カタバミを観察してみよう
カタバミは横に這うように成長するため、知らずに踏まれてしまうことが多く、ちょっとかわいそうな雑草です。
葉が欠けているように見えることから「片喰(カタバミ)」と呼ばれるようになったという説があります。
黄色い花が目印!カタバミの見つけ方
ちょっと地味なカタバミですが、可憐な黄色い花を咲かせるので、黄色い花を目印にするとすぐに見つかります。カタバミという名前は知らなくても、この黄色い花に見覚えのある方は多いのではないでしょうか?
生育場所は、道路の脇、公園の芝生の中、街路樹の下などあらゆるところに生育しています。街中のコンクリートに覆われたような場所でも、ちょっとした隙間に生えていることがあります。
カタバミの開花の時期
カタバミの開花時期は、地域によりますが、おおよそ3月から11月。非常に長い期間、開花するので、年中花が咲いているような印象です。
葉っぱの特徴とクローバーとの見分け方
カタバミの葉はシロツメクサ(クローバー)に似た形をしていますが、葉の大きさはシロツメクサ>カタバミとなります。また、シロツメクサの葉は楕円形ですが、カタバミの葉はハート型という違いがあります。
立ち上がるカタバミ
先に、カタバミは横を這うように成長すると書きましたが、上に伸びるカタバミがあり、オッタチカタバミ(おっ立ち片喰)と呼ばれています。 オッタチカタバミは、カタバミとよく似ていますが、北アメリカ原産で、1960年前後に日本にやって来た外来種です。
葉の色が異なるカタバミ
カタバミの葉をよく見ると、たまに紫色をしたものがあり、アカカタバミと呼ばれています。また、緑色と紫色の葉が混在したものは、ウスアカカタバミと呼ばれています。花はどちらも黄色です。
種子をとって、栽培してみよう!
カタバミの種子は、ゴマよりも一回り小さくて薄く、だ円形の形状をしています。熟したつぼみを触ると、中の茶色い種子が周囲にはじけ飛びます。 集めた種子は冷蔵庫に1か月ほど保存してから、土にまいてください。また、種子の上に土をかけすぎると種子が埋まってしまうので、ごく薄くかけるのがコツです。
イモカタバミ、ムラサキカタバミ、ハナカタバミの特徴と見分け方
ここからは、カタバミより葉が大きく、花の色も異なるカタバミ達を紹介します。
イモカタバミとは?
イモカタバミは、紫色のきれいな花を咲かせることから、鑑賞用として海外から日本に持ち込まれました。このため、公園や花壇の中でよく見かけます。
カタバミは種子を作りますが、イモカタバミは種子を作らずに土の中にある塊茎(かいけい)で増えていきます。塊茎とは茎が肥大したもので、ジャガイモも塊茎です。
今回、イモカタバミの塊茎を撮影しようと思ったのですが、プランターや街路樹の下など、鑑賞用に植えられているものしか見つけることができなかったので、諦めました。観賞用にイモカタバミを栽培している人もけっこういますので、イモカタバミを掘り起こす場合には、野生のものかどうか十分注意してください!
白い花のイモカタバミ
タンポポにも白花があるように、イモカタバミにも白花が存在しています。
ムラサキカタバミとは?
ムラサキカタバミは、幕末の1860年代に日本に持ち込まれたと考えられています。現在、ムラサキカタバミの繁殖力が非常に強いために要注意外来生物に指定されています。
ムラサキカタバミは、イモカタバミと非常によく似ていて、ぱっと見ただけでは区別が難しいのですが、花の中心部の色で見分けることができます。
イモカタバミの花は中心部が濃い紫色をしていますが、ムラサキカタバミは、黄緑色をしています。
ハナカタバミとは?
いろいろなカタバミが続きましたが、最後にもう1種、ハナカタバミをご紹介します。名前にハナと付いているように、ピンク色の大きな花が特徴です。
生育場所は、ムラサキカタバミやイモカタバミと同じく、家の周辺や街路樹の下、花壇となります。
今回、写真を撮影するために街の中を歩き回ったのですが、なかなか見つからなくて大変でしたが、諦めて帰る途中の道でようやく見つけました。普段、何気なく見ている雑草ですが、わざわざ探すと見つからないというのがいつも不思議な感じです。
カタバミの活用方法
あちこちに生えているカタバミには、意外な使い道があります。
食べると酸っぱい
カタバミの中には食べると酸っぱいシュウ酸が含まれていることから、フランス料理などで、味のアクセントやとして使われることがあるようです。ただし、シュウ酸を摂取し過ぎると体によくないので、食べる際には注意が必要です。
磨くとピカピカ
食べ過ぎるとよくないシュウ酸ですが、酸の力を活用して汚れた10円玉をピカピカにすることができます。カタバミの葉で10円玉をこするだけなので、簡単にできます!
戦国武将にもカタバミの家紋が人気だった!
ゲームや大河ドラマなどでおなじみの戦国武将達は、様々な家紋を使用していました。例えば、豊臣秀吉は桐、徳川家康は葵(あおい)と呼ばれる植物を模した家紋を使用しています。
家紋の種類は非常に多く、植物以外にも兎やスズメ、山や星などあらゆるものが家紋になっていましたが、その中にはカタバミに由来する家紋がありました。つまり、戦国時代の人々もカタバミを見ていたということになります。
しかもカタバミ由来の家紋(片喰紋)は、日本の家紋としてよく使われているトップ5に含まれています。カタバミ以外には、桐紋、藤紋、鷹の羽紋、木瓜(もっこう)紋があります。
カタバミの家紋を使用した戦国武将は、高知の長宗我部元親(ちょうそかべもとちか)や、岡山の宇喜多秀家(うきたひでいえ)、徳川家康に仕えた酒井忠次(さかいただつぐ)などが有名です。
カタバミの家紋が多く使われた理由は、カタバミの繁殖力の強さに子孫繁栄を託したという説や、カタバミの葉の形が優雅であることから選ばれたという説があります。
まとめ
今回、たくさんのカタバミの仲間が出てきましたが、横に這っていく「カタバミ」、上に伸びる「オッタチカタバミ」、葉が紫色をした「アカカタバミ」、紫色と緑色の葉が混在する「ウスアカカタバミ」は道路の脇、コンクリートの隙間、芝生の中などあちこちで見ることができます。そして、目印は黄色い花です。
また、種子を作らずに増えていく「イモカタバミ」、「ムラサキカタバミ」、「ハナカタバミ」は家の周辺、街路樹の下や花壇によく生えていますので、ピンクの花を目印に探してみてください!