有元くるみさん
サーフィンをしながらキャンピングカーで各地を旅していたとき訪れた高知に魅了され、’15年に移住。ケータリングや料理教室を開催する傍ら、調味料などを生産・販売。
世界中を旅して、食べて覚えた味をミックスしたオリジナルのレシピたち
お料理を作る、というよりも、お料理を育てている、といったほうがしっくりくるのが、有元くるみさん。小麦粉をこねているときも、愛おしいものを大切に扱うようなやさしい手つき。なんだか、そこだけ時間がゆっくり流れているよう。
「世界中を旅しながら、食べて覚えた味がミックスされたのが私の料理かな。どこの料理、じゃなくて、いろんな国の要素をひとつに全部入れちゃった感じ」
と、優しく微笑む。なかでも影響を受けたのが、モロッコや中東、インド。モロッコにはスパイス店がたくさんあり、店主が各々ブレンドしたスパイスを売っている。それに憧れて自作の調味料を作ってしまったほど。
「旅するって大事。お料理にかかわらず、いろんなインスピレーションをもらえる。海外に限らず、日本国内でもいいし」
最近ハマっているのは鳥取の境港で食べたベニズワイガニ。愛車を駆り、岡山を経由して3時間半かけて行くのだとか。
「サーフィンもあるんだけど、漁が解禁のときに食べに行ったらすっかりハマっちゃって」
いい波を求め、車を2時間以上走らせるのはザラ。冬にはスノーボードを積み込んで東北まで遠征する。旅先で商品の販売やイベントを開催することも。そんな自由な生き方が、この独特な時間を生み出しているのだ。
フライパンで作るインドの庶民の味
チャパティ
インドの伝統的な平たいパン。発酵させないので膨らまず、なんでも包んで食べられる。フライパンで簡単に焼けるのもGOOD!
材料(7〜8枚)
薄⼒粉⼜は全粒粉…2と3/4カップ
海塩…⼩さじ1/2
オリーブオイル…⼤さじ2
ぬるま湯…3/4カップ(⾜りなければたす)
作り方
❶ボウルに粉と海塩を入れて軽く混ぜる。
❷オリーブオイルとぬるま湯を加えてよくこねる。生地が滑らかになってきて、耳たぶくらいの硬さになったら軽くまとめてラップを被せ、1時間くらい寝かせる。
❸7〜8等分に分けて打ち粉をしながら麺棒で5㎜厚さに延ばす。
❹熱したフライパンに油をひき、中強火で両面を焼き色が付くまで焼く。
発酵はしないが、生地を寝かせることで滑らかになり延ばしやすい。
強⽕にして短時間でサッと焼いたほうが、硬くならない。
ピリッとした辛さがアクセント
砂漠のミートボール
モロッコの砂漠にあるホテルで食べた名物ごはん、ケフタタジン。卵をくずしてトマトソースとともにチャパティにのせていただきます。
材料(4人分)
A
⽜ひき⾁ (合いびき⾁でも可)…400g
ニンニク(みじん切り)…1⽚
塩…⼩さじ1/2
こしょう…適量
Moroccan BBQ Spice Rub…⼤さじ2
オリーブオイル…⼤さじ1
卵…4個
アリッサ…適量
塩、こしょう…適量
トマトソースの材料
トマト⽔煮⽸…1⽸
タマネギ(粗みじん切り)…1/2個
ニンニク(みじん切り)…2〜3⽚
オリーブオイル…⼤さじ2
ローリエの葉…1枚
海塩…⼩さじ1/2
こしょう…適量
有元さんオリジナル、10種のスパイスをブレンドした「アリッサ」(上)と、手ずからミルしてブレンドした「モロカン・BBQ・スパイス・ラブ」(下)。アクセントに!
キャンプへ行く前の下ごしらえ
❶トマトソースを作る。鍋にニンニク、オリーブオイルを入れ、弱火でじっくり焦がさないように炒める。
❷タマネギを加えてさらに炒め、半透明になってきたらトマト水煮、ローリエの葉を加えて中火で煮込む。
❸トマトの色が少し濃くなってきて、オリーブオイルが表面に浮き、とろみが出てきたら完成の合図。塩、こしょうで味を調える。
作り⽅
❶ボウルに材料Aをすべて入れてよく混ぜ、ひと口大の団子状にする。
❷オリーブオイルをひいた耐熱性陶器(4個)にそれぞれ①を並べ(縁に沿って)表面を焼き、焼き色が付いたらトマトソースを1/4量ずつ注ぐ。
❸真ん中に卵を落とし火が通ったら完成。仕上げに塩、こしょう、アリッサを添える。
卵が半熟状になったら完成。スキレットで作っても問題なし!
ヘルシーで満足感大!
ムングダルの熱々スパイスオイルがけ
ムングダルは緑豆の皮をむいて割ったもので、初心者にも扱いやすい。ベジタリアンの多いインドでは、こんなヘルシーカレーが人気。
材料(4人分)
ムングダル…1カップ
⽔…適量
スパイスオイルの材料
オリーブオイル or ココナッツオイル…⼤さじ3
ブラウンマスタードシード…⼩さじ1
⾚唐⾟⼦…1本
カレーリーフ…適量
塩…⼩さじ1/2
作り⽅
❶鍋にムングダル、十分に被るくらいの水を入れて、中火で茹でる。
❷⾖が常に水に浸かっている状態をキープするように、水を加えながら茹でる。
❸指で潰れるくらいの柔らかさになったら、ハンドミキサーでさっとペースト状にする。
❹別の小鍋にスパイスオイルの材料をすべて
入れ火にかけ、ブラウンマスタードシードがパチパチ弾けてきたら火から下ろし、③にかける。
ハンドミキサーがない場合は、スプーンの裏で潰す。食感が残るくらいが美味。
マスタードシードを油で炒め、熱々のうちに一気にかけるのがポイント。
鋳物鍋でじっくりコトコト
リンゴとサツマイモのレモンクリームベイク
自然の甘みに思わずほっこり。ダッチオーブンで上火を使うのも手。アイスやホイップクリームを添えたくなる誘惑に駆られる。
材料(4〜5人分)
リンゴ(皮ごとひと口大にカット)…⼤2個
サツマイモ(ひと口大にカット)…細めの3本
オリーブオイル…適量
きび糖…100g
⽣クリーム(生乳100%タイプ)…100㎖
レモン汁…半個分
シナモンパウダー…⼩さじ1/2
作り⽅
❶厚手の鍋を熱してオリーブオイルをひき、サツマイモを炒める。
❷リンゴ、きび糖を加えて、ややキャラメリゼするように混ぜていく。
❸⽣クリーム、レモン汁、シナモンパウダーを加え、とろみが出てサツマイモに火が通ったら完成。
紅はるかやシルクスイートなどのねっとりホクホクタイプの品種がおすすめ。
サツマイモを先にオリーブオイルで炒めておいたほうが⽕の通りが早くなる。
焚き火とくつろぐ絶品おつまみ
カツオとマグロのオイル煮
新鮮な魚介のオイル煮はビールのおともに。カリカリバゲットにのせてよし、ほぐしてマヨネーズを和えてツナサンドにしてもいい。
材料(4〜5人分)
カツオまたはマグロ塊…500g
エキストラバージンオリーブオイル…適量
塩…小さじ1
ニンニク…3〜4片
赤唐辛子…1本
黒こしょう…小さじ1
ローリエの葉…2〜3枚
カリカリに焼いたバゲット…9切れ
ピンクペッパー…適量
作り⽅
❶鍋に握り拳サイズに切ったカツオまたはマグロ、残りの材料をすべて入れ、魚が半分くらい被るまでオリーブオイルを注ぐ。
❷中⽕で⽕にかけて、⿂に⽕が通ったら⽕を⽌める。
❸粗熱を冷まして、保存容器に移す。
漬け込めば3〜4日保存可能。エビやカキ、キノコを入れてもいい。
有元さん流アウトドア料理3つのポイントとは
- いろんな場所を旅して、インスピレーションを得る
- 材料はその土地の名産や旬の素材を活用する
- 常に携行できる保存食をキープしておく
※構成/大石裕美 撮影/山本哲也
(BE-PAL 2024年11月号より)