キャンプに18種類ほどのスパイスを持参する伊藤さん。お酒に合うスパイスおつまみを披露
20代後半、3年半かけて世界48か国を旅した伊藤一城さん。
「最初の1年半ワーキングホリデーでニュージーランドに滞在したときは、車にテントを積んで寝泊まりしてた。そのあとは車を売って、中国から東南アジア、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカと、パッカー宿に泊まりながら転々としていました」
その旅心の根底にあったのが、野田知佑さんの『日本の川を旅する カヌー単独行』。
「人生のベースともいえます。本って夢を与えるでしょ、これはもう4冊目。野田さんの影響でリバーカヤックをはじめて、本のとおりに旅したくてカヌー行くたびに持っていくから、ボロボロになっちゃうんです。で、ボロボロになったのを1ページずつ燃やしながらカップラーメンを作る。20代のころはそういうのを真似して旅してました」
そんな伊藤さんが、スパイス専門の料理店「SPICE CAFE」をオープンしたのは2003年。
「最初は世界各国の料理を紹介しようと思ったんだけど、もっと深く狭いほうがいいと思って、世界共通で使われていたスパイスを選択。それからいろいろな店で修業し、オープンしました」
今回は、お酒に合うスパイスおつまみを披露してもらった。
「キャンプで非日常を味わうように、スパイスを加えることでいつもの料理が非日常の料理に変わるのを楽しんでください」
SPICE CAFE・HOPPERS オーナーシェフの伊藤一城さん。 3年半の旅から帰国後、インド料理店、イタリア料理店、スリランカ料理店で経験を積み、「SPICE CAFE」を、’21年にはスリランカ料理店「HOPPERS」を開店。趣味はリバーカヤックとキャンプと旅。年20回ほどキャンプに行く。「ゼロに戻れる感じがいい」。
キャンプでも18種類ほどのスパイス(店では50種類ほど)を持参。小さな密閉容器に小分けすると使い勝手がいい。
今日のつまみは「SPICE CAFE」のオリジナルスパイスフライドポテト。イモは常温から入れると、中まで火が通りやすい。
焚き火の相棒はマックスブーストの火吹き棒。火力調整の必需品だ。
揚げている途中にスパイスを加えると香りが纏わりつく。最初はひとつの食材に1種類のスパイスを使い、香りを覚えるといい。
黄金色のフライドポテトが完成。
苦みの効いたビールに!スパイスフライドポテト
カリッと揚がったポテトとスパイスを、その香りごといただく。苦み走ったビールと合わせて、後味サッパリ!
材料
ジャガイモ…2個
赤唐辛子…1本
A
ニンニク(皮付き)…1片
ローズマリー、タイム、セージ…各1本
コリアンダーシード…小さじ1
クミンシード…小さじ1
揚げ油…適量
強力粉…適量
塩…適量
作り方
❶ジャガイモを拍子木切りし、強力粉をまぶす。
❷常温の油に赤唐辛子とジャガイモを入れる。
❸ジャガイモが色づいたらAを加える。
❹ジャガイモに火が通ったら、ザルにあげて塩をまぶし、スパイスごといただく。
旅とキャンプに本は欠かせない。
「家で読むのと、森のなかで読むのとじゃ、感受性が違う。妄想の旅へと誘われます」
スッキリしたハイボールと! シイタケとシシトウのマリネ
コリアンダーの柑橘系の香りが、爽やかなハイボールと相性抜群! 粒感とスモーキーさで、大人の味わいに。
材料
シイタケ…10枚
シシトウ…20本
コリアンダーホール…山盛り小さじ2
A
サラダ油…100㎖
オリーブオイル…100㎖
水…大さじ2
ニンニク(潰す)…2片
塩…小さじ1
黒コショウ…適量
作り方
❶コリアンダーホールを薄く色づくぐらいに乾煎りし、ビンの底などで叩き潰す。黒コショウも同様に。
❷軸を取ったシイタケとシシトウを遠火の強火で焼いて軽く塩(分量外)をふり、それぞれ2等分に切る。
❸マリネ液を作る。フライパンにAと①を入れて強火で沸騰させ、パチパチ爆ぜる音がしなくなったら(30秒ほど)、火を止めて②を入れ、絡める。
スパイスは炒って潰すと香りが立つ。
焚き火の焦げがそのままスパイスになる。
水を加えることで、ニンニクの香りが抑えられコリアンダーが引き立つ。
薄旨のナチュラル赤ワインとパンコントマテ
スペインの家庭料理。カリッと揚げ焼きしたパンにトマト汁を染み込ませいただく。薄く淡いやさしい赤ワインと。
材料
トマトペースト
サラダ油…大さじ1
トマト…200g
塩…少々
クミンシード…小さじ1/2
マスタードシード…小さじ1/2
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オリーブオイル…適量
バゲットやカンパーニュ…適量
塩…少々
コショウ…少々
ニンニク…1片
生ハム…適量
作り方
❶トマトペーストを作る。サラダ油を火にかけ、クミンシードとマスタードシードをテンパリングする。ザク切りにしたトマトを加え潰しながら軽く煮たら、塩をふる。
❷別の鍋でオリーブオイル、塩、コショウ、ニンニクを温め、スライスしたパンを揚げ焼きする。
❸②に①のトマトペーストを塗り、生ハムをのせたら完成。
テンパリングは、スパイスを油で炒めて香りを溶かし出し、香味油を作ること。アウトドアならスパイスが弾けても気にせず調理可能。
バーボンロックを相棒に齧り付くチキンカバブ
オリーブの枝に挽き肉を纏わせた、豪快な串料理! ランダムに焼き目がつき、焚き火ならではの味に仕上がる。
材料
とり挽き肉…400g
長ネギ(みじん切り)…12g
ショウガ(みじん切り)…10g
塩…2つまみ強
片栗粉…2g
水…適量
青唐辛子(みじん切り)…1本
ガラムマサラ…小さじ1
カイエンペッパー…小さじ1/2
作り方
❶水以外の材料をすべて混ぜ合わせる。
❷水を加えてポタッとするくらいに練る。
❸②を水で湿らせながら、枝に巻きつける。
❹遠火の強火でクルクル返しながら焼く。
材料を混ぜるときは、ビニール袋を使うと余計な洗い物が出ず、手も汚れない。
串は生木にすると水分で燃えにくい。
スリル満点な遊べる料理
伊藤一城さんが焚き火の前で読みたい本とは?
日本の川を旅する
カヌー単独行
作者:野田知佑
出版社:新潮社
※版元品切れ中
伊藤一城さんの焚き火本はこちら。
スパイスキャンプ
薫る至福のスパイス料理
出版社:文化出版局
※協力/ist-Aokinodaira Field インスタグラム : @ist_aokinodaira
※構成/大石裕美 撮影/花岡 凌
(BE-PAL 2024年12月号より)