夏は暑くて当たり前、とわかってはいても、さすがにこの猛暑は体にこたえる。最近は、もっぱらクーラーの効いた屋内で過ごしているが、外に目を向ければ、ものすごい勢いで伸びる雑草と生命力にあふれる木々が、夏の日差しを受けて輝いている。せっかくの夏なのに、家にこもっているなんてもったいない!
そんなことをぼんやりと考えていたら、長野の蓼科に、新たな宿泊施設がオープンするという話をキャッチした。
「HYTTER LODGE&CABINS(ヒュッター・ロッジ&キャビンズ)」が提案するのは、テントの設営に時間を割くことなく、アウトドアでの遊びを満喫する、という過ごし方だ。
HYTTERがあるのは、蓼科湖の目の前。かつて温泉旅館だった建物をリノベーションしたそうだ。さっそく中に入る。
コンクリート打ちっぱなしの床と、シックな色合いの壁、そして天井には立派な梁。和の雰囲気はほぼ感じられず、山小屋のような広々とした空間が広がっていた。
「実は、床は旅館時代のピンク色のカーペットを剥がしただけなんですよ」
そう教えてくれたのは、HYTTERを運営する株式会社キャンプサイトの代表取締役、内田勝久さん。聞けば、家具も近所で不要になったからと譲り受けたものや、もとからあったものを中心に利用しているのだとか。
HYTTERには2種類の宿泊棟がある。
ひとつは、旅館だった建物の客室に泊まる「LODGE」。もうひとつは、建物裏手にある芝生のキャンプサイトに並ぶ小さな小屋「CABIN」だ。今回、私たちはキャンプ気分を味わいたいからとCABINを選んだが、特別にLODGEも見学させてもらった。
和室は畳の上に布団を敷いて寝る、純和風スタイル。旅館ならではの窓際スペース、広縁からは蓼科湖が一望できる。
洋室は海外のB&B(ベッド&ブレックファスト)を彷彿とさせるインテリアだ。窓辺に立つと、八ヶ岳の山並みが見える。
そして、LODGEには源泉かけ流しの温泉が完備。露天風呂を見た瞬間、大人より8歳の息子が興奮していた。彼はさっそく手を入れて温度をチェックする。「ちょうどいい!」
LODGEの快適さに魅せられ、こちらに泊まりたい気分が高まりつつあったが、そろそろ今夜お世話になるCABINへ。LODGEから歩いて2~3分で、白樺の木に囲まれた芝生が見えてきた。周りにはずらりと白い小屋が並ぶ。高原の隠れ家という雰囲気で、とてもフォトジェニックな場所だ。やっぱり、私たちはこっちだ!
さっそく「木のろうか」の上を走って追いかけっこをしたり、シーソーで遊んだり。
木の香りが漂う室内は、3人で過ごすには充分な広さ。マットとコットが2セット用意されているのがありがたい(今回は特別に、マットをひとつ追加でお借りした)。寝袋は持ち込んでもいいし、レンタルすることもできる。
トイレやシャワーは屋外の共同設備を利用するのだが、室内に洗面スペースがあるのはありがたい。コンセントもついているので、スマホの充電はどうしよう?という心配は無用。
CABINエリア内には炊事スペースも。調理器具と食材を持参すれば、自炊もご自由に、とのこと。
でも、HYTTERを訪れたなら、夕食はぜひアウトドアグリルを申し込むのがオススメ。ということで、後編では、食事とアウトドアアクティビティについて紹介していきたい。
HYTTER LODGE&CABINS
長野県茅野市北山8606-7
https://hytter.jp/
◎文=旅音(たびおと)
カメラマン(林澄里)、ライター(林加奈子)のふたりによる、旅にまつわるさまざまな仕事を手がける夫婦ユニット。単行本や雑誌の撮影・執筆、トークイベント出演など、活動は多岐にわたる。近年は息子といっしょに海外へ出かけるのが恒例行事に。著書に『インドホリック』(SPACE SHOWER BOOKS)、『中南米スイッチ』(新紀元社)。
http://tabioto.com