【関東】初詣登山におすすめスポット
関東地方には、登山やハイキングを楽しみながら初詣できるスポットが数多くあります。都心からも行きやすい寺社を四つ紹介します。
高尾山薬王院【東京都】
高尾山薬王院(たかおさんやくおういん)は、高尾山の山腹にある寺院です。744年(天平16年)に高僧である行基により開山されました。現在は真言宗智山派の、関東三大本山の一つです。
麓からは徒歩で向かうと70分ほど登ることになりますが、清滝駅からケーブルカー、山麓駅からリフトが出ているので、気軽に行けます。元日には、初日の出に合わせた迎光祭や、商売繁盛や家運隆昌を祈願する『初甲子(はつきのえね、別名高尾山大黒天祭)』が行われます。
高尾山の山頂は、初日の出を拝める場所としても人気のあるスポットです。年末年始はケーブルカーが終通し運転するため、山頂で初日の出を見てから初詣するルートも人気です。
筑波山神社【茨城県】
筑波山神社(つくばさんじんじゃ)は、男体山と女体山の二峰からなる筑波山を御神体とした神社です。二峰の山頂には、それぞれ筑波男大神(いざなぎのみこと)と筑波女大神(いざなみのみこと)を祭る本殿を構えています。
この二神は夫婦だったことから、交通安全や厄よけのほか、縁結びや子育て開運などの御利益もある神社です。1月1日には、国家繁栄や氏子崇敬者の平安を祈願する『元旦祭』が執り行われます。
つくば駅から山腹の筑波山神社まではシャトルバスが出ており、アクセスは良好です。山頂の二神を参拝するには、ハイキングコースを歩くほか、ケーブルカーやロープウエーも利用できます。
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寳登山神社【埼玉県】
寳登山神社(ほどさんじんじゃ)は、埼玉県長瀞町(ながとろまち)にある宝登山(ほどさん)の麓に鎮座しています。110年の創建以来、1900年以上の歴史を持ち、秩父三社の一つとなっています。1月1日には午前0時から『歳旦祭』が行われ、毎年多くの参拝者が初詣に訪れています。
祭っているのは、神日本磐余彦尊(かんやまといわれひこのみこと)・大山祇神(おおやまづみのかみ)・火産霊神(ほむすびのかみ)です。家内安全・商売繁盛・火防盗賊よけ・交通安全・金運招福などの御利益があるといわれています。
標高約497mの宝登山山頂にある奥宮へは、ロープウエーを利用して参拝することも可能です。周辺にはロウバイの植物園や小動物園があり、山頂からは奥秩父の雄大な景色を楽しめます。
大山阿夫利神社【神奈川県】
関東総鎮護の霊山である大山阿夫利神社(おおやまあふりじんじゃ)は、2200年以上前に創建されました。雨が多く降る山であることから、雨乞いを祈願する対象になっており、江戸時代には年間20万人を超える人々が訪れていたといいます。
本社は大山の山頂付近にありますが、一般的に参拝されているのは、大山ケーブルカーで阿夫利神社駅近くにある下社です。本社に参拝する場合は、約90~120分ほどの登山が必要になるので、時間に余裕を持って訪れましょう。
【関西】初詣登山におすすめスポット
関西には、古くから霊山としてあがめられているスポットもあります。初詣登山におすすめの寺社を4選紹介します。
御嶽神社【三重県】
御嶽神社(おんたけじんじゃ)は、鈴鹿山脈の御在所岳(ございしょだけ)の頂上付近に社殿を構えている神社です。1884年(明治17年)に、御嶽教を布教していた行者の覚順が、木曽の御岳神社の分霊を祭るための小社として建立したのが始まりです。
現在の社殿は1964年に建てられました。御嶽山蔵王大権現(おんたけさんざおうだいごんげん)と大日大聖不動明王(だいにちだいしょうふどうみょうおう)を祭り、毎年5月と10月には、登山の安全を祈願する大祭が執り行われています。
御嶽神社までは、ロープウエーの山上公園駅から観光リフトに乗り継いで、頂上から下ると比較的負担がなく到着できるでしょう。本格的にハイキングを楽しみたい人は、山上公園駅から公園内のスポットを巡りながら歩くのもおすすめです。
山頂のご案内 | 御在所ロープウエイ|御嶽大権現(おんたけだいごんげん)
延暦寺【滋賀県】
延暦寺(えんりゃくじ)は、ユネスコの世界文化遺産にも登録されている寺院です。延暦寺とは、比叡山(ひえいざん)にある一棟の寺院ではありません。比叡山全域に点在している約100の堂宇(建物)の総称です。
比叡山全域が境内となっており、東塔(とうどう)・西塔(さいとう)・横川(よかわ)の三つに分かれた地域のそれぞれに、本堂が建っています。東塔の根本中堂(こんぽんちゅうどう)は、延暦寺の中でも最大の仏堂であり、総本堂です。
根本中堂では、毎年1月1~3日に、1年の除災招福を祈願する法要が営まれます。比叡山の山頂までは、ロープウエーを利用すると便利です。また、東塔・西塔・横川の3エリアを移動するシャトルバスが運行されています。
天台宗総本山 比叡山延暦寺 [Hieizan Enryakuji]
金峯山寺【奈良県】
金峯山寺(きんぷせんじ)が建つ吉野山一帯は、古くから金峯山と呼ばれた聖域でした。その山頂で修行した役小角(えんのおづぬ)が、金剛蔵王大権現を祭ったことが金峯山寺の始まりです。
国宝に指定されている本堂の蔵王堂は、東大寺大仏殿に次ぐ大きさの木造建築といわれています。毎年、大みそかの午後11時45分から除夜の鐘をつけるほか、年が明けた午前0時には、蔵王堂にて『新年初護摩供(ごまく)』が行われます。
近鉄吉野駅近くからロープウエーが出ており、公共交通機関を使って行くこともできて便利です。
愛宕神社【京都府】
京都にある愛宕神社(あたごじんじゃ)は、全国に900以上ある愛宕神社の総本社で、比叡山に並ぶ霊山の愛宕山にあります。火の神とされている加具土命(かぐつちのみこと)を祭っていることから、火伏や防火に霊験灼かで、台所などに貼る『火迺要慎(ひのようじん)』のお札でも有名です。
愛宕神社に参拝するには、ケーブルカーやロープウエーなどがないため、標高約924mの山頂まで歩いて行かなければなりません。『表参道』『月輪寺参道』『大杉谷道』の三つの参拝ルートは、どれも階段や山道が続きます。
一般的なルートとされる表参道でも片道2時間ほどかかるので、余裕を持って出発するのがおすすめです。
【東北】初詣登山におすすめスポット
初詣の時期には雪深くなっている場所も多い東北地方では、幻想的な雪風景を楽しめるというメリットもあります。おすすめのスポットを2選紹介します。
宝珠山立石寺【山形県】
宝珠山立石寺(ほうじゅさんりっしゃくじ)は、『山寺』の名で親しまれている寺院です。東北を代表する霊山で、860年(貞観2年)に第3世天台座主の慈覚大師である円仁が建立しました。本尊の木造薬師如来坐像が祭られている本堂は、日本最古のブナ材建築物と伝えられます。
また、百丈岩の上に立っている開山堂からは、山寺を一望できる絶景を楽しめます。元旦の午前0時30分から行われる『初護摩供祈祷法要』は、一般参拝が可能です。さらに、大みそかの午後11時30分からは納豆汁や玉こんにゃくを振る舞うイベントがあり、除夜の鐘もつけます。
JR仙山線の山寺駅から徒歩約10分なので、山の寺院へ気軽に初詣したい人におすすめです。
宝珠山 立石寺 山形県山形市、宝珠山 立石寺の公式ホームページ
出羽三山神社【山形県】
出羽三山(でわさんざん)とは、山形県の中央部に連なる羽黒山(はぐろさん)・月山(がっさん)・湯殿山(ゆどのさん)の総称です。羽黒山は『現世』、月山は『前世』、湯殿山は『来世』と、それぞれ異なる浄土を表わすといわれています。
出羽三山神社とされているのは、羽黒山の山頂にある三神合祭殿です。羽黒山内にある五重塔は、国宝に指定されています。
初詣の行事には、大みそかから年をまたいで行われる『松例祭(しょうれいさい)』のほか、1月1日午前3時から始まる『歳旦祭(さいたんさい)』などがあります。
【九州】初詣登山におすすめスポット
九州にも、初詣と登山を楽しめるスポットがあります。境内となっている山内をハイキングできる寺社をピックアップしました。
高良大社【福岡県】
高良大社(こうらたいしゃ)は、標高約312mの高良山に鎮座する神社です。格式高い神社として信仰され、九州最大級の大きさを誇る社殿は、国の重要文化財の一つです。
境内となっている高良山の山内には古代の遺跡などもあり、ハイキングにもおすすめです。年末年始には、大みそかの『年末大祓式』や元旦の『歳旦祭』などさまざまな行事が行われ、多くの参拝者が詰めかけます。
バスの久留米大学前駅から徒歩で約25分です。1月1~3日は、JRや西鉄の久留米駅から運行される初詣用の臨時バスを利用するのが便利でしょう。
まとめ
古くから山岳信仰が盛んだった日本には、山の麓や山頂に建てられた寺社が数多くあります。山そのものが御神体となっているスポットもあり、普段参拝している寺社とはひと味違う、荘厳な空気を感じられるでしょう。
ケーブルカーやロープウエーのある場所や、ハイキング感覚で行ける山道なら、登山初心者にも負担が少ないはずです。取り巻く自然も含めて、大切に守り続けられたお寺や神社を訪れ、新しい年の平安を祈願してみるのもよいかもしれません。