせる個体が存在します。
白い花を咲かせるムラサキツメクサは、「シロバナアカツメクサ」や「セッカツメクサ」と呼ばれていますが、葉や茎はムラサキツメクサと同じです。
以前、白い花を咲かせるタンポポを紹介しましたが、色違いの雑草はけっこう存在しているので、ぜひ探してみてください!
赤い花のクローバーも!
白い花を紹介したついでに、真っ赤な花のクローバーを紹介したいと思います。その名はベニバナツメクサです。花の形状がシロツメクサよりも縦長で、ローソクのように見えることから、ストロベリーキャンドルとも呼ばれています。
その他にも、クリムゾンクローバーや、ストロベリートーチと呼ばれることがあります。また、ベニバナツメクサは花がきれいなことから、鑑賞用として栽培されることもあります。
四つ葉のクローバーの見つけ方
幸せを呼び込むとされている四つ葉のクローバーですが、その理由の1つに中々見つからないという希少性があるようです。また、五つ葉や六つ葉はあるのでしょうか?
ギネス記録は63枚葉!
シロツメクサの葉は、ほとんどが三枚なので、四つ葉を見つけるだけでも大変ですが、ギネス世界記録に登録された葉の枚数はなんと63枚です!
このシロツメクサは、栃木県在住の渡辺敬晴さんという方が庭で育てたものです。渡辺さんが栽培を続けるうちに葉の多い個体が出現し、2020年に49枚、2021年に55枚となり、2023年に63枚の葉を付けたシロツメクサが見つかったとのことです。
四つ葉はどこに生えているのか?
自然の状態で63枚の葉を付けるシロツメクサを見つけるのは難しいですが、四つ葉なら見つけることができます。四つ葉の確率は、数千分の1から1万分の1くらいなので、シロツメクサが1万本以上生えている群落を調べれば少なくても1本は見つけることができます。
もう少し場所を絞ると、人によく踏まれる場所(道路の横)や、草刈りが行われている場所(公園や土手)に四つ葉が多いという説があります。これは、傷ついた葉が再生する際に、四つ葉が出現しやすくなるからだと考えられています。
また、自然界には、四つ葉を付けやすい株が存在するので、まず四つ葉を1本見つけたら、その周囲もよく見てください。見つかる確率が高くなります。
幸せは買える!?
世の中には面白いことを考える方がいて、四つ葉のクローバーを栽培して販売している方がいます。岡山県鏡野町の矢部さんという方で、ホテルのレストランや結婚式の披露宴の需要があるようです。(2019年3月25日付け朝日新聞より)
その他にも品種改良されて四つ葉を付ける園芸種のクローバーが販売されています。
「買う」というのは、手軽に四つ葉を入手したい方にオススメの裏技ですが、自分で見つけた四つ葉は喜びがひとしおなので、ぜひ、近所のシロツメクサを探索してみてください。
採取した四つ葉のクローバーは押し花にすると長持ちします。本のしおりや、額に入れて飾ると身近に楽しむことができます。ただ、紫外線に当たると全体が茶色に変色してしまうので注意してください!