ホワイトアウトとはどんな現象?
冬のアウトドアを楽しむ際、ホワイトアウトに遭遇する可能性があります。まずは、どのような現象なのか見ていきましょう。
視界全体が真っ白になること
吹雪や巻き上げられた雪で、視界が極端に悪くなる状態を『ホワイトアウト』といいます。雪道での視界不良の際などに、よく使われる用語です。
ホワイトアウトが発生すると、目の前が真っ白になり、すぐ近くにあるはずのものがまともに見えない状態になります。
吹雪が強いほどホワイトアウトになりやすい傾向がありますが、どれくらい見えにくくなるかは、周囲の状況によってさまざまです。近くに建物や樹木、車などがある場合は識別できることもあります。
晴れていても油断できない
ホワイトアウトは、雪さえ降っていなければ大丈夫と思われがちですが、晴れていてもホワイトアウトが起こる場合があります。
積もった雪が強風で舞い上がると、地吹雪が起こります。地吹雪が発生すると、雪が降っていなくてもホワイトアウトが起こる可能性があるのです。雪が積もる地域へ行く際は、常にホワイトアウトに注意しましょう。
ホワイトアウトが起きやすいのは、周囲が開けた平らな場所や峠道などです。路肩に雪が積もった道を運転するときも、ホワイトアウトが発生することがあり、冷静な対処が求められます。
ホワイトアウトの危険性
屋外での活動中にホワイトアウトに見舞われると、さまざまな危険があります。自然の中では、すぐに避難できない状況に陥ることもあり、思わぬ被害を受ける可能性があるのです。どのような危険があるのか、具体的に見ていきましょう。
遭難や事故のリスクが高まる
ホワイトアウトによって視界が悪くなると、方向感覚を失い、障害物に衝突したり道を外れたりすることがあります。
地吹雪が原因のホワイトアウトでは、舞い上がった雪による光の屈折と、積もった雪による光の反射が起き、前後左右の距離感だけでなく上下の平衡感覚も失われるでしょう。
運転中にホワイトアウトに遭うと交通事故、キャンプ・登山などでは遭難の恐れがあります。崖などの危険な地形がある場所でホワイトアウトに見舞われれば、滑落の危険もあるでしょう。
また、運転中の雪道は滑りやすく、制動距離が長くなりがちです。前を走っている車と衝突しやすくなり、玉突き事故を招くこともあります。
気温低下による危険も
気温が-2℃未満になると、雪粒が結合しにくくなり、雪が舞いやすい状態になります。そのため、ホワイトアウトは-2℃未満のときに生じやすいとされています。
ホワイトアウトが起きている場所は、人間にとって過酷な環境です。気温が低く強風が吹いている状況下では、体温を奪われやすくなります。
ホワイトアウトによって身動きが取れない状態では、寒さから十分に身を守れない恐れがあり、凍傷や低体温症を引き起こす可能性が高くなります。寒冷な環境下に長時間さらされれば、最悪の場合凍死してしまう危険もあるでしょう。
ホワイトアウトの対処法
雪が積もっている場所に行く際は、ホワイトアウトに注意しましょう。寒冷地でのキャンプやウインタースポーツを楽しむ予定があるなら、万が一の際の対処法を知っておくと安心です。
ホワイトアウトが発生した際に慌てないように、事前に押さえておきたい対処法を紹介します。
焦らずに立ち止まる
視界不良の中で、方角も分からずに動くのは危険です。平衡感覚や方向感覚を失っている状態では、まっすぐに進んでいるつもりでも、同一の場所から抜け出せず元の場所に帰ってきてしまうことがあります。
特に、雪原のような開けた場所にいる際は、同じ場所をぐるぐると回り続ける現象『リングワンダリング』が起こりやすくなります。視界を奪われると「早く何とかしなければ」と焦りがちですが、無駄に体力を消耗しないように、いったん立ち止まって冷静に行動することが大切です。
運転中はハザードランプで存在を知らせる
運転中にホワイトアウトに遭遇した際は、車の存在を知らせるため、ハザードランプやヘッドライトを灯しましょう。ライトを灯すことで視認性が上がり、多重事故を防ぎやすくなります。
近くにあるはずのものが全く見えずに危険を感じた場合は、歩行者や障害物に注意しながら、ゆっくりと減速して道の脇で停車しましょう。近くにコンビニや道の駅などの避難できる場所があれば移動するのが理想ですが、避難先の有無を確認できない状況では、むやみに動かない方が賢明です。
事故が発生したときや身動きが取れない状態が続いたときは、道路緊急ダイヤル『#9910』に連絡しましょう。
登山中はGPSで自分の位置を把握する
登山やキャンプなど屋外での活動中は、GPSを携帯していると自分の位置が分かって便利です。自分の位置を把握することで、適切な方向へ移動しやすくなります。正しい位置が分かっていれば、無理に移動せず視界が回復するまで待つかどうかの判断もしやすくなるでしょう。
避難できる場所が近い場合は、GPSで方向を見定めて移動し、身の安全を確保しながらホワイトアウトをやり過ごします。その場でホワイトアウトが落ち着くのを待つときは、雪洞を掘ったりツェルトを設営したりして、風や雪から身を守りましょう。
万が一遭難してしまったとしても、自分のいる位置が分かっていれば、スムーズな救助に役立ちます。
まとめ
ホワイトアウトは、吹雪や積雪、強風など特定の条件下で発生します。特に、周囲が開けた場所や路肩に雪が積もった道などで、ホワイトアウトに遭う可能性があります。
ホワイトアウトで視界を閉ざされたときは、遭難や事故などに遭わないように慎重に行動しましょう。安全を確保するには、焦らずに対処することが大切です。
積雪がある場所でアウトドアをする際は、ホワイトアウトの可能性を考えて、万が一の際はどのように行動するかを決めておくとよいでしょう。