正確にはオクラホマ・ミキサーとは楽曲のタイトルではなく、男女がパートナーを入れ替える(mixer)ダンスの形態のことを指すらしいのですが、なぜそう呼ばれるようになったかを説明し出すと長くなりますので触れません。それよりも、なぜ七面鳥は逃げるのか?について、本記事では追及したいと思います。
もっとも私の中ではすでに上の問いに対する答えは出ています。「丸焼きにされたくないから」が、七面鳥が懸命に逃亡を図る理由です。
アメリカでは11月第4木曜日の感謝祭(Thanksgiving Day)に家族や親戚が集まり、丸焼きにした七面鳥を中心に据えたご馳走を食べることが一般的です。11月になるとスーパーマーケットなどには冷凍した七面鳥の包みが大量に並べられます。
アメリカで感謝祭が正式に祝日と定められたのはエイブラハム・リンカーン大統領時代の1863年のこと。日本が幕末騒乱のさなかにあった文久2~3年にあたる大昔なのですが、その頃からすでに一般家庭で感謝祭に七面鳥を食べる習慣があったということです。ずいぶん長く続いている伝統ですね。
藁の中で見つかった七面鳥は丸焼きにされる運命なのです。逃げ出したくなるのも無理はありません。
ところで、七面鳥という言葉は知っていても、どのような見た目をした鳥なのかをイメージできる人は意外に少ないのではないでしょうか。無理もありません。なぜなら七面鳥は北米大陸原産の動物だからです。
それがなぜ英語では国名のトルコと同じ「Turkey」と呼ばれるかについても面白い話があるのですが、これについても説明し始めると長くなりますので触れません(すみません)。何はともあれ、野生の七面鳥は日本には生息していないのです。
原産地のアメリカであっても、都会に住んでいると、野生の七面鳥を目にする機会はそう多くありません。私は在米30年以上になりますが、そうした経験は数回あるだけです。多くのアメリカ人もそうではないでしょうか。
ということで、名前をよく聞くわりには謎に包まれた七面鳥にまつわるクイズ4問です!
【第1問】七面鳥はどれだけ飛べる?
a) 飛ぶことはできない
b) 数100m以上
c) 1km以上100㎞未満
d) 100㎞以上
オクラホマ・ミキサーでは七面鳥は池や庭の周りを追いかけられたあげく、藁の中に隠れているところを見つかってしまいます。よく考えると不思議です。檻の中でロッキーに追いかけられるニワトリじゃないのですから、空を飛んで逃げさえすれば、人間は追いつけないはず。それとも七面鳥は鳥のくせに空を飛べないのでしょうか?
正解は「b)数100m以上」です。鳥としてはどうなの?と思う距離ではありますが、飛べることは飛べるらしいです。それでも七面鳥と言えば、空を飛ぶよりも地面を走る姿のイメージが強くあります。
感謝祭の朝には5㎞くらいの距離を走るフットレースが全米各地で開催されますが、そこではTurkey Trot(七面鳥の速足)という一般名称が広く使われているくらいです。
【第2問】七面鳥が羽を伸ばした長さは?
a) 50cm ~ 75cm
b) 75cm ~ 100cm
c) 100cm ~ 125cm
d) 200cm 以上
お酒好きの人なら、バーボンウイスキーの逸品『ワイルド・ターキー』のラベルを思い浮かべることができるでしょう。あそこに描かれている鳥がつまり、野生の七面鳥です。羽を畳んで立っている姿ですが、羽を伸ばしたときはどれくらいの長さになると思いますか?
正解は「c)100cm ~ 125cm」です。かなり大きな鳥なのです。ニワトリの倍くらいあります。体重も10㎏を超えることもあるらしく、つまり丸焼きにすると食べる肉も多くあるというわけです。大勢の人が集まる感謝祭のご馳走とされる理由も多分そこにあります。それだけ体が重いのですから、空を長く飛べないことも頷けますね。
【第3問】七面鳥は主に何を食べる?
a) 肉食(小動物)
b) 草食(木の実や果物)
c) 昆虫
d) 雑食(上のすべて)
丸焼きにされることばかりを述べてきましたが、もちろん七面鳥も何かを食べ、そして何かに食べられる植物連鎖の一環を担っています。彼らは主に何を食べて生きているのでしょうか?
正解は「d)雑食(上のすべて)」です。七面鳥は地上を歩き回りながら視覚と嗅覚を使って餌を探しますが、その守備範囲は非常に広いようです。
【第4問】七面鳥のオスとメスの見分け方は?
a) 体の大きさ
b) 羽の光沢
c) 胸に毛の房があるかどうか
d) 上のすべて
英語ではニワトリのオスを”Rooster”、メスは”Hen”と分けて呼ぶように、七面鳥もオスを”Tom”、メスはやはり”Hen”と呼びます。家畜や食用にする用途から見ると、同じ鳥でもオスとメスの違いは大きいようです。七面鳥の性別はどのように見分けることができるでしょうか?
正解は「d)上のすべて 」です。オスはメスと比べて体が倍くらい大きく、羽の色は光沢が強く、また胸部から毛の房が垂れ下がっていることが特徴です。
最後になりましたが、「七面鳥」と言う日本語名称も不思議ですね。顔が7つあるのでしょうか? あのキングギドラでさえ3つしかないのに。
もちろん、そんな訳ではなく、顔の色や表情が様々に変化するからという説明が一般的なのですが、本当に7色にも変化するのでしょうか? 七面鳥が丸焼きにされるまでに、一体どれだけ顔色を変えなくてはならないのでしょうか? 答えは、友よ、風に吹かれています。