漕行時間4時間
川の流れにカヌーを乗せて早瀬の爽快感を味わう
博物館でカヌー文化にたっぷり触れた翌日は、ピーターボロの町を離れて一路マダワスカ・カヌー・センターへ。アルゴンキン州立公園に端を発するマダワスカ川でカヌーのホワイトウォータースキルを習得しようというわけだ。その名もゼロ・トゥ・ヒーローというプログラムで初心者が急流を下るまでの基礎技能をみっちり教えてくれる。
我々を迎えてくれたのは、インストラクターのジェロームさん。まずは静水でドローやプライ、パドルワークの基礎から。初心者のハラボーが“ヒーロー”になるべく舵取りを担う。
「あの白い木に向かって漕いでみようか」目標を決めて真っ直ぐ、進ん……うぅ、進まない。舳先が弧を描き始める。「う〜曲がるぅ〜」後方からはハラボーのうなり声が響く。すぐさまジェローム先生が寄ってきて「プライだよ! グ〜、トレビアン」と、英語とフランス語を交えてパドルをもっと立てるようにアドバイス。「あ、わかった、こうか!」閃いたようなひと声。フネは真っ直ぐ滑りだした。ヨシヨシ。ハラボーは湖でコツをつかんだ。さて本番、川へ!
シーズン終盤なのもあってか、川の水量は少なくグレード1といったところ。流れを越えて対岸へ移動(フェリーグライド)する手本を見せるジェローム先生。続く我々も、難なく渡れた。
次に本流と瀞場を行ったり来たり、ストリームイン&アウトを繰り返す。これもいい感じ。「あれ、いいじゃないの」と振り向くスドー、「いい感じですよね」と笑顔のハラボー。ハラボーの才能が開花したのだ。白波立つ瀬も無事にクリア。後半はのんびり漕ぎながら、喜びもひとしおで流れ下った。大きなアオサギも我らを先導してゆったりと滑空する。見事にミッションをコンプリートし“ヒーロー”になったのだった。
マダワスカ・カヌー・センターの暖炉にあたりながら日中の川話に花を咲かせていると、たまたま居合わせたパドラーも加わり「どこから来たの?」と話が始まる。パドリング談義が深まり、夜が更けていくのだった。
ジェローム・コート・ジャコブさん
ホワイトウォーターインストラクター。ザンビア、チリなど世界の激流を渡り漕ぐ実力者。教え方が丁寧で優しい。ケベック州出身で時々フランス語。
川のほとりのオアシス!泊まれる・漕げる遊び基地
開業50年の老舗ツアー会社。カヌー、カヤックのツアーやレッスン、レスキュー講習などを行なう。ロッジやキャンプ場などに宿泊でき、サウナも完備。食事(美味!)の提供もしている環境配慮型の施設で、居心地がいい。
MADAWASKA KANU CENTRE
営業:5月上旬〜9月上旬
料金:Zero to Hero 1人$290〜、装備一式レンタル$85〜など
住所:247 River Road Barry’s Bay, Ontario, CANADA
電話:(613)756-3620
HP:https://www.mkc.ca/
森に囲まれ、ひっそりと佇むカヌーセンター。周辺に商業施設はなく、とても静かなロケーションにある。
立地はリバーフロント! 歩いていける距離(目の前)にマダワスカ川がある。団体でのツアーもOKだ。
1日でヒーローになれるのか…カヌーの基本にレッツトライ!
STEP1
静水で基礎をたたき込む
ハラボーがスタン(舵取り)に座り、正真正銘のゼロから始めるレッスンがスタート。
固定ベルトが付いてる!
プライがうまくできないハラボー。「もっとパドルを立ててね〜」と、教えるジェローム先生。
約1時間の特訓で真っ直ぐ漕いだり、八の字を描いたり、思うようにフネが動かせるようになってきた。
基本のパドルワーク
カヌーの向きを自由自在に動かすために、ドロー&プライを覚えておくとワンランクアップ。
Start!
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ドロー
パドルを立てブレードの面を艇に向けて入水、水をキャッチする。鍬を振るようにザクッと。
↓
キャッチした水を一気に艇に引き寄せる。艇はパドルの方向へ動く。
↓
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プライ
艇に沿わせてパドルを垂直にしっかりと立てる。ブレード部分は、本来は水の中にある。
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艇のヘリの部分を使い、てこの原理でブレードを外へ押し返す。艇はパドルと逆方向へ動く。
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STEP2
川で漕ぐ鉄則をマスター
上陸し温かいお茶を飲み休憩。川の流れとフネの向きを復習する。流れを利用すべし!
沈(ひっくり返ること)したときの流され方。「足を上げて浮くんだよ」と、正しい流され方を習う。
流れの中を対岸へ横断するフェリーグライドの練習。バウ(舳先)を上流側に向けて流れを利用する。
STEP3
ダウンリバーで総仕上げ
徐々に水位が下がり岩も露出して難度が増す。それでもスタックせずに無事クリア!
※Zero to Heroコースは、週末2日間〜5日間まで複数のコースがあります。
"ファーストネイションズ"を知っていますか?
ファーストネイションズとはイヌイットやメティスとともにカナダで認められている先住民族のひとつで、630を超える先住民コミュニティーがある。クリスティン・ルッカサヴィッチさんはアルゴンキンの出身で、祖先はマダワスカ川周辺でカヌーと共に暮らした。先祖の物語や暮らしを伝えるツアーを主宰する。過去の先住民同化政策の残酷な歴史も忘れてはならない。
先祖代々の家宝。クォーツ(水晶)など。生活や狩猟採集の道具だった。
Waaseyaa Consulting
問い合わせ先:christine@waaseyaaconsulting.ca
電話:(613)334-1643
HP:https://waaseyaaconsulting.ca/
DAY3:森のインテリアへカヌーキャンプ体験@Land’escapes
漕行時間2時間