今回は、ヨーロッパで700日以上もキャンピングカー旅をしている筆者が実施している寒さ対策を紹介。雪に覆われたヨーロッパアルプスなどの極寒の地での体験をもとに、車中泊でもあたたかく過ごすための防寒術やおすすめアイテム、注意点をお伝えします。冬の車中泊旅を安全に、快適に楽しむための参考にしていただければ幸いです。
冬の対策その1・車内をとにかくあたたかく保つのが大切
①外からの冷気を遮断!サンシェードや厚手カーテンを活用
窓からは冷気が入り込みやすく、特にフロントガラス付近は外気温に近い気温になる場合もあるため、しっかりと対策を講じる必要があります。
そこで、おすすめなのがサンシェードや断熱効果のあるアルミシートです。窓に取り付けることで外からの目隠しになるのはもちろん、冷気の侵入も防いで車内の温度を保ってくれます。その上、冬場だけでなく夏の日差しを遮り車内の温度上昇も防いでくれるので、年中使える車中泊には必須のアイテムです。
さらに車内の温度を保つために、車内窓のサンシェードに加え、厚手のカーテンと車外取り付けタイプの断熱カバーの3層で対策しています。
フロントガラス以外の窓には断熱性能のあるコンビロールが取り付けられており、これを閉じて保温効果を高めています。
②セラミックファンヒーターで車内を温める
車のエアコンは長時間エンジンをつけたままにすると、一酸化炭素中毒の危険性が出てくるので絶対にNGです。そこでおすすめなのが、一酸化炭素が発生しない電気式のセラミックファンヒーターです。
筆者が実際に使用しているのがデロンギのカプスーラで、ハンドルが付いているため持ち運びやすく、コンパクトなので車中泊にもピッタリ!小型なのにパワフルな温風ですぐに車内全体を温めてくれます。
消費電力は弱(750W)、強(1150W)の2段階あり、RVパークやオートキャンプ場の外部AC電源、もしくはポータブル電源で使用できます。転倒時自動電源遮断装置もあり、セラミックなので安心して夜もポカポカで眠ることができ、冬場は毎日重宝しているアイテムです。
③ガスヒーター・ボイラー
電力のない場所で活躍するのが、燃料式の暖房設備です。私たちのキャンピングカーにはTruma(トルマ)のガス式ヒーター・ボイラーが設置してあり、ヨーロッパで広く使われている暖房設備になります。
ヒーターと温水ボイラーが一体化しており、ガスを燃焼させてその熱でシャワーや食器洗いに使用できる温水を温めると同時に、車内全体を暖める温風を作り出す仕組みになっています。
燃料はLPGガスを使用しており、ガソリンスタンドで比較的簡単に補給できるため、寒冷地でも燃料不足に悩まされることなく長期滞在が可能です。ただし、ガスヒーターを使用する際は、換気やガス漏れの確認、適切な設置とメンテナンスを怠らないようにするのがとても重要になります。
冬の対策その2・“体を温め続ける”こと!
①ダウン、フリース素材の適切な衣服選びが重要
ダウンジャケットは軽量で高い保温性があり、コンパクトに収納できるので、限られたスペースの車内には最適です。そして、フリースは暖かく、通気性と速乾性に優れているので、この2つを組み合わせれば、寒さに強く、車内でも快適に過ごせます。
さらに、狭い車内でも動きやすいように、少し余裕を持ったサイズを選びましょう。レイヤリング(重ね着)を活用することで温度調整ができ、自分の体温を逃さず保温することができます。
②省エネで手軽に温められる湯たんぽは侮れない!
昔ながらの温かさを提供してくれる湯たんぽは安価で省エネのため、車中泊にぴったりのアイテムです。電力不要で、お湯を注ぐだけで簡単に温まり、保温力も高いので、寝る前に布団の中に入れておけば心地よい温もりで快適な睡眠が得られます。
③温かい飲み物や食事、軽い運動で体の芯からポカポカに
一番効率的なのが体の内側から温める方法です。一つは食事からで、人参、かぼちゃ、大根、ニンニクなどの体を温める効果のある食材をいっぱい取り入れた、お鍋やスープ系を頻繁に作るようにし、寒い夜には温かい一杯で心も体もホッと温まります。
そして適度に体を動かして、血行を良くするのもおすすめです。日中は、散歩したりして歩く習慣をつけて、夜寝る前にストレッチをすることで体温も上がり、睡眠の質を高めるのに有効です。
④ふわふわもこもこ素材の小物
もこもこ素材の靴下やスリッポンは足元をしっかり温められ、全身の冷えを予防することにもつながります。
その他、ブランケットは様々なシーンで使えるので、少し大きめのブランケットが数枚あると助かります。素材はウールやフリースなどの保温性が高いものがおすすめで、膝掛けや羽織りに使ったり、布団や寝袋にプラスしてさらに温まることも可能です。特に冷え込む夜は、窓のシェードと一緒にプランケットもかけて二重構造にすることで、冷気の遮断効果を高めています。
冬の対策その3・車の冬の準備、凍結対策も重要!
①雪用タイヤで安全に走行
雪道や凍結路面を安全に走行するためには、スタッドレスタイヤを装着するのが重要です。雪が降らない地域でも、気温が低くなると夏用タイヤの性能が低下し、道路の凍結でスリップ事故を引き起こす可能性があります。そのため、雪や氷に対するグリップ力が強いスタッドレスタイヤへ交換することが推奨されています。
積雪地帯や雪山のスキー場へ行かれる場合は、チェーンの装着が義務付けられる「チェーン規制」が行われる区間を走行する可能性もあるので、タイヤチェーンを携行するようにしましょう。
②水道管、ウォータータンク、排水タンクの凍結に要注意!
氷点下の気温になると、車内の水道設備が凍結するリスクが高まります。ウォーターポンプや水道管が凍結すると管の破裂や故障につながってしまうので、断熱材を水道管に巻いて温度低下を防いだり、ウォーターポンプを車内の温かい場所に配置して、氷点下にならないように温度管理するのが有効です。
排水タンクは車外に設置されているため、特に凍結しやすいです。専用の凍結防止剤をタンク内に使用したり、寒冷地で夜間の冷え込みが厳しいときには、凍る前に事前に水を抜いてしまうのも一つの方法です。
③結露をほっておくとカビが発生することも
車内と外気温の温度差と睡眠中に体温や呼吸から湿気が発生し、その湿気が車内にこもることで、窓や壁に結露が生じます。車内に除湿剤を置いて結露の発生を抑えていますが、冬の寒い時期はどうしても発生してしまい、悩みの種です。結露をそのままにしているとカビが発生したり、電化製品が壊れることもあるので、こまめに雑巾などで拭きとるようにしましょう。
寒さ対策をしっかり行なって冬の車中泊を楽しみましょう
キラキラした雪の中での車中泊は憧れますが、最大の敵はやはり寒さです。寒さは私たちの体だけでなく、車両にも凍結や故障といったトラブルを引き起こす可能性があるため、十分な注意が必要です。万全の寒さ対策を整え、冬の車中泊を存分に楽しんでください。