今回は、大切に使い続けるための日々のメンテナンス方法を、ウェアとギアに分けてご紹介します。
道具のメンテナンスとは
フィールドで安心安全に活動するために
アウトドアにかかわるウェアや道具は、活動を豊かに楽しくする魅力的なアイテムであるとともに、ユーザーの安心安全を保証するためのものでもあります。
レインウェアが破損すれば悪天候時に低体温症に見舞われるリスクが高まりますし、ヘッドライトが点かなければ日の入り後に遭難する可能性も高まります。
道具をメンテナンスすることで活動中の故障を減らし、本来の性能を維持できるため、フィールドでの安心安全を得ることができるのです。
道具に愛着が持てる
筆者は登山やキャンプをはじめて十数年になりますが、はじめた当初に入手したクッカーやランタンを現在も現役で使っています。
不具合があれば部品交換をしたり、経年劣化でハードな環境では難しくなれば、使える範囲内で持ち出したりするなど、長年連れ添っています。
手を施しても使用できなくなれば処分することもありますが、最後の最後までこの道具で、と思う気持ちはアウトドアで使う道具ならではの感情です。
道具をメンテナンスするということは、新たな価値を付与してくれる大切な儀式でもあります。
道具のメンテナンス方法
ウェア:素材や機能で洗い方を変えよう
はじめにご紹介するのは、道具の中でもユーザー自身のコンディションを保つのに欠かせないウェアのメンテナンス方法です。
ウェアには求められる機能性に合わせて、ポリエステルやナイロン、ダウンなど様々な素材が使われています。
使用後は洗濯機でそのまま洗えるものもあれば、他の衣類と同様に洗ってしまうと性能を著しく落としてしまったり、防水素材なら洗濯機が故障してしまうこともあります。
洗剤も一般的な洗剤で洗ってしまうと、使えなくなるほどでなくてもウェアの劣化や性能低下を早める場合があります。
防水透湿素材やダウンは専用の洗剤があるので、そちらを使うと機能性を損ねることなく洗うことが可能で、洗う際は手洗いで丁寧に洗うと良いでしょう。
また、フィールドで活動していると、木の枝に引っ掛けたり岩場で擦れる、経年劣化で生地が弱くなるなどが原因で生地が破れることがあります。
数センチで小さな破れの場合は、リペアキットを使えば現地での応急処置もできますし、継続して使用することが可能です。
リペアキットはいくつか種類があります。例えばレインウェアの場合、防水透湿素材が販売されており、アイロンでの圧着タイプやフィールドでも使えるテープタイプがあります。
継続使用はあくまで軽度の損傷の場合のみで、経年劣化で生地が著しく弱っている場合は、寿命と判断して交換を推奨します。
ギア:使用後は放置せずお手入れ。汚れや損傷を確認
登山やキャンプをはじめた頃、帰宅した時の疲労感もあり、数日間バックパックを開けずに放置していたことがよくありました。
今にして思えばギアの寿命を縮める良くない行為だったと猛省しています。水分が付着して錆びてしまったり、土が付いたままで劣化を早めたりと、悪影響しかありませんでした。
また、トレッキングポールやガスバーナーなどの損傷に気づかず、次の登山当日に発覚して焦るなんてこともありました。
洗浄して道具の汚れを取る必要があるのはウェアと同様ですが、複数の部品で構成されるギアは、ひとつでも不具合を起こすと使えなくなることもあります。
汚れを取った際に通常通り動かせるか、部品が摩耗・損傷したり欠損していないかを確認しておきましょう。
ギアの中には、交換部品をメーカーのショップで入手できたり、DIYで自作できるものがあります。
たとえばクッカーの取っ手に付いているシリコンゴムはホームセンターで入手できますし、ハーネスのバックルも交換部品がアウトドアショップで入手できます。
破損しやすい部分やユーザー自身でメンテナンスできる範囲の部品は入手し直すことができますが、そうでないものもあります。
バーナーヘッドは破損や劣化が進行するとガス漏れなどの重大な事故に繋がる恐れがあり、靴のソールもDIYができないわけではありませんが技術を要するので、メーカー修理・交換に出しましょう。
また明確な破損がなくても使用限界を迎えることがあります。例えばゴムは紫外線による劣化が避けられないので、耐用年数を越えた際もメーカーに問い合わせ、必要に応じた交換がおすすめです。
道具をメンテナンスして安全なアウトドア活動を
道具のメンテナンスはフィールドでの活動を安全に行うために欠かせないことですが、時に自分の命を預ける道具との愛着を築く大切な儀式でもあります。
日頃の手入れから必要に応じた修理を行うことで寿命を延ばせるので、メンテナンスにデメリットはありません。
道具のメンテナンスを通して、安全なアウトドア活動を心がけましょう。