FILE.102は、足立区の芝山です。
第102座目「芝山」
今回の登山口は、東武伊勢崎線谷塚駅です
本当なら、前回の花又富士を歩き終えた時点で、足立区から別のエリアに移る予定でした。ただ、花又富士への山行の際、ちょっと時間があったので、周辺をぶらぶらしていて道に迷い、偶然にも山を発見したのです。それが、今回目指す「芝山」です。
ということで、今回も登山口(最寄り駅)は、東武伊勢崎線谷塚駅登山口。前回同様、埼玉県草加市から出発しますが、ちゃんと東京都足立区の山にたどり着くので、「TOKYO山頂ガイド」という連載タイトルに恥じぬ(外れぬ)山行となるはずです。
定番土産の工場や巨大団地を通り抜け…
前回と同じように、谷塚駅前のロータリーを南下します。すると早速、気になるお店がありました。なぜ気になったかというと、お店が開いたかと思ったら焙煎途中だったのか、冷やすためなのか、お店の方がカゴに珈琲豆を入れたまま店の外に出てきていたのでした。その時に香った豆の匂いに誘われ、無性に珈琲が飲みたくなったのです。
お値段も雰囲気も、いい意味で昭和。珈琲が1杯なんと300円からというから驚きです。ただ、僕が訪れた日は、灼熱の真夏でした。珈琲より自動販売機の冷たい飲み物が欲しい気温でしたのでスルーしましたが、今度ゆっくり立ち寄りたいと思います。
ここから、前回と同じように瀬崎浅間神社方向に進んでいくのですが、駐輪場の多いことに驚きます。そこら中にあります。途中で路地に入り、南下していきます。すると直ぐに住宅街。特に書くこともなさそうな雰囲気なので、住宅街の網の目をくぐるように進み、足立越谷線へ出ます。幹線道路に出ても、やはり書けそうなネタは見当たりません。それでも、とにかく何かあると信じて進むだけです。
そして、毛長川付近に行くと、橋の向こう側には足立区の表示があります。この周辺は、川が境目になっているようですね。ここでは橋は渡らず、川沿いの道を歩いていくことにしました。
なんと、花瀬橋の手前にあの東京土産で有名な「ひよ子」の看板を発見。いつも大変お世話になっています!それにしても、東京土産の定番である「ひよ子」の工場があるのは、毛長川沿いの草加市サイド。つまり埼玉県だったのでした。
東京ひよ子
1897年(明治30年)に、初代の石坂直吉が福岡県飯塚市で菓子舗「吉野堂」を開業したのが始まり。1912年(大正元年)に二代目の石坂茂がひよこをかたどった菓子「名菓ひよ子」を考案しました。
名菓ひよ子を日本中の人に味わっていただきたい、商品を新鮮なままお届けしたい。こうした願いのもと、1964年(昭和39年)、東京に進出し、草加市に「ひよ子東京工場」を建設したそうです。現在では皆さんご存じの通り、不動の「東京土産」と呼ばれるまでになりました。ちなみに、本店は上野にあるそうですよ。
参照:東京ひよ子のあゆみ
ひよ子の工場の目の前にある花瀬橋を渡ると、真新しい大きな建物と、新しく整備されている公園が見えてきました。ここからは足立区になります。
随分と敷地の広い新しい建物だと思っていたら、文教大学東京あだちキャンパスでした。2021年に、国際学部、経営学部、国際学研究科を移転し、東京あだちキャンパスとして開校したそうです。大学周辺の川沿いには、毛長公園が改修されており、新しい街の雰囲気が漂っています。大学と団地の間の道を進んでいくと、結構大きな団地だったことに気付きました。
花畑団地は独立行政法人都市再生機構(以下、UR)により1964年(昭和39年)に管理が開始されました。約22ha(東京ドーム約4.7個分)の広大な敷地に2,725戸の住棟が並ぶ、都内でも最大級の大規模団地だそうです。
この花畑団地の老朽化に伴い、URによる「団地再生事業(一部建替えや改修)」が行われることとなりました。これを契機として、平成22年から、花畑団地周辺地区まちづくりが行われているそうです。文教大学が開設されたのも、街づくりの一環なのかもしれません。それにしても、花畑団地って良い響きですね!
そして今回の目的地は、花畑団地に囲まれるようにある、花畑記念庭園です。
目的地の日本庭園に到着
花畑公園・花畑記念庭園・桜亭
花畑公園は、区画整理により1984年(昭和59年)に開園しました。公園の一角(西側)には「花畑記念庭園・桜花亭」があります。「花畑記念庭園」は、1982年(昭和57年)の足立区制50周年を記念し建設された記念庭園で、足立区が日本文化に親しむ場として整備したそうです。
庭園は、滝・池・小川・築山などがある「池泉回遊式」の日本庭園です。四季折々の花たちが訪れる人の目を楽しませてくれます。また、園内の集会施設「桜花亭」は、桜花亭カフェや日本庭園を一望できる和室・洋室、茶庭を設えた茶室を備えています。
築山・芝山
すでにお気づきの読者の方も多いと思いますが、回遊式庭園に築山あり。地図にもしっかり載っている築山が芝山だったのです。お堀やせせらぎを楽しみつつ、庭をまわる順路の最後に綺麗にととのえられた芝生の丘のような山が見えてきます。
芝山の麓にはカフェもありますので、ゆっくりと庭園を眺めながら一服してもいいですね!
前回の花又富士への山行でロストし、思いがけず発見した芝山。この山に来なければ東京ひよ子の工場を目にすることもありませんでした。山行がてら意外な発見や出合いが楽しめるのも街を歩く東京の山の醍醐味です。(行き当たりばったりと言われれば返す言葉もありませんが)今回も大満足でした!
次回は北区の十条冨士塚です。