もくめ書店
読書と自然が心身を潤す道志の森に佇むブックカフェ
山梨県南都留郡
自然豊かで山に囲まれ、人気のキャンプ場も多い道志村は、アウトドア派にはお馴染みのエリア。ツーリングの聖地でもあるが、その喧騒を感じさせない山奥にひっそりともくめ書店は佇んでいる。
「忙しなく過ぎる日々の中で一歩立ち止まり、焚き火や自然を楽しみながら、ゆっくり本と向き合う。そんな時間を提供できる書店を目指しています」
書店員をしていた酒井七海さんが2022年に開いたこの村唯一の本屋は、木々に囲まれた特別な環境で心地よく読書を楽しめるよう、カフェとして飲み物や食事も提供。地元住民や観光客の憩いの場となっている。
そんなもくめ書店の本棚に並ぶのは“自然の中で気持ちよく読める本”。それらはアウトドアや自然に関係するものに限らず、美しい言葉を紡ぐ詩集やエッセイ、心を豊かにする絵本、酒井さんの好きな海外文学など、幅広いジャンルに及んでいる。
今回もくめ書店の本棚の中から、焚き火の前で読みたい本として酒井さんが選んだのは、翻訳者でありフランス文学者の朝比奈弘治氏による短編集。
「耳がキノコになっていく空想の奇病を題材した物語など、不思議なお話が詰まった一冊。森の中に迷い込むような感覚に陥るこの本は、自然の中でこそ読んでいただきたいです!」
住所:山梨県南都留郡道志村下善之木10153
電話:090-9106-9665
営業時間:10:00〜17:00
定休日:火・水曜
HP:https://mokumebooks.base.shop/
川のせせらぎを聴きながら庭で読書ができる
道志川にそそぐ清流と、山に挟まれたもくめ書店。ポーチや庭には椅子が設けられていて、川のせせらぎと木々のざわめき、鳥の声をBGMに贅沢な読書を楽しめる。
コテージ風の外観同様、温もりのある店内には、1000冊ほどの本が並んでいる。
カウンターとポーチはくつろぎのカフェスペース。
ほっと一息つける飲み物や地元製菓店発のケーキのほか、スパイスカレーも人気だ。
店主酒井さんが焚き火の前で読みたい本は?
夢に追われて
著者:朝比奈弘治
出版社:作品社
bullock
自然豊かな森の家の、庭に佇む秘境的書店
栃木県矢板市
街の喧騒とかけ離れた森の中で本散策。バロックでは古書を中心にさまざまなジャンルの本が並ぶ中、特にSFが充実。新刊は小出版の書籍・雑誌を販売している。おすすめの一冊には、北イタリアを愛した作家・リゴーニの随筆集をセレクト。
住所:栃木県矢板市長井1840
営業時間:10:00〜17:00
定休日:火・木・金曜
HP:https://bullock-books.stores.jp/
店主内田さんが焚き火の前で読みたい本は?
野生の樹木園
作者:マーリオ・リゴーニ・ステルン(著)、志村啓子(訳)
出版社:みすず書房
※版元品切れ重版未定
焚火と本
本と焚き火を通じて、人と地域をつなげる
茨城県大洗町
古本のほか、焚き火・アウトドア用品も販売しているユニークなブックカフェ。焚き火を囲みながら本を読み、地元食材を味わうイベントなども開催。選んでいただいた一冊は、「焚き火の側でアイラモルトをちびちびと飲みながら読んでほしい」とのこと。
住所:茨城県大洗町磯浜町1060
定休日:不定期
Instagram:@takibitohon
店主佐藤さんが焚き火の前で読みたい本は?
A TASTE OF TANIKAWA
谷川俊太郎の詩を味わう
作者:ウィリアム・I・エリオット(著)、西原克政(訳)、谷川俊太郎(詩)、ウィリアム・I・エリオット、
川村和夫、西原克政(英訳)
出版社:ナナロク社
TUG BOOKS
瀬戸内海に浮かぶ小豆島にて、未知の本と出会う
香川県小豆郡
海辺の古民家で営業するタグブックスは、自然科学や人文、海外文学、児童書などに力を入れている、"本との新しい出会いをもたらす書店"。「人間の尊厳について問いかけ、読者の心に勇気という炎を灯してくれる」一冊として『夜間飛行』をセレクト。
住所:香川県小豆郡土庄町淵崎甲1926
営業時間:金曜/18:30〜21:00、土・日曜/12:30〜18:00
定休日:月曜〜木曜
Instagram:@tugbooks_shodoshima
店主田山さんが焚き火の前で読みたい本は?
夜間飛行
作者:サン=テグジュペリ(著)、堀口大學(訳)
出版社:新潮社
杣Books
神出鬼没! 信州の山に突然開店する山頂本屋
林業に従事する店主・細井さんが、週末を中心に不定期・営業場所不定で開く古書店。本棚を背負子で担いで山に登り、山頂で本を販売するという特異な営業形態。しかも当日まではどこに開店するかの告知もなし。山での偶然の出会いを楽しみたい。
住所:不定
営業時間:不定期
Instagram:@somabooks
店主細井さんが焚き火の前で読みたい本は?
ひどい民話を語る会
著者:京極夏彦、多田克己、村上健司、黒 史郎
出版社:KADOKAWA
SAKANA BOOKS
多様な角度から魚の魅力を伝える専門書店
東京都新宿区
釣りの楽しさを発信する『週刊つりニュース』の本社ビル1階、伝統的な釣具を展示する釣り文化資料館に併設された新刊書店。取り扱うのは水生生物や自然環境に関する本で、図鑑から魚が登場する絵本、文芸、ZINEまでジャンルも幅広い。
住所:東京都新宿区愛住町18-7
営業時間:12:00〜17:30
定休日:木・金曜
HP:https://sakanabooks.jp/
草舟あんとす号
植物に対する好奇心を、たくさんの本が満たす
東京都小平市
グリーンで埋め尽くされた可愛らしい前庭を持つ小さな新刊書店。店内に並んだ本と雑貨はすべて植物にまつわるモノで、ガーデニングや畑の本から、料理、薬草、植物療法の本、絵本、雑誌、リトルプレスなど店主が一冊ずつ選書して販売している。
住所:東京都小平市小川町2-2051
電話:080-1330-5452
営業時間:月・火・土・日曜12:00〜18:00
定休日:水・木・金曜
※構成/鈴木純平 撮影/羽田貴之(もくめ書店)
(BE-PAL 2024年12月号より)