オーストラリア世界遺産の“じゃないほう”「カタジュタ」もすごかった!【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】
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    2024.11.12

    オーストラリア世界遺産の“じゃないほう”「カタジュタ」もすごかった!【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】

    オーストラリア世界遺産の“じゃないほう”「カタジュタ」もすごかった!【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】
    「前座」のはずの「キングスキャニオン」で大満足したあと、いよいよラスボスの「ウルル(旧称エアーズロック)へ向かいます。はい、オーストラリアの中央部にある巨大な一枚岩で、世界遺産にも認定されています。

    キングスキャニオンからはハイウェイ通って300キロ以上、3時間半の道のりです。

    どうも。オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。

    オーストラリア世界遺産の前座的扱い「キングスキャニオン」が…王様級だった!【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】 | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

    【ウルル旅2】危うく愚か者認定されるところでした…

    キングスキャニオンを出発しておよそ2時間。車窓から雄姿が見えてきました。

    「うわっ、すげえ!」と思わず声をあげていました。

    だけど…ちょ待てよ。頭がキムタクを発動します。予定では3時間半の旅なのに、まだ2時間くらいしか走っていないぞ? ああ、それだけ巨大ってことね…と無理矢理思い込んでみようとしたのですが。

    ウルルまでは直線距離でまだ100キロメートルほどあります。富士山とかならまだしも、ふもとからの高さが348メートルのウルルが見えるのか?

    ん、もしかしたら私の視力、急に平均視力が5.0とも言われるアフリカのサバンナの民マサイ族レベルになったのか?

    そのとき。それまでマシンガントーンを繰り広げていた私が急に黙ったのを見て、ガイド兼ドライバーが口を開きました。

    「あっ、あれはフールルっていうんですよ~」

    「フールル?」

    「そうです。ウルルじゃなくて別の岩です。でもアリススプリングスからここまで来て、あれを見て〈ウルルを見たぞ~〉って感激して帰っちゃう人が結構いるんです。それでフールルって呼ばれるようになったんです」

    「Fool(フール。愚か者)」が「Uluru(ウルル)」と思いこんじゃうから「フールル(Fooluru)」。ちなみに英語の正式名称はマウントコナー(コナー山。Mount Conner)です。

    そんな不名誉な俗称があるマウントコナーですが、じつはこちらもかなり大きな一枚岩。ふもとからの高さは344メートル(東京タワーよりも11メートル高い)で、348メートルのウルルとほぼ同じ。

    そしてふもとを一周すると約32キロメートルで、こちらはウルルの約3倍。なぜウルルを含む「ウルル-カタジュタ国立公園」が「世界遺産」にまでなり、こちらは「フールル」扱いなのか。なんだか悲哀を感じます。

    ただし先住民アボリジナルピープルにとっては立派な聖地とのこと。彼らはこの岩を「アーティラ(Artila)」と呼び、女性の聖地だそう。そして「ウルル」には男女両方の聖地があり、ウルルを挟んだ反対側、一直線に並ぶようにしてある「カタジュタ(Kata Tjuta)」は男性のみの聖地とのこと。

    まっ、とにかく。マウントコナーをウルルと思い込んでしまったことなどおくびにも出さず、「ああ、どこの国でもアホはいますよね~」とうそぶく私。このあたり「いやいやいや。王様、やっぱり裸だろ~」と思いながらも「愚か者認定」されるのが怖くて口を閉ざした従者や街の人たちの心境です。…ピッタリのたとえのようでいて、全然そうじゃない気もします。笑

    そんなこんなで、じつは愚か者であることはなんとかバレずに済んだと思いこみながら、無事にエアーズロックリゾートに到着。ウルルからは11~12キロメートルの距離です。

    さてここで「ウルル」と「エアーズロック」についてちょっと説明しておきましょう。簡単にいうと「エアーズロック」というのは「旧称」で、現在ではあの一枚岩の正式名称は先住民の呼び方の「ウルル」となっています。国立公園名および世界遺産の登録名も「ウルル-カタジュタ」です。

    ただいくつかのホテルが集まったここのリゾート名と空港名では「エアーズロック」という名称が使われています。

    そのリゾート内にはいくつもの宿泊施設があるのですが、最も高級とされるのが「セイルインザデザート(Sail in the Desert)」です。

    部屋も広々で快適です。

    36の岩々からなる聖地「カタジュタ」へ

    じつはこのあと「ウルル」に向かったのですがメインイベントはあとに置いておいて、まずは「カタジュタ」のウォーキングから紹介しましょう。とはいえこちらも世界遺産なのですが…やっぱり「じゃないほう」扱いを受けていると言わざるをえません。

    「一枚岩」のウルルと違ってカタジュタは36個の岩の集まりです。展望台から。

    その岩と岩の間を入っていけるウォーキングトラックが二つあります。

    一つは途中からループになり、総距離7.4キロメートルで所要時間は4時間半。かなりのアップダウンがあるため難易度は5段階中の4の「バリー・オブ・ザ・ウィンドズ」、つまり「風の谷」です。

    そしてもう一つは来た道をそのまま戻る往復ルートで総距離2.6キロメートル、所要時間1時間で難易度3の「ワルパ渓谷」。

    「BE-PAL」的にはどう考えても前者を選びたいところですが、行ったのは後者。というのは「風の谷」は全体が聖地のためすべて「撮影禁止」なのです。書籍ならまだしも、ウェブ記事はさすがに文字だけでつくれません。

    展望台にあった地図。

    というわけで「ワルパ渓谷」を進みます。

    荒涼とした風景です。

    「渓谷」の名のとおり、ここは二つの岩に挟まれた場所を進みます。その岩に一部が崩落してできた穴などが開いていてなかなかの景色なのですが、片側の岩だけの写真は掲載NG。

    というわけで必ず左右の岩を画面に入れないといけません。

    水面にも逆Vの字が写っていますね。

    このあたりは草木のない「砂漠」のイメージがありますが、「準砂漠気候」で雨も降ります。ちょうど雨が降ったあとだったので花もきれいに咲いていました。

    「オーストラリアンロングマラマラ」という花。

    ツッコミを入れたくなる名称ですがスルーします。そして行き止まりとなる展望デッキへ。

    真正面の風景。この先は進めません。

    「両側から岩が迫る場所」で思い出すのは去年紹介したアリススプリングスの【大地の割れ目スタンドリーカズム】。

    谷底から見上げる絶景!オーストラリアの「大地の割れ目」を歩いてみたら…

    小さく見える黒いのが人!

    じつは今回の旅でも行ってきました。

    懐かしい「フォー」のポーズで写真を撮ってもらったのは「大地の割れ目」だからという理由です!

    でもよくよく考えたら全然関係なかったです。笑

    で、この日の「カタジュタ」ももちろん迫力はあるのですが、「迫りくる」という感じでは「スタンドリーカズム」のほうが上かなあなどと、ちょっと不完全燃焼気味で帰路につくことにしました。ところが。

    ふりかえるとそこには…

    ふりかえったときに広がっていた風景。ん? なんかいい感じじゃない?

    さらに進みます。というか戻ります。両側の岩が終わり、最後の最後にパ~ッと開けた雄大な景色が現れました。

    「来たぞ~、オーストラリア~」と心の中で思わず叫んでいました。オーストラリア在住なのですが。

    ベンチもなんかいい雰囲気を出しています。

    とまあ、他の人たちとはまったく異なるところで感動して写真撮影をしているものだから…。

    どんどん置いて行かれる私。

    というか完全に「最初からいないもの」扱いになっている気配も。「愚か者」認定のほうがマシかもしれん。笑

    でも名所に向かっていくときよりも、そこから戻るときのほうが感動することがあるんだな。ちょっと勉強になりました。

    最後に来たときとは別の展望台へ。やっぱりこれはこれで迫力がありますね。

    「じゃないほう」の「フールル」も「カタジュタ」もなかなかの迫力でした。次はいよいよ「ウルル」へ。

    【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら

    ノーザンテリトリー政府観光局
    https://northernterritory.com/jp/ja

    Sail in the Desert
    https://www.ayersrockresort.com.au/accommodation/sails-in-the-desert

    私が書きました!
    オーストラリア在住ライター
    (海外書き人クラブ)
    柳沢有紀夫
    1999年からオーストラリア・ブリスベン在住に在住。オーストラリア関連の書籍以外にも『値段から世界が見える!』(朝日新書)、『ニッポン人はホントに「世界の嫌われ者」なのか?』(新潮文庫)、『日本語でどづぞ』(中経の文庫)、『世界ノ怖イ話』(角川つばさ文庫)など著作も多数。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」のお世話係

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