2018年7月18日発売予定のヤマハ「YPJ-XC」。電動アシスト機能付きMTB、すなわち「イーマウンテンバイク(E-MTB)」として発売予定の新製品を、BE-PAL.NET編集部がひと足お先に試乗してきました。
「この自転車は本格的なオフロードを楽しめて、さらに日本の公道も走ることができるスポーツタイプの最先端E-MTBです(Y’s Road 広報・松坂さん)」
のっけから金額の話をするのも少々不躾ですが、ヤマハ・YPJ-XCのメーカー希望小売価格はズバリ378,000円(税込み)。MTBはもちろん、電動アシスト自転車としても高価格帯の製品ですが、それには理由がありました。
理由その1
電動アシストの心臓部
ドライブユニットが超進化
ドライブユニットとは電動アシスト効果をもたらす心臓部。どの電動アシスト自転車にも付いていますが、YPJ-XCは同社の電動アシスト式スポーツバイクシリーズの中でも最も小型・軽量なつくりになっています。それでいてパワーは十分。バッテリー容量も同シリーズの従来品に比べて大容量化しています。ドライブユニットとバッテリーのバランスが絶妙です。
走行モードは6種類
1充電あたりの走行距離を知ろう
搭載バッテリーは36V-13.3Ah リチウムイオンバッテリー。バッテリー重量は約3kgで、フル充電までにおよそ3.5時間かかります。
走行モードは自力で漕ぐアシストオフモードを含めて6種類。それぞれ試乗してみましたが、舗装された一般道ならば基本的に「エコモード」で十分。もちろんモードを切り替えるごとにパワーが異なるので、坂のレベルで切り替えるのが吉。ハイモード、エクストラパワーモードだと舗装路の坂ならグイグイいける。未舗装でもスイスイ進めます。
実際にMTB利用可能なゲレンデを走行したスタッフさんの話ではリフトの人たちが驚くほどの走破性を発揮したとのこと(Y’s Road 銀座勝どきアーバンe-コミューター にて取材を行いました)。
※1充電当たりの走行距離(目安)
エクストラパワーモード 85km
ハイモード 90km
スタンダードモード 108km
エコモード 148km
プラスエコモード 225km
アシストオフモード 人力です。
モード切替は左手近くのコントローラーで行います。ハンドル中央にはコンパクトマルチファンクションメーターがあり、モードはもちろん、速度やペダリングパワー、消費カロリーなど、様々な情報を得ることができます。マイクロUSBポートも搭載しているので、スマホへの充電もできるすぐれもの。さすがはイーマウンテンバイク!。
理由その2
スポーツタイプのMTBと遜色ないスペック
MTBライダーも納得の機能性です!
オフロードシーンを滑走するような本格的MTBに搭載されているスペックを網羅。120mmのフロントサスペンションはROCK SHOCK製。街乗りなど、不必要な場合はサスペンションの沈み込みを制御するロックアウト機構も備えています。
リアディレイラーは外装11段変速のSHIMANO SLX。ギアクランクはFSA製ギアクランクCK-745を搭載。前1速、後ろ11速の仕様です。
MAXXIS製27.5×27.5タイヤは悪路でもグリップ力十分。油圧式ディスクブレーキと相まって、軽快なライドを可能にします。
理由その3
電動アシストでも十分なパワーを発揮!
YPJ-XCは日本を代表するイーマウンテンバイク
「自転車先進国、欧州では電動自転車・イーバイクが人気です。」そう語るのはY’s Road 広報・松坂さん。
松坂さん曰く「電動自転車には種類があって、今から15年前年ぐらい前からヨーロッパ(以下欧州)、とくに『ユーロバイク(EUROBIKE)』というコンベンションがあるのですが、ここではかなり早い段階から『イーバイク(E-Bike/Electric Bikes)』という動きがあって、元々はスポーツ車中心のイベントでしたが年を増すごとに展示会の内容イーバイク化していって、今ではほぼ逆転に近いぐらいイーバイクのイベントになっています。海外のサイクルイベント(展示会)では、半分ほどがイーバイク製品が占めるという状況です。
ただ、海外では電動アシストというよりも電動バイク、フルアシスト仕様です。これは日本と海外の法律等の制度や使用環境の違いが関わってきます。」
公道を走れる電動アシスト
公道を走れないフルアシスト
「日本の場合は『実用車を助ける、アシストする』という成り立ちで技術が発展した経緯があるので、現在は時速24kmまではアシストできる。それ以降はアシストが効かず、自力走行となる。というのが道路交通法で定められています。そのため「電動アシスト」とは『人の力を補うため原動機を用いる自転車』であって『駆動補助機付自転車』と呼ばれます。これは自転車の法律で公道を走行できるのが大きな特徴です。
一方前述のフルアシストな海外仕様の電動バイクは時速24kmの壁がなく、その先も電動で走行することができます。また、自転車を漕ぐことで電気効力を得るのはもちろん、レバーでの操作も可能です。まさに電気駆動ですね。こうなると日本では公道を走るために原動機付き自転車としてナンバープレートを取得するなどの制限があります。
電動アシストのMTBタイプは山を登る自転車なのでワット数、パワーが必要です。なので、これまでの街乗り電動アシスト自転車、シティーサイクルに比べると圧倒的に力強さが違います。未舗装路に対する走破性を十分に持っています。また、『時速24km』までのアシストパワー値は各社が車種に応じて設定するので、乗り心地・漕ぎ心地が車種によって格段に違います。電動アシストを選ぶにはまず実際に乗ることがとても大事です。ひと漕ぎ目でグッと力強さを感じるもの、ある程度スピードが出るまで徐々に伸びがアシストされるものなど様々。負荷にかかる設定値が異なるのでぜひ乗り比べてみてください。」
スポーツタイプのMTBと遜色ないスペックを持ち、海外のフルアシストにも引けを取らないYPJ-XC。『日本市場に完全にマッチした走破性の高い製品がようやく出てきた」と、松坂さんが熱くなるような機能がYPJ-XCにはある、そう感じた試乗&取材でした。
協力:Y’s Road 銀座勝どきアーバンe-コミューター店
http://www.ysroad.co.jp/uec/ginzakachidoki/
6月1日グランドオープンしたばかりのお店です。電動アシスト自転車を豊富にそろえていますので、ぜひ試乗してみてください(広報・松坂さん)
◎構成・撮影/早坂英之