CINEMA 01
風変わりな少女と孤独な清掃員
ふたりの優しいロードムービー
『ルート29』
(配給:東京テアトル リトルモア)
●監督・脚本/森井勇佑
●出演/綾瀬はるか、大沢一菜、市川実日子、高良健吾ほか
●TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開中
©2024「ルート 29」製作委員会
鳥取で清掃員として働くのり子は、精神病院に入院中の理映子と出会う。「とうとうもうじき私は死にます」、そうつぶやく彼女の望みは、娘ハルとの再会。のり子は、会社のワゴン車で姫路へ。森につくった秘密基地に暮らすハルを見つける。ふたりは、国道29号線を鳥取に向かうが……。
『こちらあみ子』の監督が、再び大沢一菜と組んだ現代のおとぎ話。
最初の衝撃は、のり子役の綾瀬はるか。もっさりした髪型にメガネ、ブツブツいいながら日記をつけ、周囲に心を閉ざす女性を演じる。そんなのり子が大沢演じるハルとの旅で、死んじゃったかもしれないおじいさんや、「人間社会から逃れたかった」とこぼす父と息子ら、こちらの地獄を凝視してあちら側に足を踏み入れたような人びとと出会う。
彼らを見つめるハルのまっすぐな瞳と、その傍らでマイペースに自分を取り戻していくのり子と。母親と再会できてよかったね! では終わらない、ふたりの旅の終着地は?
CINEMA 02
アイドル→レーサー
華麗なる転身、その過酷な記録
『オートレーサー森且行
約束のオーバル 劇場版』
(配給:KADOKAWA)
●監督・編集/穂坂友紀
●11/29~新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町ほか全国公開
©TBS
あのSMAPを辞し、オートレーサーへ転身した森且行。24年後、日本選手権で初優勝。しかしその82日後、レース中に落車して大けがを負う。幾度もの手術、懸命なリハビリ。森はそれでもレース復帰を諦めない。
まずオートレースそのもの、靴のかかとから火花が散るコーナーリングの臨場感に手に汗。「レーサーとして誇りを持っているから。いつ死んでもいい」といい、足に麻痺が残っても、「レースしたいねえ」と目を細める。その姿に触れ、憧れや羨望でいっぱいに。
※構成/浅見祥子(CINEMA)
(BE-PAL 2024年12月号より)