ボルネオ島北部にある小さな国、ブルネイ。首都を流れるブルネイ川に浮かぶカンポン・アイールは陸上の動物から身を守るために水の上に作られた600年以上の歴史を持つ水上集落で、今でも多くの人がここで暮らしている。
水上集落には警察から学校、モスク、診療所まで何でも揃っていて、住宅の間を走る水上タクシーが人々の生活の足になっている。集落の中にある一軒のお宅にお邪魔すると、ブルネイの伝統的なおやつをいただいた。ブルネイのドーナッツ「アルダン」や、ういろうのようなお菓子「セルル」は甘さも控えめでとても美味しい。
家の内装はとてもゴージャス。陸の生活よりも涼しいので今でもこうやって水の上で暮らしているのだという。
水上集落からボートに乗ってそのまま川を上って行くと、ヒルギ、ニッパヤシ、マヤプシキといった木々が両脇に生い茂ったマングローブ林になっていて、そこには絶滅危惧種のテングザルや、イリエワニ、野生のイノシシなどが生息している。そんなマングローブが生い茂るジャングルをボートで進みながら街の方を見ると、時折、大きなモスクが突如と姿を見せる。
街中でひときわ大きな存在感を持つモスクが、現国王の在位25周年を記念して1993年に建てられたジャミ・アスル・ハサナル・ボルキアモスク(通称ニューモスク)と、1958年に建てられた前国王の名を冠したオマール・アリ・サイフディンモスク(通称オールドモスク)で、イスラム教国家ブルネイを象徴する2つのモスクだ。
ブルネイでは、一ケ月間のラマダンが終わると、人々は親戚や友人を招いてごちそうを振る舞うオープンハウスを行なうが、国王もこのオープンハウスをラマダン明けの翌日から3日間行なうという。しかも、国籍、宗教を問わずに誰でも参加出来るので、この日程に合わせて海外からやってくる旅行者も多い。男性と女性に分かれ、それぞれの皇族たちと「スラマハリラヤ」(マレー語でおめでとう)と挨拶をしながら握手をした後はビュッフェコーナーへと向かって食事をするのだが、国王の写真付きリーフレットとケーキのおみやげもあるらしい。きっとブルネイの豊かさと人々の優しさに触れられる一日に違いない。
ロイヤルブルネイ航空で行くブルネイの旅
日本からの直行便はありませんが、ブルネイ国際空港をハブに、マレーシア地域に加えて、オーストラリア、中国、インドネシア、シンガポール、香港、タイ、フィリピン、ベトナム、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、英国、韓国へと数多くの国際都市へ運航しています。
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文・写真 / 東海林美紀