中華料理はスピードが命!
陳 建太郎さん
中華の鉄人、陳 建一氏を父に持つ、四川飯店の3代目オーナーシェフ。伝統の味に現代の食材、調理法を取り入れ独自の料理を発表。秋川渓谷でのBBQが父との思い出。
ベースを知っておけばアレンジしやすい料理ばかり
ちまたで人気のアウトドア中華。高火力の焚き火とも相性抜群で、フィールドで中華鍋を振るうキャンパーも、いまでは珍しくない。
「中華料理はスピードが大切。そのため、いかに段取りよく調理していくかがポイントです」
と語るのは、赤坂四川飯店の陳 建太郎さん。
「あれもこれもキャンプでやろうと思うとパニックになるので、漬け込みやソース作りなどの下準備は家で済ませ、現地では炒めるだけに徹するといい」
調理台にはずらっとスパイスが並ぶ。建太郎さんが作る四川料理は、豊富なスパイスを使った辛みが特徴なのだ。本格派を目指すなら、野外にも必須!
「なかでも豆板醤(そら豆を原料にした唐辛子味噌)と甜麺醤(小麦から作った豆味噌)があると便利。発酵調味料は料理の味に奥行きを出してくれます」
中華は香りが命でもあるが、発酵調味料を先に炒めることで香りを立たせることができる。商品によって塩味が違うので、最初は少なめに使って、あとから塩味甘みを足していくといい。
「今回紹介する油淋鶏や炒飯は、ベースを知っておけば、手元にある食材を使っていくらでもアレンジできます。肉味噌も、これひとつあればさまざまな料理に活用できるので、キャンプごはんにおすすめですよ」
3代続く四川料理の老舗「赤坂四川飯店」
日本に四川料理を広めた陳 建民氏(建太郎さんの祖父)が1958年に西新橋に創業したのがはじまり。伝統の味を継承しつつも、現代の食材や技術を組み合わせ、新たな四川料理を提供。
住所:東京都千代田区平河町2-5-5 全国旅館会館5F・6F
電話:03(3263)9371
営業時間:ランチ11:30〜15:00 ディナー17:00〜22:00
定休日:月曜・年末年始
漬け込んで手間いらず
油淋鶏
揚げ物をするときは、衣を少し湿らせると剥がれにくくなる。じっくりじっくり揚げることで外側サクッと中ジューシーな仕上がりに。
材料(2人分)
鶏モモ肉…1枚(200g)
ネギ(みじん切り)…10㎝分
片栗粉…適量
A
砂糖…大さじ2
酢…大さじ2
しょうゆ…大さじ2
水…大さじ2
ショウガ…小さじ2
ごま油…小さじ2
B
水…1ℓ
塩…15g
砂糖…5g
しょうゆ…5g
酒…10g
ネギの青い部分…適量
ショウガ…1片
キャンプへ行く前の下ごしらえ
❶Aをすべて合わせ、タレを作る。
❷鶏モモ肉は厚い部分を包丁で開き、筋を切る。
❸Bを合わせ、鶏モモ肉を30分以上漬けておく。
作り方
❶漬け込んだ鶏モモ肉(水けは拭かず)に、片栗粉をまぶす。
❷油(分量外)の温度を180度Cにキープしながら、じっくりと揚げる。
❸ひと口大にカットし、Aのタレにネギを加えたものをかけていただく。
パラしっとりが丁度いい
たまご炒飯
パラッとしすぎない、食べやすいパラしっとり炒飯。卵とごはんをお玉の丸い部分で叩きながら炒めると、卵の香りが広がる。
材料(2人分)
ごはん…250g
卵…2個
ネギ(みじん切り)…10㎝分
ラード…大さじ2
A
塩…小さじ1/4
コショウ…少々
酒…大さじ1/2
鶏ガラスープの素(パウダー)…小さじ1/4
うま味調味料…小さじ1/3
しょうゆ…小さじ1/3
作り方
❶フライパンにラードを入れ、熱くなったらといた卵を流し入れる。
❷卵がボワッと膨らんだら温かいごはんを入れ、お玉で叩きながら炒める。
❸Aを順番に加え、味を調える。最後にネギを加え軽く炒めたら完成。
残り油は香りをプラスし、辣油に変身!
野外での油の処理は困るもの。そんなときは香辛料をプラスし、
辣油を手作り。翌日瓶などに保存し、キャンプのお土産に!
材料(2人分)
A
古くなった揚げ油…1ℓ
ショウガ…1片
ネギの青い部分…1本分
サンショウの粒…1g
乾燥唐辛子…2g
B
一味唐辛子…50g
韓国唐辛子…50g
油…大さじ3
作り方
❶Aをすべて合わせて弱火にかけ、油に香りを移す。
❷油以外を取り除き、200度Cの高温になるまで温める。
❸Bを混ぜ合わせ、②を2、3回に分けてかける。
❹よく混ぜたらアルミホイルで蓋をして1日おき、香りを移す。
保存もOK!万能肉みその作り方
大量に作っておけばいろいろな料理にすぐ使える。冷蔵庫で約10日、冷凍すれば3週間ほど保存可能。ごはんにかけるだけでも◎。
材料
豚ひき肉…300g
A
酒…大さじ1
しょうゆ…大さじ1
甜麺醤…大さじ2
作り方
❶フライパンに油大さじ1/2(分量外)を入れ、ひき肉を炒める。
❷肉の色が変わり、濁った油が透き通るまでさらに炒める。
❸Aを入れ、汁気がなくなるまで炒めたら完成。
陳家に伝わる祖父の味
くずし麻婆豆腐
手間はかかれど下茹ですることで水気が出ず、旨みが引き立つ。ごはんはもちろん、トーストに塗ってチーズをのせるとトロける旨さ!
材料(2〜3人分)
肉みそ…80g
豆腐…350g
ネギ(みじん切り)…10㎝分
お湯(または水)…150㎖
水溶き片栗粉…大さじ1
辣油…大さじ1
A
豆板醤…大さじ1と1/2〜大さじ2
ニンニク(すり下ろし)…小さじ1
B
酒…大さじ1
しょうゆ…大さじ1/2
オイスターソース…小さじ1
こしょう…少々
四川料理はスパイスを効かせた辛みと香りが特徴。ソースやペーストなどを総称した醤(ジャン)と、香辛料に分類される。
キャンプへ行く前の下ごしらえ
豆腐を手で適当な大きさにちぎり、中心が温まるまで塩ひとつまみ(分量外)を入れたお湯で茹で、ザルにあげる。
作り方
❶フライパンに油を大さじ1/2(分量外)を入れ、Aを炒める。香りが出たらお湯と肉みそを入れる。
❷下茹でした豆腐、Bを加えたら、豆腐をくずしながら2〜3分煮る(ごはんによく絡む!)。
❸ネギを加えて火を止め、水溶き片栗粉でとろみをつける。火をつけて仕上げに辣油を入れる。
香ばし麺で食欲UP!
四川炒麺
ほぐさずそのまま焼き目をつけると、お焦げのような香ばしさに! 隠し味のオイスターソースでいつもの味が激変!!
材料(1人分)
肉みそ…80g
蒸し麺…1玉
モヤシ…100g
ザーサイ…20g
ネギ(みじん切り)…10㎝分
A
酒…小さじ1
油…小さじ1
しょうゆ…小さじ1/3
B
酒…大さじ1/2
しょうゆ…小さじ1
オイスターソース…小さじ1
うま味調味料…ひとつまみ
作り方
❶蒸し麺にAで下味をつけ、フライパンに油大さじ1/2(分量外)を入れ、弱めの中火で両面に焼き色をつけ一度取り出す。
❷モヤシを軽く炒めたら、ザーサイ、肉みそ、ネギ、①の麺を入れ、ほぐしながら炒め合わせる。
❸Bを加えてさらに炒める。好みで辣油や一味唐辛子を入れても美味しい。
順番遵守がキレイに混ざるコツ
豆乳坦々麺
スープに豆乳を合わせることで、コクが出て、ピリ辛ながらまろやかな味わいに。徐々に乳化することで、だんだん香り立つのが面白い。
材料(1人分)
肉みそ…30g
中華麺…1玉
豆乳…300㎖
青菜…適量
A
ザーサイ(刻む)…20g
うま味調味料…小さじ1/2
酢…小さじ1/2
しょうゆ…大さじ2
練りごまペースト…大さじ2
辣油…大さじ1/2〜1
ネギ(みじん切り)…少々
作り方
❶メスティンにAを上から順番にすべて入れる。
↓
↓
↓
順番どおりに入れるとよくなじむ。
↓
❷ほかの鍋で麺を表示の分数どおりに茹でる。ザルにあげてよく湯を切る。
❸ネギと沸かした豆乳を①に入れ、麺を加える。上に肉みそと青菜を盛り付ける。
焚き火とくつろぐ絶品おつまみ
焚き火と赤ワインのおともに
エビマヨ
水気を取ることで下味がよく入り、卵白を絡めることで、火を通しても縮みにくくなる。エビのほかにイカやホタテとも相性抜群。
材料(1人分)
むきエビ…8匹
A
マヨネーズ…100g
塩…2g
赤ワイン…8g
ハチミツ…10g
B
塩…小さじ1/5
酒…小さじ1/2
こしょう…少々
卵白…小さじ1
片栗粉…大さじ2
油…小さじ2と1/2
キャンプへ行く前の下ごしらえ
エビに塩少々(分量外)と片栗粉大さじ1を振ってよくもみ、流水で汚れを洗い流す。水けをしっかり拭き取る。
作り方
❶Aをすべて合わせてマヨネーズソースを作る。赤ワインはリキュールを代用してもOK。
❷エビにBをもみ込み下味をつける。片栗粉大さじ1と油小さじ1を混ぜた薄い衣でコーティング。
❸フライパンに油小さじ1と1/2を入れ、エビを両面焼く。エビに火が通ったら火を止め、①のソースで和える。
陳さん流アウトドア料理術3
- 手間のかかる下ごしらえは前日に完了させる
- 野外でも調味料にこだわることで本格派にランクUP
- 高火力&広範囲に火が行きわたる焚き火を活用
※構成/大石裕美 撮影/木村文吾
(BE-PAL 2024年11月号より)