中山道を歩く上で絶対にはずせない3つの宿とは?和田宿ほか、あの名旅館も
  • OUTDOOR
  • NEWS
  • SUSTAINABLE
  • CAR
  • CAMP
  • GEAR
  • COOKING
  • OUTDOOR
  • NEWS
  • SUSTAINABLE
  • CAR
  • CAMP
  • GEAR
  • COOKING
  • 日本の旅

    2024.12.05

    中山道を歩く上で絶対にはずせない3つの宿とは?和田宿ほか、あの名旅館も

    中山道を歩く上で絶対にはずせない3つの宿とは?和田宿ほか、あの名旅館も
    ビーパルOB・宮川 勉が、年を重ねてこそしみじみと味わい深い「歩く旅」の楽しみを案内。今回のテーマは「旧街道歩きの宿」。中山道を歩いた実体験をもとに、旅宿ならではの味わいや、おすすめの宿をご紹介します。    

    旧街道はのんびり歩くのが楽しいわけで

    下諏訪宿の夕暮れ

    下諏訪宿 師走の残照。水彩 F4。

     中山道というロング・トレイルを歩き通すには、当然ながら一気に歩くわけではありません。

     同じ中山道歩きの人のなかには、猿(ましら)の如く跳んで走る人もいますが、私とは話が合わないと思います。
     なんのために歩くかという根本の思想が違うのですから。

     私はちんたら歩いて、5年もかけてしまいました。
     牛のようにノロい。

    旅宿の楽しみ

      出だしは日本橋から日帰りで、埼玉県の蕨(わらび)宿まで。
     次は半年後に、前回の到着点まで電車で行って、そこから歩き始め、桶川(おげがわ)宿まで。
     こんな具合に日帰りで進みました。

     しかし都心から進むにつれて(私は東京在住)、電車に乗っている時間が長くなり、当然、交通費もかさむようになりました。
     そこでやむを得ず、宿泊するようになるのです。

     私の場合、最初の宿泊は安中宿でした。

     雨に煙る宿で、はじめて疲れを家まで持ち帰ることなく、温泉に沈める快感を味わいました。

     旅の味わいは宿の人とのふれあいであり、夜中のミシミシいう音であったり、土地のものをつまんで地酒をひとりで飲むことであったりするのです。
     まあ、この味わいを知らない人は、猿の如く走っている人と同じで、話は合わないですね。

     そして一泊二日が、やむを得ず二泊三日になります。信州(長野県)も深く入ると、交通が不便になります。

    中山道の3つの区間

     中山道は大まかに言うと、三つに分かれます。

    • ① ひとつ目は首都圏。ジーパンで歩ける市街地。
    • ② 碓氷峠から、岐阜県の細久手(ほそくて)宿にある「牛の鼻欠け坂」まで続く山の中の集落を歩く区間。ちなみに「牛の鼻欠け坂」とは、荷を負う牛の鼻先が地面にこするくらい急な坂ということでつけられたようです。
    • ③ そしてそこから京都三条大橋までずっと続く平坦な市街地。

     この構造を知ると、中山道歩きの計画は立てやすいですから覚えておいてください。
     
     で、宿泊探しに難渋するのは、②の区間です。交通の便が悪いということは、人の往来が少ないということ、したがって宿は極端に少ないです。

     私の場合、コロナ期と重なっていて、何度電話しても出ない宿もありました。廃業したのかと思いました。しかたなく町の観光課に電話をして、情報を収集しました。
    「いやあ、やめたという話は聞いていませんが……」
     そして最後の1回と思って電話したら、つながって、無事泊まれたということもありました。

    中山道完歩にマストな3つの宿

     さて、中山道を完歩するのに、どうしても欠かせない宿が3つあります。3つとも②の区間です。
     この宿を押さえないと、中山道完歩では苦労します。遠くの町まで路線バスで行く羽目になって、歩き旅の味わいが削がれます。

     そのひとつは和田峠の手前にある「民宿みや」。

    民宿みや

    気さくな夫婦が気持ちよく旅人を迎えてくれる「民宿みや」。和田宿から少し外れるが、車で迎えに来てくれる。和田峠越えを控え、江戸時代には多くの宿屋があったようだが、いまは一軒もない。

     次は「木曽十一宿」のひとつ須原(すはら)宿にある「民宿すはら」。

    民宿すはら

    須原宿「民宿すはら」。外国人に人気の宿で、一日ひと組しか宿泊できない一棟貸しの民宿。江戸時代には旅籠だったそうだ。

     もうひとつが細久手宿の「大黒屋」。

    大黒屋

    超有名な宿。一日二組しか客を取らない。泊まれてラッキー。尾州家定本陣だったというだけあり、凛とした格式がある。

     今回は名前だけあげておきますが、実際、この3つの宿があるおかげで、私たちは中山道を完歩できるのです。まさにパズルの最後を埋める3つのピースのような宿です。

    映画「犬神家の一族」に出てくる名旅館

    井出野屋旅館

    「井出野屋旅館」。白モルタルに赤い木材が美しい大正モダン風の外観。「犬神家の一族」では「那須ホテル」という名前だった。

     これも今回は書きませんが、趣深い宿に泊まりました。
     長野の望月(もちづき)宿にある「井出野屋(いでのや)旅館」です。

     映画「犬神家の一族」で「那須ホテル」という名前で出てくる旅館です。
    「ホテルといっても、旅館だけどね」
     モンペを履いた坂口良子が、石坂浩二演じる金田一耕助に言っていました。

    井出野屋旅館

    井出野屋旅館の玄関を入ったところ。映画では、宿の主人役で原作者の横溝正史が、右手の障子から現れた。

     いやいや、いいところに泊まりました。このときの様子はまた別の回で。
     
     しかし残念なことに、私が泊まった直後に井出野屋旅館は廃業になりました。それにまつわる心に残る話もあります。

    宮川 勉

    水彩画家・文筆家

    元BE-PAL編集部員。ライターときどき画伯(笑)。なんちゃって虫屋。中山道を歩いた記録として『中山道のリアル〜エッセイのある水彩画集〜』(私家本)がある。アマゾンの電子書籍で販売しています!

    宮川 勉
    中山道のリアル: エッセイのある水彩画集

     5年かけてちんたらと中山道を歩き通しました。中山道というのは、東京の日本橋から京都の三条大橋までをつなぐ旧街道です。東海道は有名ですが、中山道はその山道版とでもいうロングトレイルで、信州や美濃といった山がちな場所を歩きます。そのときに心に残った風景を水彩画として描き、まとめたものが本書です。


    あわせて読みたい

    なぜ定年を控えたおじさんは歩き出すのか?

    なぜ定年を控えたおじさんは歩き出すのか?

    シェルパ斉藤、1日1ℓの燃料でスーパーカブと中山道を旅する

    シェルパ斉藤、1日1ℓの燃料でスーパーカブと中山道を旅する

    中山道サイクリング[読者投稿記事]

    中山道サイクリング[読者投稿記事]

    「チョウを追いかけると天国にいける!」40すぎて昆虫採集にどハマりした元ビーパル編集者の激白

    「チョウを追いかけると天国にいける!」40すぎて昆虫採集にどハマりした元ビーパル編集者の激白

    オオイチモンジを見るなら7月の北海道がおすすめ!

    オオイチモンジを見るなら7月の北海道がおすすめ!

    虫屋が狙うチョウ「オオイチモンジ」とは? 本州では採集禁止だが…

    虫屋が狙うチョウ「オオイチモンジ」とは? 本州では採集禁止だが…

    中山道歩きは「火の見櫓」ウォッチングが楽しいぞ! 長野には多く、群馬にはない?

    中山道歩きは「火の見櫓」ウォッチングが楽しいぞ! 長野には多く、群馬にはない?

    昆虫スケッチの楽しみ。なぜ私はチョウやハンミョウの絵を描くようになったのか?

    昆虫スケッチの楽しみ。なぜ私はチョウやハンミョウの絵を描くようになったのか?

    虫屋は夜、宿で何をやっているのか?

    虫屋は夜、宿で何をやっているのか?

    旧街道歩き旅は手ぶらで始められるのが魅力!服装と靴には注意点も

    旧街道歩き旅は手ぶらで始められるのが魅力!服装と靴には注意点も

    NEW ARTICLES

    『 日本の旅 』新着編集部記事

    宇都宮の名物を紹介!餃子以外にもたくさんある!

    2025.03.28

    中山道で「犬神家」の宿、井出野屋旅館に泊まる

    2025.03.27

    静岡に行くならご当地グルメ!定番とマニアックなグルメを紹介

    2025.03.24

    琵琶湖の固有種ホンモロコは、世界一おいしいコイ科の魚だ!

    2025.03.22

    中山道で最もつらい碓氷峠。昔道は急坂なので心してハイキングすべし!

    2025.03.16

    琵琶湖の固有種・イワトコナマズの料理を食べた!蒲焼きも旨いが最高なのは…

    2025.03.15

    清涼な水で育ったナマズはうまいぞ!琵琶湖の固有種イワトコナマズを食すのは夢か?

    2025.03.10

    旅エッセイスト・国井律子のひとり旅をご紹介。レンタサイクルで佐賀県唐津をぐるりと散策

    2025.02.15