柚子と冬至の深い結び付き
冬至は、1年で最も昼が短い日として知られ、その特別な日に柚子が重要な役割を果たしてきました。日本で、冬至の日に柚子湯に入る習慣が生まれた由来を見ていきましょう。
冬至に柚子湯に入る意味
冬至は、1年のうちで最も日照時間が短い日です。この日を境に太陽の力が強まっていく、陰から陽への転換点だと考えられています。
日本では、この1年の節目に柚子湯に入ることで、不運を洗い流すことができると信じられてきました。柚子湯には、心身を清め、新しい年を健康に迎えようという願いが込められています。また、『柚子』は『融通』と音が似ているため、『融通が利いてうまくいく』という意味もあります。
冬至やその前後の時期には、銭湯などの施設でも柚子湯が提供されているようです。冬至の前後はぐっと寒さが強まることが多いので、家庭で柚子湯をつくってしっかり温まるのがおすすめです。また、冬にかぎらず夜に冷え込む時期のキャンプなら、ドラム缶風呂などで、柚子湯を楽しむのもよいかもしれません。
柚子湯から得られる効果
柚子湯は、実際に多くの効果が期待できます。
- 血行促進効果
- 美肌効果
- リラックス効果
柚子の皮に含まれる『リモネン』という成分には、血行を促進する働きがあるとされており、体をしっかりと温めてくれます。
皮に含まれるビタミンCや油分は、肌の保湿や美肌作りに役立ち、乾燥が気になる冬でも健康的な肌を維持する助けになるでしょう。また、柚子の爽やかな香りはリラックス効果をもたらすため、心地よいバスタイムを過ごせるでしょう。
柚子湯の作り方は3パターン
柚子湯の楽しみ方は、シンプルなものからひと手間掛けたものまで、さまざまな方法があります。ここでは、簡単な柚子湯の作り方を紹介します。
柚子を丸ごと浮かべる
手軽に楽しみたいという場合は、柚子をお風呂にそのまま丸ごと浮かべる方法がおすすめです。お湯に溶け出す成分が抑えられるため、子どもと一緒でも安心して入れます。
お湯に対して柚子が少なすぎると効果を感じられないので、3個以上の柚子を使うとよいでしょう。たくさん浮かべると見栄えもよく、目でも季節感を楽しめます。
柚子の皮に切り込みや穴を開けることで、成分の溶け出し具合を調整することも可能です。
カットした柚子を入れる
よりしっかりと柚子の成分を堪能したい場合は、柚子をカットしてお湯に入れる方法がおすすめです。この方法なら、柚子の香りと成分がお湯に濃く溶け出します。
丸ごと使用したときよりも、柚子の爽やかな香りを感じやすくなるでしょう。お好みで半分にカットしても、何枚かにスライスしても構いません。
ただし、種や果肉がお湯の中に散らばりやすくなるため、洗濯ネットやガーゼ袋に入れておくと後片付けが楽になります。
柚子の皮だけを使う
果肉も皮も余すことなく活用したい場合は、柚子の皮だけを柚子湯に使う方法が適しています。果肉は取り除き、皮だけをお湯に浮かべましょう。
リモネン・ビタミンC・油脂などの成分は、実は果汁よりも皮に多く含まれているとされています。皮だけを浮かべた柚子湯でも、血行促進効果や美肌効果は十分です。
柚子の皮には『クエン酸』が含まれているので、お風呂掃除にも使い回せます。取り除いた果肉や皮の一部は、ゼリーやジャムにすれば冬の味覚を味わえます。
柚子湯を楽しむ前に!3つの注意点
柚子湯には、事前に押さえておくべき注意点がいくつかあります。柚子湯を楽しむための注意点を紹介します。
肌がヒリヒリしないかチェック
柚子の皮に含まれるリモネンには、血行促進や免疫力アップなどのうれしい効果がある一方で、体質によってはまれに肌がヒリヒリしだすこともあります。
これは、リモネンに強い洗浄力があるためです。リモネンによって、肌に必要な油分まで洗い流されてしまうと、肌のバリア機能が低下して刺激を感じることもあるようです。
柚子湯に入ってヒリヒリした場合は、すぐにお湯から上がってシャワーでよく洗い流しましょう。柚子は、香りだけでも効果があるので、肌が弱い人は洗面器に柚子を浮かべる方法もおすすめです。
入浴は夜になってから
柚子に含まれるリモネンは、紫外線に反応しやすいといわれており、シミの原因になりかねません。日中の入浴は避けて、日が落ちてから柚子湯に入りましょう。
柚子の香りはリラックス効果が高く、不安・緊張をほぐしてくれるそうです。また、自律神経を整える効果もあるといわれています。
そのため、1日の仕事を全て終わらせた、夜のリラックスタイムに最適です。就寝時間の少し前に入浴することで、ぐっすり眠って気持ちのよい朝を迎えられるでしょう。
追いだきはしない
柚子湯をする日は、追いだきの使用を避けましょう。追いだきすることで、お風呂の配管に柚子の一部が詰まる可能性があります。
また、柚子のような食品はカビ・雑菌のエサになるため、お風呂を放置すると繁殖の原因になってしまいます。洗濯ネットを使用していても、細かい種や果肉がお湯に混ざっているかもしれません。
追いだき機能を使用していなくても、配管内に柚子が入りこむこともあります。念のため、柚子湯の翌日はバスタブや配管を、すみずみまで掃除しておくことが大切です。
まとめ
柚子湯は、日本の伝統的な冬至の習慣として知られ、心身を温めるだけでなくリラクゼーション効果も期待できます。
柚子を丸ごとお風呂に浮かべるほかにも、カットしたり皮だけ使ったりする方法もあります。柚子湯をする際は、肌への刺激を感じたらすぐに上がる、追いだきをしないなどの対策も必要です。
柚子には、冬の寒さを乗り越える昔からの知恵が詰まっています。冬至や冬至前後の時期には柚子湯に漬かって、病気知らずの冬を過ごしましょう。