直火可能なテーブルウエア「HEGE」とは
「HEGE(ヘゲ)」は、金属部品にサビない表面処理をするメーカーとして、1959年設立の「日東電化工業」が、その安全なものづくりと技術から生み出した直火可能なテーブルウエアブランドです。
60年以上培ってきた技術のひとつ、アルミの腐食を防ぐアルマイト加工という表面処理技術を採用しています。これは、古くからお弁当箱やお鍋など、調理器具にも活用されている技術。以前から食器に注目していたこともあり、その技術を使った「HEGE」を2023年に立ち上げました。
「忙しくて自炊をついあきらめてしまう人、子育て中など、時間的な制約がある中でも、料理をすぐにおいしく温かく食べられ、『食』を通じて豊かな時間を過ごすことができればいいなと思ったことがきっかけでスタートしました。」(HEGEブランドディレクター 茂田正和さん)
毎日の料理の手助けをしたいという思いから誕生したブランドなのですね。お弁当箱やお鍋も手がけていたとはいえ、それらを合体させたような機能を持ち、シンプルでスタイリッシュ。煮る、炊く、蒸すなどの調理をし、別の器に移すことなく食事ができるため、片付けも簡単。アウトドアにもぴったりですね。
「HEGE」の美しいフォルムを生み出しているのが、日本の職人技です。再生可能資源であるアルミを手仕事に近い技術を要する「へら絞り」という手法で1枚ずつ丁寧に成型しています。
「へら絞りとは、旋盤にとりつけた円形の金属板を回転させながら『へら』と呼ばれる金属棒を押し当て、少しずつ変形させて型と同じ形状の回転体に仕上げるという職人の熟練度が必要となる加工技術です。産業用途の製品以外にも、家庭用金物ではやかんやボウル、照明器具のシェードなど、多種多様なものがあります。ロケットや飛行機、新幹線の部品など意外なところでも活用されています。」(茂田さん)
同じ圧力をかけなければ、このように滑らかな円形にはならないだろうと容易に想像できますね。ほぼ、手作業といえる技術で、このフォルムが生み出されています。成型後、ブラスト加工を行ない、光沢を抑えたマットな質感を施しています。
その次に行なうのが、アルマイト加工です。これは、アルミ表面にナノレベルの酸化被膜作り、保護する加工です。この被膜の微細孔に染料を吸着させ、着色することもできるそうです。
この加工も、器具を使って1枚ずつ手作業で行なっています。すべての行程が、熟練の職人さんの手によるものだと感じました。軽くてリサイクルがしやすいアルミですが、表面加工を施すことで、見た目の重厚感が出るのですね。
初めて持ち上げたときは、もっと重いものだと感じて触ったこともあり、軽さに驚き、感動しました。
ひき算の美学から生み出されたシンプルなデザイン
職人さんの技術もさることながら、この潔いシンプルさも魅力です。これは、「Less is more」の考え方から生まれたデザインだといいます。
「少ない方が豊かであるというひき算の美学のもと、器としても鍋としても成立しつつ、できるだけ無駄のないデザインを追求するのに苦労しました。あまりにもシンプルがゆえに、一見、繊細にも見えますが、非常にタフで、使い込むほどに風合いが出てくるのがHEGEの特徴とこだわりです。」(茂田さん)
アルマイト加工は、アルミを電解液中で通電することにより酸化被膜を生成する表面処理で、使い込んでも機能自体が失われることはなく、コーティングがはがれて食材がくっついてしまうというテフロン加工のフライパンのようなことにはならないのだとか。風合いは、少しずつ変化するそうなので、その変化もデニムのように楽しみたくなります。
直火鍋といっしょに使えるオリジナルさわら木蓋もあります。直径:26cm 価格:3,740円(税込)※直火鍋とのセット販売もあり。
現在、「HEGE」では、加工性、耐食性、熱、電気伝導性などに優れた非熱処理型の純アルミを採用しています。そのため、直火可能で熱しやすく、冷めやすいとのこと。
アルミは、リサイクルしやすく、口に入っても、ほぼそのまま排出されるといわれているため、環境にも人にもやさしい素材です。
「圧倒的に軽く、持ち運びもしやすく、アルミは割れないため、タフに使えるのがアウトドアにぴったりですよ。持ち運ぶ道具が少なくなるのが一番大きいメリットだと思います。」(茂田さん)
荷物を減らしながら、キャンプメニューをワンランクアップしてくれそうで、料理の幅も広く、キャンパーにもすでに愛用されているそうですよ。
寒くなるこれからの時期におすすめのメニュー
寒くなる時期は辛いものが食べたくなることから、手軽で簡単調理の2つのおすすめを教えていただきました。今回の調理には、どちらも直径250ミリの直火鍋を使用しています。
◆麻婆豆腐
【材料】(2人前)
牛ひき肉 100g
絹ごし豆腐 1丁
長ネギ 2分の1本
生姜 小指1本分
ニンニク 1片
牛乳 50mL
水 300mL
すり胡麻 大さじ1
花椒(ホールタイプ) 大さじ1
豆板醤 大さじ1
甜麺醤 大さじ1
オイスターソース 大さじ1
塩 適量
片栗粉 小さじ2
太白胡麻油 大さじ1
ラー油 大さじ1
【作り方】
1.中火でHEGEをよく暖めたら、太白胡麻油を入れ、牛ひき肉を炒める。
2.みじん切りにした長ネギ、生姜、ニンニク、花椒、すり胡麻を加えて炒める。
3.豆板醤と甜麺醤を合わせたら、牛乳と水を加える。
4.ひと煮立ちしたら、オイスターソースとひと口大に切った豆腐を加え、水で溶いた片栗粉をまわし入れる。
5.仕上げにラー油を加え、味見をして薄ければ塩で味を調える。
ピリ辛で、あったまりそうですね。調味料は、常備していないものがあれば、多少アレンジしてもよさそうですよ。
◆シーフード・スープカレー
【材料】(2人前)
有頭えび 2尾
はまぐり 2個
いか 1杯
すずき 200g
玉ねぎ 2分の1個
赤パプリカ 2分の1個
ニンニク 1片
水 700mL
オリーブオイル 大さじ2
カレー粉 大さじ2
みりん 50mL
塩 小さじ1
醤油 50mL
鷹の爪 2本
【作り方】
1.オリーブオイルを鍋に引き、みじん切りした玉ねぎとパプリカ、すりおろしたニンニクを中火で炒める。
2.ある程度炒めたら、鷹の爪2本を手でちぎりながら追加する。(辛いのが好きな人は種ごと、苦手な人は種を抜く)
3.飴色になったら、カレー粉を加え、香りが出てきたら水を入れる。
4.みりん、醤油、塩を入れ、沸騰したら弱火にしてさらに10分煮る。
5.えび、はまぐり、いか、すずきの順序でHEGEに入れる。
調味料を足したり、スープが少なくなったらご飯とチーズを加えてリゾット風にしたり、アレンジしながら食べ進めるのもおすすめだそうです。
キャンプなどのアウトドアシーンの醍醐味は食事だと思っているという茂田さん。
「『煮る・焼く・蒸す』の調理から片付けまでを『HEGE』ひとつで完結でき、持ち運びも便利です。ぜひ、自然の中で『HEGE』を囲みながら、楽しいおいしい食事をぜひ楽しんでください。」と話します。
もちろん、外に持ち出さないときは、自宅のダイニングテーブルで、調理しながら食事を楽しむことができます。
今回は、筆者が最初に手に取って、軽さに驚いた直火鍋を中心にご紹介しましたが、プレートやボウルなど直火可能なアイテムが揃っているので、好みに合わせて選ぶことができます。
「使い込まれていく風合いの中に、人とモノの歴史が刻まれていきます。そこが、この製品の完成だと思っています。」という、茂田さんの言葉がとても印象的でした。
HEGE
https://www.hege.jp/