…その勢いで海外移住までしてしまうのは余計かもしれませんが。笑
どうも。オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
「文化体験」。それも一つのアドベンチャーなんです!【フィジー旅5】
今、世界の旅行業界では「アドベンチャーツーリズム」という言葉がキーワードの一つになっています。直訳してしまうと「冒険旅行」。そう聞くと山岳地帯とかジャングルとか砂漠とかの「人里離れた大自然の中を分け入っていくこと」と思われるかもしれません。または「大自然の中で思わず絶叫したり、足がすくんだりするような体験をすること」(バンジージャンプとか)と感じられるかもしれません。
で~も。じつはそれだけが「アドベンチャーツーリズム」ではないのです。
事実、世界から10名のアドベンチャーツーリズムを得意分野とするジャーナリストなどを集めて今回のツアーを主催してくれた「ATTA(Adventure Travel Trade Association)」という団体も次のように定義しています。
〈アドベンチャーツーリズムとは【アクティビティー体験】【自然体験】【文化体験】のうち2つ以上がそろったもの〉
つまり体をものすごく動かしたり移動したりする「アクティビティー」がなくとも、たとえば「自然の中で、その地の文化に触れる体験」であれば、それも立派な「アドベンチャーツーリズム」なのです。カラダを動かすだけがアドベンチャーじゃない。心を動かすのも冒険なのです!
…なんかうまいこと言った気がしますが、たぶん過去に同じことを語った人はたくさんいると思います。笑
そんなわけで今回の旅では「大自然の中の人里を訪れて、現地の文化に触れる」という「アドベンチャー」を2回経験してきました。
ただし人々が静かに暮らす村に勝手にズカズカと入っていくのは、法律違反ではないのかもしれませんが「マナー違反」であるとされています。みなさんも自分が住む地域に外国人観光客が大挙して訪れて、公道からとはいえ庭や家の中を覗き込まれては気持ちよくはないでしょう。
というわけできちんと村の許可を取った現地のガイドとともに訪れるのが「ルール」です。
それと村人の写真を勝手に撮るのも失礼にあたります。
冒頭の写真も含めて、もちろん記事に載せることも許可を得ています。
また「タブー(禁忌)」にも気をつけなければいけませんよね。イスラム教徒の多い国ではタンクトップや短パンなど肌の露出が多い服は避けるというのは有名ですが、フィジーにもあります。
市街地では短パンなどでも全然問題ないのですが、村を訪れるときにはロングパンツか「スル」と呼ばれるサロン風の布を腰に巻く必要があります。
その理由は「膝を出すのが無礼にあたるから」だそうです。
他にもタブーはあります。女性は肩を出すのは無礼。よってタンクトップはNG。またどれだけ陽ざしが強くても帽子を取らなければいけません。
それから「サングラスを額の上に引っ掛けるのもダメ」だそうです。
いよいよ、村訪問へ!
さて前置きが長くなりました。フィジーの本島である「ビティレブ(Viti Levu)島」から連絡船で1時間45分の「クアタ島(Kuata Island)」が最初の「村訪問」のスタート地点。
10分強で着く隣の「ワヤセワ島(Wayasewa)」です。とはいえ実際に到着したのは隣の「ワヤ島」との間にあり、干潮なったら砂の上を渡れる場所。「サンドブリッジ(砂の橋)」というそうです。
潮流で砂が運ばれて砂州や砂嘴が成長して沖合の島との陸続きになる「陸繋砂州(トンボロ)」と同じ現状だと思いますが、どちらの島も東西・南北とも2キロ以上と大きめなのはちょっと珍しいかもしれません。通常こういう「干潮時には歩いて渡れる島」というのは、小島のイメージです。
この時点ではまだ集落に入っていないので、膝を隠す「スル」は着けていません。
この日は土曜日だったので授業の様子は見られませんでしたが、「何十年か前の分校」という雰囲気でした。
この島には3つの村があって総人口は約400人、最大の村でも200人いないそうです。小学生は島全体で約70人、幼稚園児は15人ぐらいとのこと。
ただ小学校と幼稚園は島の中でここしかありません。そして他の村との間には「スクールバス」みたいなものはありません。ではどうやって通うのか?
答えはあとでお伝えしましょう。
そしてこの島もそうですが、幼稚園と小学校はあっても中学校はありません。だから本島の中学校に入学しなければいけないそう。本島に住む親戚の家でお世話になるか、寄宿舎に入るのだとか。
タヒチの島々もそうだったのですが、中学生から親元を離れることを強いられる子どもたちも大変ですね。
衝撃の光景の数々!
さて村に入っていき目にしたのがこの光景。
こんな離島の村でも商売っ気がすごいなあ~と一瞬げんなりしたのですが、それにしては置き方が乱雑すぎます。
「あれは…なんですか?」
ガイドさんに聞いたところ。
「ああ、洗濯物を干しているんですよ」
…なんともワイルドです。
ただ物干し紐(オーストラリアでも「さお竹」ではなく「紐」です)にきちんとかけている家も見られたので、必ずしもこの「露天干し」とでも言いたくなるスタイルが一般的ではない模様。
だけど「しわになる」とか「紫外線で色落ちする」とか細かいことを気にしなければ、これが効率的なのかもしれないと思わないでもありません。
次にある家の軒下で見つけたのがこの物体。
「ええっと、これはお墓ですよね?」とガイドさんに確認したところ「そのとおり」とのこと。
タヒチで出会った「タマ先生」。「タヒチは世界で唯一自宅の敷地に墓所を作る」とか言ってなかったか?
さて今度は細長い葉っぱが散らばっている広場。一瞬、突風でも吹いたのかと思ったら。
このマットとかうちわとかかごがきれいなので、これらをつくる「文化体験教室」をしてくれたらいいのになと思いました。
そういえば気になるのは産業です。これもガイド氏に訊いてみたところ、かつては魚を売って生計を立てたりしていたそうですが、今は私たちが泊まっているリゾートで働いてお金を稼いでいる人がほとんどだそうです。
そんなこんなで離島の村訪問はあっという間に終わりの時間に。ところが船着き場に戻る直前に、この日一番の衝撃の光景を目にすることにっ!
私は「エックスキューズミー」と大声で二人を呼び止め、みんなの注目を集めてから、「フィジーでは人さらいは犯罪なんですよ」と親切に教えてあげました。はい、目論見通り、あたり一帯は爆笑に包まれました。
…もちろん実際は子どもが懐いて離れないだけです。島の子どもたちは逆に心配になるくらい本当に人懐っこかったです。
衝撃的な「タムタム」の使い方。笑
さて旅の間にもう一度フィジー本島「ビティレブ(Viti Levu)島」の「コロイアカ(Koroiaca)村を訪れました。
今では人々は西洋風の家に住んでいますが、村の長(おさ)の家は残しているそう。
この茅葺き、年2回変えるのだとか。「日本でも茅葺きの家を残している地域はあるんですが、確か10年やそこらは変えないはずです」と伝えてみたところ、「ここで雨が多くて傷むから頻繁に変えなきゃダメ」なのだそうです。
村の一角に小さな茅葺きの東屋(あずまや)的なものがあり、そこには木をくりぬいてつくった「タムタム」(木鼓。モッコ)が置かれていました。棒でたたくとブオ~~ンとなかなかいい音を出します。
「昔はリズムや回数を変えることで交易相手が来たぞとか、戦いが始まるぞなど様々なことを、少し離れて住む村人たちにも教えるために使っていました」。なるほどこの音ならかなり響きそうです。
「でも今はこれで知らせるのは一つのことだけです」「それはなんですか?」「観光客が来たぞ~です」
ふと思い出したのはタヒチヌイ島で「ほら貝を3回吹くと…」という大ぼらを披露してくれたガイドのティーバ。
だけどこの手のギャグ、嫌いじゃないです。笑
今回はどちらも1時間未満の短い「村訪問」でした。でも以前も書いたように日本の四国の半分以上の広さがあるフィジー本島では数日間かけて踏破するトレッキングツアーもあり、中には「文化体験」も兼ねて人里離れた村の集会所的ところに雑魚寝で宿泊するものもあるといいます。
今度は時間をかけて文化に触れたいと思いました。
あっ、先ほど書いた「スクールバス」がない村の子たちはどうやって小学校に通うのか。なんと「モーターボート」だそうです。
学校に行くの、むっちゃ楽しくなりそう。…でも毎日だと「日常」になってしまうのかな?
【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら!
フィジー政府観光局
https://visitfiji.jp/
Adventure Travel Trade Association
https://www.adventuretravel.biz/
South Sea Cruises
ヤサワ諸島へのクルーズ船を運航
https://southseacruisesfiji.com/
Barefoot Kuata Island Resort
「離島の村」ツアーの出発地点
https://www.barefootkuatafiji.com/
Rosie Holidays Fiji
「本島の村」にも訪れるサファリツアーを主催
https://rosiefiji.com/