三国国境とは?
「三国国境」は、3か国の国境が1か所に集まる地点のこと。英語では、「The Three Country Point(ザ・スリーカントリーポイント)」といいます。その多くは、山頂や河川など険しい場所にあるため、簡単には行けません。しかし、オランダ、ドイツ、ベルギーの三国国境なら、車で簡単にアクセスできます。そこは緑豊かな小高い丘で、周辺にはいくつかのハイキングコースがあります。
入国審査なしで気軽に国境を越えられる
「シェンゲン協定」の加盟国であれば、パスポートの提示や出入国審査もなく、ヨーロッパ各国の国境を自由に行き来できます。国境にはゲートや境界線などもなく、看板がある程度。いつの間にか隣国に入っていることがよくあります。
国境を次々に越えられる約4㎞のハイキングコース
今回は、オランダ側から、ドイツ、ベルギーの順に歩きました。スタートは、Vaals(ファールス)という街から車で5分ほどの場所にある、WilhelminaToren(ウィルヘルミーナ塔)の駐車場から。この塔の高さは35mで観光スポットとしても人気です。
最上階には、ガラス張りのスカイウォークがあり、1人4ユーロ(約650円)で上れます。360度を見渡せる展望台からは、3か国を同時に眺められます。広い駐車場はもちろん、レストラン、トイレなど施設が充実しているので、ここをスタート地点に選びました。
歩いて3カ国を巡ろう
オランダから歩き始めてわずか5分で、最初の国境を越えました。とはいえ、周囲に看板や標識など国境を示すものは見あたりません。そこで、Googleマップで位置を確認すると、あっさりドイツへ入国していました。
ドイツに入ると、周囲は高い木々に覆われた樹林地帯に変わります。ハイキングコースはよく整備されているので、森の空気を感じながら安心してハイキングを楽しめます。この日は、観光客に加えて、地元住民が犬の散歩やジョギングを楽しむ姿もみられました。気楽に歩けるいい散歩道です。
ドイツへ入り40分ほど歩くと、次に現われたのはベルギーとの国境です。国境の先には、Boudewijntoren(ブーデウィン塔)があり、展望台には1人5ユーロ(約820円)で上れます。この塔の高さは50mとウィルヘルミーナ塔より高いですが、景色が似ているため、どちらかひとつに上れば良いでしょう。
ベルギーに入ると、わずか数歩で三国国境地点へ到着しました。国境を記す円の中心地点には石柱があり、そこにはドイツ、ベルギー、オランダと記されています。ヨーロッパの人々にとって国境越えは日常的なことですが、ここは特別な場所。国境線をまたいだり、寝転んでポーズを取って写真撮影をする観光客で賑わっていました。
この国境周辺は、ちょっとした観光スポットになっていて、レストランやお土産を売るショップなどがあります。さらに、子どもたちが思いっきり遊べるアスレチック公園や「不思議の国のアリス」に登場するような巨大迷路もあるので、ファミリーにもおすすめです。
国境をまたいで再びオランダへ。ついでに最高峰に登頂してみた
実はこの場所にオランダの最高峰の山(?)、Vaalserberg(ファールゼルベルク)があります。標高は約322mで、山というよりは、小高い丘のような印象でした。オランダは、国土の約4分の1が海抜0m以下にあり、山はほとんど存在しません。気軽に登頂できるオランダの最高峰。ぜひ山頂に立ってみてください。
このエリアの通貨は、すべてユーロが使用されていました。言語は、主に各国語が使われていましたが、英語も広く通じるため、気軽に散策を楽しめます。3か国の国境をヒョイっと歩いて越えられる不思議な体験を楽しみに出かけてください。