あまり知られていないことですが、このロサンゼルス近辺でも屈指の人気を誇る2つのビーチタウンには広大な自然保護地域があります。ハンティントン・ビーチにあるボルサ・チカ生態保護区と、ニューポート・ビーチにあるアッパー・ニューポート・ベイ生態保護区。どちらも海水と淡水が混ざった湿原です。
野生動物、とくに多様な水鳥や渡り鳥の生態を保護することが目的とされ、地域内では自動車の通行は禁止あるいは制限されています。自転車と歩行者しか入れない道路が整備されていますが、場所によっては自転車も入れなくなり、さらに奥へと進むと人間は完全に立ち入り禁止となります。
訪れる人は、ジョギング、ハイキング、サイクリング、バードウォッチング、カヤックなど、様々なアウトドア活動を楽しむことができます。ただし、売店のような商業施設は皆無です。
自然環境保護とアウトドア活動の両立
生物多様性に富んだ海岸湿地帯
パシフィック・フライウェイと呼ばれる渡り鳥たちのルートがあります。北はアラスカから南はパタゴニアまで、南北アメリカ大陸の太平洋岸に沿った、気の遠くなるようほど長大な空の道です。
寒くなる季節には南へ、暑くなる季節には北へと、食料と繁殖地を求めて彼らはその道を旅するわけですが、途中で翼を休める中継地がいくつかあります。ロサンゼルス近辺もそのひとつなのです。ここに鳥たちの保護区が作られているのはそのためです。
私は鳥については詳しくありません。これら保護区で見ることのできる鳥の名前もその生態についてもほとんど知識がありません。それでも、彼らがどれだけ遠くからやってきて、そしてどこまで行くのだろうと想像できる場所がすぐ近くにあることは幸運だと思っています。
当然、最優先されるのは鳥たちに安心して過ごしてもらう環境を維持すること。私たち人間の楽しみは次になることは承知しています。
私の場合はもっぱら景色を眺めながらのジョギングやサイクリングがその楽しみです。双眼鏡や高性能カメラを携えたバードウォッチャーの姿もよく見かけます。多分、こうした保護区でしか見ることのない貴重な種類の鳥もたくさんいるのでしょう。
まったくの偶然なのですが、私はアッパー・ニューポート・ベイ生態保護区でハクトウワシを見たことがあります(と信じています)。アメリカ合衆国の国鳥であり、かつては絶滅危惧種に指定されていたこともある鳥です。
そのハクトウワシらしき大きな鳥が、走っていた私の頭上を悠々と旋回していたのです。まさかとは思いましたが、いくら目を凝らしても、少なくとも鷲か鷹にしか見えませんでした。そのときはスマホすら持っていなかったので、惜しくもシャッターチャンスは逃したのですが。
立地条件としては、観光地にしても、住宅地にしても、きっと莫大な収益を生むはずの土地です。そこにこれだけの広大な自然保護区を維持しているカリフォルニア州当局の見識には敬意を払いたいと思います。
もっとも、鳥たちが保護区に感謝しているかどうかまでは私には分かりません。とくに人間の出入りを制限しているわけではない普通の公園にも、毎年やって来る渡り鳥もなかにはいるからです。自然のままではなくても、居心地は悪くないのかもしれません。
野生動物と人間の最適な付き合い方を探るのはかように難しいものです。それはさておき、自然やアウトドアが好きな人にはおススメの場所について、以下にリンク先を紹介しておきます。
カリフォルニア州魚類野生生物局公式ウェブサイト内
• ボルサ・チカ生態保護区ページ: https://wildlife.ca.gov/Lands/Places-to-Visit/Bolsa-Chica-ER
• アッパー・ニューポート・ベイ生態保護区ページ:https://wildlife.ca.gov/Lands/Places-to-Visit/Upper-Newport-Bay-ER