写真家・遠藤 励さんが「第7回 笹本恒子写真賞」を受賞!
日独伊三国同盟の婦人祝賀会から安保闘争まで、鮮鋭な眼差しで時代の現場を記録した日本の女性報道写真家のパイオニア笹本恒子(ささもとつねこ・1914-2022)を顕彰し、その精神を受け継ぐ写真家に授与される「笹本恒子写真賞」。
2024年、第7回の同賞受賞者が、スノーボード写真家としてアウトドア好きにもファンが多い写真家・遠藤 励さんに決まりました。おめでとうございます!
公益社団法人 日本写真家協会|第7回「笹本恒子写真賞」 受賞者 遠藤 励 氏に決定
この受賞を記念して、東京・新宿区のギャラリーで、写真展が開催されます。
遠藤 励「MIAGGOORTOQ(ミアゴート)」写真展概要
- 会期:2024年12月19日(木)より12月25日(水)
- 会場:アイデム・フォトギャラリーシリウス
- 入場料:無料
- 開館時間:月~土 10:00-18:00(日曜休館、最終日15:00まで)
- 住所:東京都新宿区新宿1-4-10 アイデム本社ビル2F(東京メトロ丸ノ内線・新宿御苑前駅から徒歩1分)
- 主催:公益社団法人日本写真家協会
先住民の言葉で犬の遠吠えを意味する「ミアゴート」。日本の草創期よりスノーボードカルチャーの前線で活躍する遠藤励は2017年より雪の民族をテーマに、北極に残存する原始的狩猟民を探し求めて旅を続けてきた。その作品群は、「命をいただく」という私的な体験から現代社会に問いかける。深化を続けるプロジェクトの現在地を過去最大規模で展示・開催。
2024年度、日本写真協会新人賞、GRAPHGATE優秀賞・受賞作品。
第7回 笹本恒子写真賞受賞記念展 遠藤 励 写真展「MIAGGOORTOQ(ミアゴート)」開催のお知らせ
以下、遠藤さんが北極の猟師生活を撮影するに至った経緯を、写真家本人の言葉でご紹介します。
スノーボード写真家だった私が北極の狩猟民を撮り始めた理由
スノーボードの世界に没頭してきた私は、身近な気候の変化から、雪が地球環境を反映していることに気がつき、この取り組みを始めました。
自己啓発の道具としてカメラを捉えることで、雪とともに生きる人々や自然と向き合い続けてきました。そこで得た学びが私の基盤であり、身につけた身体性と言語を超えたコミュニケーションこそが自分の特性だと知りました。
2017年以降は北極に焦点を当て、グリーンランドの奥地で狩猟民との交流を深めてきました。その経験からさらに活動のヒントを見つけ、現在は戦時中のロシアで、北極圏に暮らす遊牧民と交流を始めています。
「時代の目撃者」として、雪との関わりが深い北極の人々の伝統様式を追体験し、本質的な生活とその変化を探る。北極圏の狩猟民、遊牧民の生活に向き合うことで、我々の消費行動と、その需要から生じる「仕組み」が、環境や人に与える影響を考えています。
雪国に生まれ、自然の恩恵に授かりながら活動してきた私は、その生い立ちと経験の全てを繋げ、メッセンジャーとして地球への思いやりを還元していきたいのです。
作品ステートメント
地球の自然、そして天文学的な宇宙のサイクルと直結した「狩猟採集」による暮らし。それは人類誕生から我々が歩んできたルーツの姿。
極北先住民に導かれた現代の狩猟生活の体験を通じて、獲物から流れる生々しい血を、次第に美しいと感じ始めた。
それが本能的なものなのか、彼らの文化への理解からくるものなのかを自問し、私自身は血を見ない「仕組み」の中で生きていることに気がついた。
作品群は2017年より継続しているプロジェクトの現在地であり、MIAGGOORTOQ(ミアゴート)とは現地の言葉で犬のとおぼえを意味する。
遠藤 励(えんどう つとむ) プロフィール
1978年 長野県大町市に生まれる。
1997年 スノーボードの黎明期を目撃し、スノーボーダーを撮り始める。独学で写真を始める。
1998年 ボードカルチャーの専門誌を中心に写真表現を開始。以来スノーボード写真の作品化、文化・潮流の撮影を継続。
2017年 北極圏の民俗プロジェクトに着手。
2024年 日本写真協会新人賞受賞。
主な著作
『inner focus』2015年、小学館刊(現在品切れ)
『MIAGGOORTOQ』2023年、自主制作
会場:アイデム・フォトギャラリーシリウス
開館時間:月~土 10:00-18:00(日曜休館、最終日15:00まで)
入場料:無料
住所:東京都新宿区新宿1-4-10 アイデム本社ビル2F(東京メトロ丸ノ内線・新宿御苑前駅から徒歩2分)
主催:公益社団法人日本写真家協会