
今回はルアーフィッシングで人気のターゲット「スズキ」の3枚おろしを紹介します。
スズキってどんな魚?
生物の分類では似た者同士を属や目でまとめます。実はこの世に存在する大半の魚はスズキ属やスズキ目に属し、スズキ目に属する魚種だけで、他の目の魚種すべての数を上回るともいわれます。つまりスズキの似た者同士は非常に多く存在し、今回紹介するスズキはそのセンターともいえる魚です。スズキを捌くことができれば他のあらゆる魚に応用できるので、ぜひマスターしましょう!
スズキはトゲに注意

背びれ、腹びれ、尻びれ、えら蓋に鋭いトゲが。
スズキの体の各所には非常に鋭いトゲがあります。慣れない方はあらかじめハサミで切り落とすか、手袋を着用すると良いでしょう。ニトリルやゴムの手袋を着用すれば手荒れも同時に防ぐことができます。
3枚おろしにする

この個体はクーラーボックスで半分冷凍のようになって目が白濁してしまったが、その日釣った魚であれば生き生きとした目をしているはず。
今回用意したものは鱗落としと出刃包丁です。加えて、血合いを落とす作業ではブラシ(歯ブラシなど)もあるとよいでしょう。60㎝前後のスズキでしたら三徳包丁でも十分捌けます。
鱗を落とす

シンクに水を張ることができれば鱗の飛散を防げる。
はじめに体全体の鱗を落とします。
頭を切り落とし、内蔵も取り出す

魚体に対し斜めに包丁を入れ、胸びれと腹びれも同時に切り落とす。
鱗を落とし終えたら次に胸びれ~腹びれに沿って両側から包丁を入れます。

お尻から包丁を入れる。
今回は頭を落とすと同時に内蔵も取り出します。

トゲには細心の注意を払おう。
大きいサイズの魚の場合、背骨が太く三徳包丁では断つのが難しい場合があります。背骨の周りの肉を切ったのち、首をひねるようにすることで背骨を折って頭を落とすことができます。

卵を抱えたメスだった。
頭とエラと内蔵は繋がっています。同時に内蔵も上手いこと取り出すことができれば、胆汁や胃の内容物を身に付けずに済みます。
浮袋と血合いを取り除く

浮袋は身に張り付いている。
浮き袋は素手で剥がしていきます。

歯ブラシなどを使用すれば綺麗に取り除ける。
血合いは生臭さのもとになので、よく洗い流しましょう。

頭同様に背骨の周りにぐるりと包丁を入れ、手で折ると簡単に切り離せる。
今回は後工程のしやすさを考慮し、尾びれも切り落としました。
身を3枚におろす

背骨に包丁が当たるまで切り進める。
いよいよ3枚おろしにしていきます。骨に包丁が当たるのを感じながら、3回くらいに分けて少しずつ切り進めます。

同様に腹側からも包丁を入れる。
このときにどれだけ骨に身を残さないかが、3枚おろしの腕の見せ所です。

ここまで切り進めれば、背骨と身を分離するのは簡単。
背骨と身を切り離します。

内蔵の入っていたあたりから小骨が出現。
小骨は包丁で軽く叩くことで簡単に切れます。

慣れないうちは骨のギリギリを攻めず、余裕をもつと良い。
反対側の身も同様の手順で切り離します。

今回はさらに柵にしていく。
3枚おろしができました!焼き物などで頂くのであれば、身に残った骨ごと切って、切り身にしても良いでしょう。
小骨と骨を取り除く
続いて刺身で頂けるように小骨や皮などを取り除きます。

骨に包丁が当たるのを感じるのが、身を無駄にしないコツ。
腹骨をすきます。慣れないうちは余裕を持って切ると骨を身に残さずにすみます。

今回、小骨は身ごと切り離した。
身の中に直角についている小骨を切り離します。

身を無駄にしないためには、手間はかかるが骨抜きを使うのも手。
腹骨や小骨はアラ汁などにすると無駄なく頂けることでしょう。

腹骨と小骨を取り除いた状態。
続いて皮をひきます。

慣れないうちは、ここを大きめに取る。
まず、皮を掴めて尚且つ身を無駄にしない程度の「掴みどころ」を作ります。

ある程度皮をひいたら、指に絡めることで滑りを防げる。
まな板の端の方を使うと上手く皮をひけます。

上手く皮をひくのも腕の見せ所。
まな板に包丁を押し当て、掴んだ皮を前後に動かしながら引っ張るのがコツです。

今回は、腹骨に残った身も無駄にせず切り出した(右側)。
刺身で頂ける柵の状態になりました!生で頂くのであれば釣ったその日には食べず、冷蔵庫で3日ほど置くことで身が熟成し、うま味が増してきますよ。
釣った魚を美味しく頂く

スズキは淡泊な白身で、刺身はもちろんどんな料理でも美味しく頂ける。
自身で釣ったからこそ、魚をより美味しく頂けるというのは釣り人ならではの特権です。釣りはリリース派という方も、たまにはぜひ自身で捌いて、感謝の意を込めて美味しく頂いてみてはいかがでしょうか。