参加者が薪を拾ったりしている合間に、まずナチョスを出す。その後、火をおこして料理開始!
「ツアーで目的地に着いたら、まずは薪拾い。“みんな、薪拾ってきて~”って、参加者総出で」
小雀さんは不定期で仲間と共にシーカヤックツアーを開催しているが、主催者であり、料理番でもある。離島や伊勢志摩などに行くことが多いので、燃料となる薪は現地調達が鉄則だ。
「みんな腹減ってるから、薪拾ったり、テント立ててる合間にまずナチョスを出す。早い人はビールをあけてるからね」
そうしてはらぺこ軍団の気を紛らわせている間に、火をおこして料理を作る。愛用の焚き火台は、ファイヤーサイドアウトドアのポップアップピット。
「直火のような焚き火が可能で、大きくて同時調理ができる」
今回も前菜からメイン、デザートまで、全5品の焚き火料理フルコースを振る舞ってくれた。食事が終われば、ホッとひと息。やっと自分の時間が訪れる。
「以前はアラスカのツアーも開催してたんだけど、そのときに欠かせなかったのが星野道夫さんの『旅をする木』」
アラスカの暮らしを描いたエッセイ集だが、彼が見た景色の中に実際に足を踏み入れたことで、よりこの本が好きになった。
「自然の中にいるときに読み返すことで、アラスカでの日々を思い出せるんです」
小雀陣二さんが焚き火の前で読みたい本は?
旅をする木
著者:星野道夫
出版社:文藝春秋
小雀陣二さんの焚き火本はこちら
焚き火料理の本
出版社:山と溪谷社
焚き火料理フルコースのレシピを大公開!
01 塊肉はじっくりゆっくり火を通す「ローストラムラック&ポテト」
塊肉を遠火でじっくり焼き上げた、ジューシーな一品。サクサク食感が新鮮な、香り高いソースとともにいただきます!
材料
ラムラック…800g
ジャガイモ…小4個
ローズマリー…数本
ニンニク…1片
パン粉…1/2カップ
イタリアンパセリ…数本
オリーブオイル…適量
ブラックペッパー…適量
塩…適量
作り方
❶ラムラックは常温に戻し、塩を全体にふる。ジャガイモは4等分に切り、5分茹でる。
❷おき火でじっくりラムラック(数回ひっくり返しながら)とジャガイモを焼く。このとき、ローズマリーをのせ、香りを移しながら焼く。
❸小さめのフライパンを中火で熱し、オリーブオイル、刻んだニンニク、パン粉を入れ、少し焦げ目が付くくらい炒めてソースを作り、刻んだイタリアンパセリを加える。
❹肉を切り分けて③を上に盛り、ブラックペッパーをふってジャガイモとローズマリーを添える。
02 焦げ目が香り高いスパイスになる「ローストトマト&オニオンスープ」
香ばしさをプラスするために材料を一度グリルした、焚き火料理ならではのスープ。塩だけのアッサリとやさしい味が、香りをより引き立てる。
材料
トマト…大2個
タマネギ…中2個
厚切りベーコン…1枚
ローリエ…2枚
イタリアンパセリ…数本
ブラックペッパー…適量
塩…適量
作り方
❶8インチのダッチオーブンに6分目まで水を入れ、強火にかけておく。トマトを縦半分に切ってヘタを切り落とし、タマネギの皮を剥き、縦4等分に切る。
❷トマトとタマネギをベーコンと共におき火でじっくり焼く。ベーコンを食べやすい大きさに切ったら①に加え、焼けたトマトとタマネギ、ローリエを入れ、じっくり煮込む。
❸塩で味を調えたら、刻んだイタリアンパセリを加えてブラックペッパーをふりかける。
先におき火で焼き、少々焦げ目をつけることで、違った味わいを広げる。
03 火加減が美味しく炊き上げるコツ!「クラブサフランライス」
お米を炊くときは火加減に要注意。最初は強火で一気に沸騰させ、あとは弱火で。焚き火炊飯なのでお焦げもご愛嬌!
材料
お米…2カップ
カニ缶…1缶
赤タマネギ…1/2個
アスパラガス…5本
サフラン…小さじ1
イタリアンパセリ…数本
バター…30g
オリーブオイル…適量
ブラックペッパー…適量
塩…適量
作り方
❶10インチのスキレットを中火で熱し、バター、水1カップ(分量外)、カニ缶の汁を入れ、沸騰したらサフランを加え香りと色を出し、スライスした赤タマネギを加え透き通るまで煮込む。
❷お米を加えてかき混ぜ、水2カップ(分量外)を加えさらに混ぜ、蓋をして強火で熱する。
❸沸騰したら薪を減らして弱火で7分炊き、火から離して5分ほど蒸らしかき混ぜて、塩で調味する。
❹アスパラガスにオリーブオイルをかけて塩をふり、おき火で程よく焦がし焼きにし、3㎝ほどに切り分けてサフランライスに散らす。上にカニ缶のカニを盛り、刻んだイタリアンパセリを散らし、ブラックペッパーをふる。
カニ缶は汁ごと加えると出汁代わりになり、カニの風味がUPする。
04 火照った体にサッパリ爽やか「シュリンプ&オリーブサラダ」
フレッシュサラダにグリルしたエビを加えるだけで、いつものサラダが香ばしくスパイシーな焚き火サラダに変身!!
材料
エビ(皮を剥き背腸を取る)…大4尾
ブラックオリーブ…1袋
赤タマネギ…中1/2個
ミニトマト…6個
キュウリ…1本
ライム…1個
刺身醤油…小さじ1
タコスシーズニング…小さじ1/2
オリーブオイル…大さじ3
ブラックペッパー…適量
塩…適量
作り方
❶キッチンペーパーでエビの汚れと水分を拭う。赤タマネギを粗みじん切りにし、ボウルに入れ水にさらしておく。
❷エビに塩をふっておき火でじっくり焼き、小さく刻んでボウルに入れる。ミニトマトは4等分に、キュウリは小さめの乱切りにし、ブラックオリーブと共にボウルに入れ、タコスシーズニングをふり入れかき混ぜる。
❸ライムを半分に切り、半分は搾り入れ、半分はくし切りにしそのまま加える。刺身醤油、オリーブオイルを加えてかき混ぜ、塩で調味し、仕上げにブラックペッパーをふる。
具材は大きさをそろえると食べたときバランスがいい。ライムがポイント。
05 上火を使って効率よく作る「パンケーキブラウニー」
鋳物鍋と上火を使ってオーブン料理ができるのも焚き火ならでは! ケーキはもちろん、ピザを焼いたり、ダッチオーブンでパンを焼くのも楽しい。
材料
ホットケーキミックス…200g
ココアパウダー…50g
卵…2個 砂糖…50g
生クリーム…200ml
チョコチップ…ひとつまみ
くるみ…ひとつまみ
バター…30g
マスカルポーネチーズ…100g
メイプルシロップ…大さじ1
粉砂糖…少々
ミント…数枚
作り方
❶ボウルに卵を入れよく溶き、ホットケーキミックス、ココアパウダーを加えて混ぜる。生クリームを加えてさらに混ぜ、水(分量外)を加えトロリと流れるくらいのかたさに調整し、チョコチップとくるみを加えてかき混ぜる。
❷8インチのスキレットにバターを塗り中火で熱し、①の生地を流し入れて蓋をし、上に燃えた薪を乗せて15分ほどオーブン焼きする。途中、金串などで刺し、焼き具合を確認。
❸焼けたら好みの大きさにカットし、粉砂糖をふるってかけ、メープルシロップを混ぜておいたマスカルポーネを添え、ミントを飾れば完成。
おき火を蓋の上に置いて上下から火を入れる。上火を強めにするのがコツ。
焚き火料理の火の扱い方も教えてもらった!
火床に薪を敷き、両端に太めの薪を置く。その上に焚きつけ用の細い枝を置く。
↓
着火したら細めの薪から加えていく。樹皮側を下にすると火が移りやすい。
↓
おき火ができたら、火床に広げる。火を強めたいときは隙間を広げるといい。
※協力/sotosotodays CAMPGROUNDS 山中湖みさき https://camp.sotosotodays.com/yamanakako-misaki/
※構成/大石裕美 撮影/三浦孝明
(BE-PAL 2024年12月号より)